統合失調症
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検査
心理検査
- PANSS
- PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale、陽性・陰性症状評価尺度)[63]は、30項目の異なる精神症状につき、1点から7点までの得点をつける。最低点は30点、最高点は210点。
- BACS
- BACS(The Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia、統合失調症認知機能簡易評価尺度)は、言語性記憶、ワーキング・メモリ(作動記憶)、運動機能、注意、言語流暢性、および遂行機能を評価する検査で構成される認知機能評価尺度である[65]。
生理的検査
- 血液検査
- 血液検査は患者の血液採取をし、薬物投与による肝機能の衰えなど(ALT (GPT)など)の副作用の有無を検査するために行う。通常の場合は3か月程度の間隔で行われる。内分泌物質(ホルモン)や電解質の異常、糖尿病の形跡、低血糖症、栄養失調の診断にも生かされ、より正確な診断がなされる。外部委託先にビタミンやミネラル類の検査項目も追加できるが、そのような依頼は極めてまれである[66]。
- CT・MRI検査
- CT・MRI検査にて、側頭葉・頭頂葉の灰白質の体積の減少を認める場合がある。白質の体積は減少していない。人間間でも脳体積は少なくとも10%は異なるため、一度の体積測定で判定することはできない。
- 脳体積の減少は長期的な話である。また、抗精神病薬が脳体積を減少させることも知られている[67][68][69][70][71][72]。
- SPECTによる検査
- SPECTにて、課題遂行中や会話時に通常見られる前頭前野の血流増加が少ないという報告がある。
- プレパルス抑制試験
- プレパルス抑制を参照。
- 遺伝子検査
- 遺伝子性の疾患を特定するためのツールとしてDNAシークエンシングがある。
- 尿検査
- 国内の精神科において尿検査を行うことはない。ピロール尿症におけるクリプトピロールや違法薬物の使用有無を調査することができるが、臨床試験的に尿を検査することがごく稀にある。生化学研究設備があればクリプトピロールなどの化学物質を判別できるが、そのような精神科医療機関は国内には存在しない。
- NIRS脳計測装置・光トポグラフィー検査
- NIRS脳計測装置や光トポグラフィー検査により、問診と同時に脳内の血流量を赤外線により測定する。統合失調症、うつ病、双極性障害の判断材料になる可能性がある研究中の検査手法である。日本では僅かだが実施しており、最先進医療の分野である。
- 補助診断としてデータを見るものの、信頼性は未だ低く、「高価なおもちゃ(原文ママ)」の域を出ていない[73][74]。
- ^ 高次脳機能は、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知過程と行為の感情(情動)を含めた精神(心理)機能の総称[21]。
- ^ ここでいう痴呆は、認知症とは全く異なり、当時、精神の不調全般に使われていた用語である。
- ^ 原文: “Even if it had tried, the Committee could not establish agreement about what this disorder is; it could only agree on what to call it.” [24][25]
- ^ ix頁の記述。
- ^ 原文: “The limits of the concept of Schizophrenia are unclear” [26][27]
- ^ 181頁の記述。
- ^ 原文: “It should be noted that no single feature is invariably present or seen only in Schizophrenia”[26][27]
- ^ 188頁の記述。
- ^ 原文: “Schizophrenia is defined so vaguely that, in actuality, it is a term often applied to almost any kind of behavior of which the speaker disapproves.” [33]
- ^ 原文: “gradually changed until the diagnosis came to be applied to a population who bore only a slight, and possibly superficial, resemblance to Kraepelin's.” [23]
- ^ 2000年に生物科学分野でアメリカ国家科学賞を受賞している[34]。
- ^ 原文: “Europeans can save American science by helping us figure out who really has schizophrenia or what schizophrenia really is.” [35][36][37]
