窓 窓の分類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 19:06 UTC 版)

窓の分類

鎧戸(よろいど)がつけられた窓

開閉方法による分類

窓は、その開閉方法により以下のように分類される。

横引き
レールにはめた窓を左右にスライドさせることで開閉する形式。開けた状態の窓を収納する戸袋などのスペースが必要である。
引き違い窓
日本独自の開閉方式[7]。横引きと同じく左右にスライドさせて開閉するが、原則として2枚の窓を相互にスライドするので、戸袋は必要ない。ガラス戸、網戸、鎧戸(よろいど)など複数の種類の建具を重ねて使用することができる[7]
引き込み窓

建具枠と1枚の引き戸で構成されたもの、引き戸を左右どちらか、横方向にスライドさせて開閉する方式。引き戸とFIX窓を組み合わせたり、両引き戸などもある。壁を半分にして、建具の納まる部分をつくったり、壁の内部に戸を仕舞えるようにする形式などがある。[8]

開き窓
蝶番などで取り付け、垂直方向の軸を中心に回転させて開閉する形式の窓。2枚の戸で構成され、左右に軸を設けたものを「両開き窓」、戸が1枚のみで構成されたものを「片開き窓」と呼ぶ。: 両開き窓は、蝶番(ちょうつがい)や、軸金物で止められた部分を軸にして回転し、戸が円弧を描いて前後に開閉する方式をいう。建具の可動域が大きく風に煽られたりすると、建具のガラスが破損・飛散する可能性があるので、あらかじめストッパーを付けておき、可動域のコントロールができるようにしておく。2枚の戸の大きさが大小あるときは、親子戸という。[7]: 片開き窓は、欧米で一般的な窓であるが、日本でも一般的に使われるようになっている。両開き窓と同様に、蝶番(ちょうつがい)や、軸金物で止められた部分を軸にして回転し、戸が円弧を描いて前後に開閉する方式をいう。建具の可動域が大きく、風に煽られたりすると、建具のガラスが破損・飛散する可能性があるので、あらかじめストッパーを付けておき、可動域のコントロールができるようにしておく。[7]
はめ殺し窓
開閉のできない窓。フィックス窓とも呼ばれ、採光のみに供し、通風の機能が不要な場合に用いる。
上げ下げ窓
ペアになった2枚の板を垂直のレールにはめ、ワイヤなどで連結し、連動させて上下に動かす窓。片方を引き下げるともう片方は上に移動する。
ルーバー窓ジャロジー窓
横に細長いガラス板を、水平方向の軸を中心として回転させて開閉する形式の窓。ハンドルなどで開閉し、台所・便所・洗面所・収納などの換気を目的に用いることが多い。手の届かない壁面の高い位置に取り付ける場合は、リモコン操作により開閉できる電動タイプもある[9]
オーニング窓(オーニング・ウィンドウ)

ハンドル操作で開閉する、多段の滑り出し窓のこと。突き出し窓ともいう。[10]複数の突き出し窓をもつもの[11]

滑り出し窓(すべり出し窓)
窓枠の溝を建具が滑ると同時に、金具の回転によって外へ開きだす窓。戸先と吊元側の両方が開口するため、妻側の窓であっても、窓の外側をクリーニングすることができる。回転軸が縦の場合は「縦滑り出し窓」(ケースメント窓とも呼ぶ[12])、横の場合は「横滑り出し窓」と呼ばれる。
ドレーキップ
内開き・内倒しの二通りの開き方を可能とした窓。ドイツ語の回す(ドレーン;drehen)と傾ける(キッペン;kippen)を合成した言葉である。: 通常は内側にわずかに倒して通風を行い、窓を拭く時や大きく開放したいときには内開きとする。ドイツではほとんどの建築の窓にドレーキップ窓が採用されている。[13]
突上げ(つきあげ)
木板の上部を取り付け、木板を押して水平方向の軸を中心に回転させて開け、竿で固定する形式。民家町屋茶室天井城郭天守櫓門などにも用いられる。とりで「突き上げ戸」、「突上げ戸」、「突上戸」ともいう。主に透明である。

