着ぐるみ 着ぐるみによる演劇

着ぐるみ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 07:13 UTC 版)

着ぐるみによる演劇

着ぐるみ表現による児童向け演劇を最初に商業的に成功させた劇団としては、日本における影絵の第一人者である藤城清治主宰の木馬座があり、そのキャラクターケロヨンとともに有名である。既に解散したとはいえ、木馬座による「ぬいぐるみ人形劇」表現は、現在も活動中の着ぐるみ劇団に多くの影響を与えている。

着ぐるみによるイベントについては、特に舞台で演じられる演劇形式ものをマスクプレイ劇として区別する場合がある。マスクプレイの童話劇を観覧するイベントは、幼稚園など幼児教育の場においては情操教育の一環として現在では定番の一つになっている。

このマスクプレイによる童話劇を専門職として行っている代表的な存在としては劇団飛行船が挙げられる。マスクプレイミュージカルの専門劇団として40年を超える歴史を持つ老舗でもあり、アニメ作品の舞台化のほか海外公演も行うなど、日本の着ぐるみを用いた芸能演劇の歴史を語る上では避けて通れない存在でもある。

着ぐるみの頭部分のみを脱いで出てきた中の人

趣味としての着ぐるみ

着ぐるみは、エンターテイメントを提供するために団体などが運用するのが一般的ではあるが、他方で、着ぐるみを趣味として着用する人やそのコミュニティ、カルチャーが存在する。

ケモノの着ぐるみ(ファースーツ)

ファースーツの例。

擬人化された動物の形をした着ぐるみは「Fursuit」(ファースーツ)と称され、主に海外(アメリカヨーロッパ)での愛好者(ファーリー・ファンダム)が多い。特にアメリカでは人間型の着ぐるみを「Kigurumi」と称し、Fursuitと使い分ける傾向にある。Fur(毛皮)という言葉が意味するとおり、動物を模したもこもこした感触の起毛処理が、フェイクファーによって全身にかけて施されているのが特徴で、人間型の着ぐるみと方向を異にする要素の一つである。アメリカではFursuitなどのケモノの着ぐるみを主題としたコンベンションが数多く開催されており、大規模なコミュニティが存在している。その方向性も擬人化がある程度進んだもの(体型が人間に似ている)、児童向けにデフォルメされたものなどさまざまである。

人型の着ぐるみ(美少女着ぐるみ)

アニメスタイルの着ぐるみの例

顔部の造形が主にアニメのキャラクターのようになっている着ぐるみの事を言う。インターネット上では「美少女着ぐるみ」と呼ばれる。基本的にが大きめに、を小さめにデフォルメされており、写実的ではない。デフォルメは心理的な感覚(可愛い、美しいなど)から来る誇張表現である。いわゆる「萌え」が意識されやすい。

このような着ぐるみの頭部はFRPによって素体が作成され、その上からウィッグを被せる。そこに肌色の塗装を施したり、プラスチック板やスモークグラス、耐水紙などによって作成された目を取り付けたりすることで造形される。

コミュニティによる調査[9]によると、このような着ぐるみの着用愛好家の約9割が男性であるとされている。

このタイプの着ぐるみには、コスプレとして漫画アニメなどのキャラクターを元にしたものと、着ぐるみ制作者の創造によって製作されるオリジナルのキャラクターのものがある。

着ぐるみマスクの製作、販売を手がける「むにむに製作所」によると、1990年代キャラクターショーの題材として「美少女戦士セーラームーン」が取り上げられたことが発端だという[10]

写実的な着ぐるみ(主に人型)

顔部の造詣が写実的であり、目や鼻、口なども現実の人間の顔の作りになっているものを言う。これはリアルマスクと呼ばれ、日本よりも海外で多く見かける。また写実的な着ぐるみの多くはオリジナルのデザインであり、現実に存在する人間の顔を模写することは少ない。

顔の出ている着ぐるみ

 

着用している人間の顔が見えるように造られている着ぐるみは、お笑い芸人アイドルコントテレビCMなどで着用することが多い。また、たらこキユーピーご当地キティなどキャラクターの顔が見える着ぐるみのキャラクターグッズも存在する。なお、テレビ業界では顔の出ている着ぐるみのことを「かぶりもの」と呼ぶことが多く、顔の出ていない着ぐるみのことを「ぬいぐるみ」と呼んで区別している。

その他、動物やアニメのキャラクターを模した着ぐるみのパジャマが近年流行し、2000年前後に、この着ぐるみパジャマ姿で外出する事が一部で流行となり着ぐるみんと呼ばれ注目されたことがある。こういったパジャマは、赤ちゃん・幼児や、ペット用のものも市販されている。


  1. ^ a b 大ゴジラ図鑑 1995, pp. 26–27, 「序」
  2. ^ a b ゴジラ大百科 1990, p. 22, 構成 竹内博池田憲章「SFX OF GODZILLA MOVIE ゴジラシリーズ特撮の秘密」
  3. ^ 鷺巣富雄「ピープロ特撮テクニック(3)怪獣ワーク」『うしおそうじとピープロの時代 「うしおそうじとピープロの時代」』太田出版、1999年6月26日、182-183頁。ISBN 4-87233-466-3 
  4. ^ 『ウルトラマン誕生』GENEON)[要ページ番号]
  5. ^ 『怪獣人生』(中島春雄、洋泉社)[要ページ番号]、『ウルトラマンになった男』(古谷敏、小学館)[要ページ番号]
  6. ^ 「大ウルトラマン図鑑」(ホビージャパン刊)[要ページ番号]
  7. ^ 「怪獣アイテム豆辞典」『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』特別監修 川北紘一成美堂出版〈SEIBIDO MOOK〉、1999年2月20日、149頁。ISBN 4-415-09405-8 
  8. ^ 品田冬樹「コラム ゴジラヌイグルミ事始め 「着ぐるみ? 縫いぐるみ?」」『ずっと怪獣が好きだった』岩波書店、2005年3月16日、60頁。ISBN 4-00-001072-7 
  9. ^ 着ぐるみ国勢調査.pdf”. Google Docs. 2019年1月30日閲覧。
  10. ^ “注目が集まりつつある美少女マスク系コスプレ! オーダメイドで約10万円だったマスクが今では……!?”. 1UP情報局. ヨシクラデザイン. (2016年10月23日). https://kk1up.jp/archives/n83171.html 2020年6月7日閲覧。 


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