- ^ 脳機能イメージングを用いた研究では、幻聴が発生した際に脳の言語野に変化が現れていることが分かっている[40]。
- ^ 旧名は強迫神経症。抗不安薬などの服用でも効果および治癒率が低いとされる。
- ^ 不自然でわざとらしい動作や表情をするようになる症状の一つ[64]。
- ^ ( )内英語表記は最新のICD-10は2015年版であるが、日本では平成27年2月13日付け総務省告示第35号をもって「疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD-10(2013年版)」に準拠する改正が行われ、平成28年1月1日から施行されている。このため日本語はICD-10 2013年版に対応している。
- ^ 破瓜(はか)とは女子16歳のことを指す。
- ^ 精神医学におけるエピソードは、ある状態(病状)が続いている期間を意味する[89]。
- ^ アスペルガー症候群は統合失調症に似た症状がおきやすいと以前から指摘がある。アスペルガー症候群を再評価し紹介したイギリスの医師ローナ・ウィングの最初の論文(1981年発表)では報告された18人のうち1人に統合失調症様の症状があった[93]。
- ^ 反証可能性を参照。
- ^ 誤りをチェックできない体系の意味で、非科学的と分類される[注 20]。
- ^ トーマス・サズの警告参照。
- ^ 4週間以上にわたり、2種類以上の十分な用量の抗精神病薬を服用しても十分に改善しない統合失調症のこと[115]。
- ^ クロザピンはクロザリル患者モニタリングサービスを活用した安全管理を行った場合のみ使用することが可能である[117]。クロザリル患者モニタリングサービスは、本剤投与中の好中球減少症・無顆粒球症、耐糖能異常といった本剤の重大な副作用を踏まえ、患者ごと早期発見および発現時の予後の重篤化抑制を目的とし、本剤を使用する医療従事者、医療機関、保険薬局および患者を登録し、患者ごとの白血球数・好中球数および血糖値などのモニタリングの確実な実施(ヒューマンエラーによる検査未実施などの回避)を支援する[118]。
- ^ 毎日薬剤を使用する代わりに、週2回、または週3回使用するなどの方法を指す[123]。
- ^ 拒薬は自己判断によって意図的に薬を飲まないこと、怠薬は無意識や記憶障害による飲み忘れを指す[125]。
- ^ 原文: “psychotropic medication can have profound and lasting negative effects on a patient's mind and body” [127][128][129][130]
- ^ 原文: “are known to cause a number of potentially devastating side effects.” [127][128][129][130]
- ^ 精神療法の一つで、その人が現在持っている資質を十全に活かせるようにすることで適応力を挙げることを支援する治療のこと[154]。
- ^ 原文: The current state of the evidence does not allow the general use of ECT in the management of schizophrenia to be recommended. [165]
- ^ 原文:There is evidence that most people will recover, although some will have persisting difficulties or remain vulnerable to future episodes. [171]
- ^ NIMHの助成研究である[175]。
- ^ NIMHの助成研究である[177]。
- ^ 健康な人の適切な思考でなく、例えば、会社を辞めればすむ問題なのに、究極の選択である自殺を考えるように、順序建てて物事を考えられない。優先順位がつけられない。
- ^ 統合失調症の治療薬には、副作用として体重増加をもたらすもの、糖尿病の原因となるものなどがある。
- ^ 抗精神病薬の服用は患者全体で見た場合は死亡率を低下させる[189]。
- ^ 独: Hebephrenie
- ^ 独: Katatonie
- ^ 日本の医学書[200]。同書の巻五は精神神経疾患を記述している[200]。
- ^ 監置は、監禁・保護のどちらでもなく、その中間を意味する語[206]であるが、実地の運用においては監禁と解す人が多かった。
- ^ 全額が自己負担ではなく、自己負担が3割の人、高額療養費を活用している人などがいる[239]。
- ^ 生物の臓器や個体が正常な形態から著しく外れて見える状態のこと[251]。
- ^ 残遺型、多剤併用、多量投与、治療抵抗性または高齢の統合失調症患者[256]。
- ^ 大脳皮質の核ボクセルごとに拡散の大きさと異方性の割合を算出し定量化したもの[262]。
- ^ QKI7 KHドメイン含有RNA結合。STAR(シグナル伝達およびRNAの活性化に関与する遺伝子ファミリー)である「QKIタンパク質」の3つのアイソフォームの1つ。