配置による分類

窓は、その取り付け位置によって以下のように分類される。

腰窓
壁面の中ほどから上、ほぼ成人の腰の高さに設けられた窓で、換気の役割も大きい[14]
高窓(ハイサイドライト)
天井面に近く、高い位置にある窓。一般に採光窓として設けられる。[14]
地窓
床面に接した位置にある窓[15]。プライバシーを確保しながら、足元から風通しを得ることができる[15]
出窓
建物の壁面よりも前方に突き出す形で設置される窓[1]。張り出した棚状部分に花や置物、ぬいぐるみを飾るなど、意匠的な愉しみをもたらす。角形のものはベイウインドウ[16]、弓形のものはボウウインドウ[17]と呼ぶ。外壁から10~15センチくらい張り出した出窓をハーフ出窓と呼ぶ[18]。それらのほか、オリエル窓もある。日本における区分では、台所出窓三角出窓三角(変型)出窓コーナー出窓トップライト出窓ルーフレス出窓などがある[19]
天窓
屋根部分に設置する窓[1]ルーフウィンドウトップライトとも呼ばれ、効率の良い採光が可能である。側窓採光に比べて採光量が多い[14]
掃き出し窓
窓枠の底辺が床面の位置にある窓。ゴミを掃き出せる形状に由来する[20]フランス窓ともいう。
ひじかけ窓
床に座ったときにひじがかけられる高さにつくる窓。和室など床に座って過ごす部屋につくることが多い。手窓ともいう。[15]
連続窓
横方向に連続して配置した窓。建築家ル・コルビュジエの提唱した近代建築の五原則には、水平連続窓が挙げられている。中方立てのみで仕切られ、幾つかの窓を水平方向に帯のように横長に並べて構成したものを、リボンウィンドウという[21]小堀遠州設計の茶室擁翠亭」(別名「十三窓席」・京都市)のような作例もある。

機能による分類

排煙窓
単に排煙設備とも呼ばれる。通常ははめ殺し・採光用の窓であるものの、火災で室内の視界が悪化した場合に非常用のチェーンを引くと、掛け金が外れて煙が排出されるようになっている。煙が排出されやすいよう高い位置に設けられるが、物によっては閉める際には手動で閉じなければならず、誤って開けてしまうと閉めるのが厄介である。
脱出窓
乗物などに設けられており、通常ははめ殺しとなっているが、非常時にはレバー操作などで窓枠やフレームごと取り外せる。また、ビルディングなどでは脱出用設備(綱梯子)やシューターなどが用意されている窓がある。これらは大きく開く構造となっていて、廊下や通路にあり、下向きの赤い三角のシールが窓に張ってある。はしご車が被災者を救助するために利用する場合もある。

  1. ^ a b c 意匠分類定義カード(L4) (PDF) 特許庁
  2. ^ a b c d 窓を使った夏の暮らし” (PDF). 北海道立北方建築総合研究所ほか(北海道立総合研究機構). 2020年2月24日閲覧。
  3. ^ コトバンク マドガイ(窓貝)[1]
  4. ^ カピス貝の窓って知っていますか?[2]
  5. ^ カピスシェルのお話し[3]
  6. ^ フィリピンのカピスウインドウ[4]
  7. ^ a b c d 中山繁信、長沖充、杉本龍彦、片岡菜苗子『窓がわかる本 設計のアイデア32』学芸出版社、2016年。 
  8. ^ 中山繁信、長沖充、杉本龍彦、片岡菜苗子『窓がわかる本 設計のアイデア32』学芸出版社、2016年、137頁。 
  9. ^ 中山繁信、長沖充、杉本龍彦、片岡菜苗子『窓がわかる本 設計のアイデア32』学芸出版社、2016年、138頁。 
  10. ^ 『超図解インテリア用語辞典』株式会社エクスナレッジ、2024年、142頁。 
  11. ^ 渡辺優『図解インテリア・ワードブック』建築資料研究社、1996年、94頁。 
  12. ^ 『超図解インテリア用語辞典』株式会社エクスナレッジ、2024年、145頁。 
  13. ^ 『窓と建築をめぐる50のはなし』株式会社エクスナレッジ、2017年、38頁。 
  14. ^ a b c 中山繁信、長沖充、杉本龍彦、片岡菜苗子『窓がわかる本 設計のアイデア32』学芸出版社、2016年、145頁。 
  15. ^ a b c 主婦の友社 編『暮らしやすい家づくりのヒント』主婦の友社、2016年、33頁。 
  16. ^ ベイウインドウとは|金融経済用語集
  17. ^ ボウウインドウとは|金融経済用語集
  18. ^ 『超図解インテリア用語辞典』株式会社エクスナレッジ、2024年、157頁。 
  19. ^ 『図解インテリア用語辞典』 山海堂、2007年、p.309
  20. ^ 『超図解インテリア用語辞典』株式会社エクスナレッジ、2024年、157-158頁。 
  21. ^ 『建築ヴィジュアル辞典』 彰国社、1998年、p.322
  22. ^ 四角はダメ!? 旅客機の窓が“丸”ばかりな深いワケ かつては「角窓ノスタルジー」も?”. 乗りものニュース (2023年10月8日). 2024年4月29日閲覧。
  23. ^ 飛行機の窓の角が丸くなった理由には血塗られた歴史がある - GIGAZINE”. gigazine.net (2019年7月23日). 2024年4月29日閲覧。


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