淫行条例 反対意見

淫行条例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 01:53 UTC 版)

反対意見

福岡県青少年保護育成条例事件の最高裁判決においては、3名の裁判官(伊藤正己判事・谷口正孝判事・島谷六郎判事)が「福岡県の淫行処罰規定は違憲であり、被告人は無罪である」という趣旨の反対意見(少数意見)を述べている。

たとえば谷口正孝判事(当時)は、「青少年の中でもたとえば16歳以上である年長者(民法で女子は16歳以上で婚姻が認められている)について両者の自由意思に基づく性的行為の一切を罰則を以て禁止することは、公権力を以てこれらの者の性的自由に対し不当な干渉を加えるものであって、とうてい適正な規定とはいえない」としている。また女子の場合、婚姻可能年齢との矛盾も抱えている(ただし、2022年(令和4年)4月1日以降は、男女とも18歳以上で婚姻適齢となる(改正民法)。

学説上は、個人のプライバシーを侵害しかねず恣意的に解釈される、罪刑法定主義に反するなどの批判的な意見や、政府・国会が立法を懈怠して、その責任を地方自治体に丸投げし、条例制定権に委ねた結果、法定刑や構成要件に不均衡が生じていることや、地方自治法第14条第2項の罰則が限定的であり、厳罰化に対応できない点などの制度的欠陥から、国(政府)による法規制を求める意見もある[要出典]

なお、日本弁護士連合会は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案」及び「刑法の一部を改定する法律案に対する意見書」(1998年5月1日)において、「親・教師などによる対償を伴わない性的虐待」を処罰するための法整備をすみやかに行い、淫行処罰規定は全面的に廃止する必要があるとしている[4]

  • 2006年3月24日に18歳未満の少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある性行為を補導の対象とする、「奈良県少年補導に関する条例(平成18年奈良県条例57号)」が奈良県議会で自民・公明などの賛成多数で可決・成立した。本条例には、性的自由を著しく制限するものであるとの意見もあり、日本弁護士連合会にも反対の立場をとっている。

  1. ^ 札幌家裁 昭和39年8月4日、神戸家裁 昭和53年5月26日
  2. ^ 警視庁 (2016年3月31日). “「淫行」処罰規定”. 2016年7月18日閲覧。
  3. ^ 守山正・後藤弘子『ビギナーズ少年法 第2版』成文堂 2008年
  4. ^ 児童買春・ポルノ等禁止法日弁連意見書-エクパットジャパン関西のホームページ
  5. ^ 「無理強いなく、金も払わず」でなぜ 大学生の淫行逮捕に疑問相次ぐ”. ライブドアニュース. 2019年4月26日閲覧。
  6. ^ 読売新聞 2010年2月6日
  7. ^ 産経新聞 2011年4月15日
  8. ^ 日刊スポーツ 2012年3月30日
  9. ^ a b “少女に性行為、処罰されづらかった大阪 36年ぶり改正”. 朝日新聞DIGITAL. (2020年6月25日). https://www.asahi.com/articles/ASN6T420SN6RPTIL00C.html 2020年6月25日閲覧。 
  10. ^ 大阪府青少年健全育成審議会の提言について(報道発表資料)”. 大阪府 (2019年12月5日). 2020年6月25日閲覧。
  11. ^ 「大阪府青少年健全育成条例の改正(案)」に対する府民意見等の募集(令和元年12月)について ※終了しました”. 大阪府 (2020年1月19日). 2020年6月25日閲覧。






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