- ^ グルタミン酸デカルボキシラーゼ67のこと[269]。
- ^ 転写因子のひとつ[270]。
- ^ 事象関連電位の一つで、注意に関連しない感覚情報自動処理関連電位と考えられている[273]。
- ^ γ帯域(30〜100 Hz)の速い電気的な大脳皮質の活動で、知覚や認知機能、運動等によってその発現量が増加する[275]。
- ^ シアル酸が多数縮重合したもの[281]。
- ^ 遺伝子配列のうち、その遺伝子から作られるタンパク質全体のアミノ酸配列を決定する暗号となっている配列が含まれる領域を指す[282]。
- ^ 身体性のレベルにおける相互性のことを指す[302]。他者の行為と同じ行為(またはその可能性)を自己の身体において再現すること、他者の行為の意図に応答して自己の行為を送り返すことであるとされる[302]。
- ^ 自己の全存在を他者へあけわたす姿勢のこと[304]。
- ^ 異嗅症とは、何かのにおいを嗅いだとき、それを本来のにおいとは異なるにおいと感じたり、あるいはにおいを発する物質が身のまわりに全く存在していないのに、何らかのにおい感覚を自覚したりする症状のこと[329]。
- ^ 同質の原理は、気分が落ち込んでいる時にはそれに寄り添う曲調から始まり徐々に気分を高揚させて行く音楽を与えることで、精神的に良い方向へと向かわせること[348]。
- ^ 言葉によるの意味[352]。
- ^ a b 統合失調症患者と血縁関係のある健常な成人の兄弟姉妹のこと[376]。
- ^ 全般性は、原因が能力や性格など出来事について共通して起こりうる一般的であるもの[388]。
- ^ 外的-人的帰属は、原因が自分以外(外的)にあり、それが他者である(人的帰属)場合を指す[388]。
- ^ 80 Hzのクリック音に対する聴性定常反応 (ASSR) のこと[389]。
- ^ #下位分類を参照。
- ^ カタトニアは主に緊張型として統合失調症の一亜型として診断される[390][注 61]。
- ^ 数種類の感情を有する表情イラストを観察して表情を模倣し、感情を生起する経験を繰り返し行う[395]。
- ^ a b 打楽器を使用した簡易的なリズムテストで評定した[403]。
- ^ 発散的思考とは思考が色々な方向性へ拡がっていき、ある刺激からそれに関連する多様な情報を次々に求めていく思考を指す[408]。
- ^ 静的バランス能力は、動かない状態を保ち続けるための能力のこと[417]。
- ^ 首尾一貫感覚は、ストレス下でも健康を保つ能力、すなわちストレス対処能力概念を発展させた健康保持能力で、健康状態を悪化させるストレッサーの影響を緩衝し、その結果として健康状態を良好にする働きをすると考えられている[420]。
- ^ 服薬良好群は調査期間における総服薬率75%以上、服薬不良群は総服薬率75%未満を指す[428]。
- ^ 精神障害者本人がもつ偏見のこと。
- ^ スピリチュアルな成長は、患者はステップに則って、各々の回復(リカバリー)に取り組むが、そのステップを支える根幹の理念であるとされる[434]。
- ^ スピリチュアルペインは、危機的状況や人間の限界に直面した時に顕在化するスピリチュアリティの痛みのこと[434]。
- ^ スピリチュアリティの定義は、一定のコンセンサスは得られてはおらず、研究者・領域によって捉え方は様々であり、宗教学分野では「神(超越者)」との関わり、心理学分野であれば「自己超越や自己実現」との関わり、医療や福祉分野であれば「人生の意味や目的」との関わりにそれぞれ重点を置かれているとされる[434]。
- ^ 自分を超えるもののこと[434]。
- ^ WHOQOLはWHOが定義したQOLで、「個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準または関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」を指す[442]。
- ^ 精神医学的診断基準に則り、作成された何らかの症状と持つ人物について記載された模擬事例のこと[447]。
- ^ 器質性精神障害は、体の病気が原因で精神症状を来すもの[452]。統合失調症は内因性精神病に分類される[453]。
- ^ カテゴリーを統制して理論を生成する際の中心になるカテゴリーのこと[465]。
- ^ 就労へ向けて獲得が必要なスキル[470]。
- ^ スキル獲得も一定必要だが、就業後も援助が必要なスキル[470]。
- ^ 反社会性パーソナリティ障害の人物が殺人的暴力を行うリスクは一般人口に比べて男性で10倍超、女性で50倍超である[496]。
- ^ 生活行為向上マネジメントは、対象者がよりよい生活をおくれるようになるためにアセスメントやモニタリングなど7段階で構成されるプロセスのこと[515]。
- ^ 敏感性格とは感じやすく、傷つきやすい性格のことで、先天的に疲労しやすい無力性の体質の持主に多く見られる[517]。
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