日本国有鉄道の荷物運送 手順

日本国有鉄道の荷物運送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 13:45 UTC 版)

手順

手回り品

国鉄における、無料手回り品は以下の通り[20]

  • 通勤定期乗車券および通学定期乗車券を使用する旅客
    • 容積が0.025m^3以内、重量が10kg以内のもの1個まで。
    • 長さが70cm以内。ただし、和傘・洋傘・つえ・運動用具については2mまで。
  • その他の旅客
    • 容積0.05m3以内、および0.025m3以内のもの、それぞれ1個まで。
    • 長さは上記と同様、また釣竿についても2mまで認める。
    • 総重量は20kg以内。

これを超えるものは手回り品として持ち込むことはできないが、以下については有料手回り品として、手回り品切符を購入することで持ち込みが許可されている[20]

  • 巡回医療班が携行するレントゲン機械
  • 巡回映画班が携行する映写機械
  • 自転車振興会連合会の発行した選手登録証票を所持する者が携行する、解体してズックに収納した競輪用自転車
  • 前各号のほか、手荷物として託送できる容量程度の物品であって、鉄道·航路区間にあっては鉄道管理局長、自動車線区間にあっては乗務員が特に持込を承認したもの。

手荷物

第一種手荷物切符と第二種手荷物切符

初期は、係員は乗客の手荷物を預かった際には、乗車券に(手荷物)というスタンプを押し、チェッキを発行した[9]。手荷物を受け取る際には、チェッキと引き換えとなった[9]

手荷物が全面有料化されると、チェッキは手荷物切符となった[7]

  • 第一種手荷物切符[7] - 運賃のほかに料金を収受せず、かつ連絡運輸とならないもの
  • 第二種手荷物切符[7] - 第一種以外のすべて

小荷物

鉄道荷札

小荷物について、当時の国鉄営業規則では次のようになっていた。いずれも1980年当時のものである。

  • 1個30キログラムまで、大きさ2立方メートルまで。超過分は超過料金が必要。
  • 受付は小荷物取り扱い駅で午前9時から午後5時まで。但し、貴重品や特殊な物品は取扱駅を限定して取扱う。
  • 所要日数は受付日1日+輸送距離400キロメートルごとに1日。急行荷物列車とブルートレイン利用の場合は受付日の翌日。
  • 運賃は5つの地帯に分け、地帯区分、重量、品物によって決定する。さらに北海道は、函館本線上目名駅室蘭本線大岸駅以東は北海道(1)、函館本線熱郛駅・室蘭本線礼文駅以西は北海道(2)と2つのブロックに分ける。
  • 急行荷物列車利用の場合は100円の急行荷物料金を、ブルートレイン利用の場合は小荷物運賃相当額の特急荷物料金をそれぞれ徴収する。
  • 急行荷物列車とブルートレイン利用の場合は区間を限定して取扱う。
  • 配達はするが、配達可能駅と配達可能エリアを別に指定し、配達料金を徴収する。それ以外は駅留(駅まで取りに出向く。受付時間は午前9時から午後5時まで)。
  • 駅留の場合、荷物が到着してから3日間は保管料は無料であるが、4日目以降8日目までは1個1日110円、9日目以降は1個1日130円の保管料を徴収する。
  • 荷物は厳重に荷造りした上、荷受人・荷送人を書いた紙等を荷物本体に貼ると共に、同じ内容を書いた荷札をくくり付けなければならない[21]

  1. ^ 鉄道運輸規程(令和三年) 第四十一条 鉄道ハ託送手荷物ヲ旅客ト同一列車ヲ以テ運送スベシ但シ運送上ノ支障アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
  2. ^ 駅での荷物発送や引取り目安とするためと、列車番号は荷物列車のものでも、中には回送では無く営業用として旅客車が連結されている場合があり、旅客列車としての利用も考慮されていたため。
  3. ^ 預り証を示す英語の check(チェック・チェッキ)からチッキと呼ぶ。同様の意味を持つ ticket が訛ってチッキと呼ばれた、と言う説もある
  4. ^ 右荷物の儀は富分之内手回り荷物と難も一人前六十斤まてに限り候事 [13]
  5. ^ 1974年日本国有鉄道荷物営業規則において新聞は1kg当たり6円、雑誌は11円と定められており、一般の荷物で最も安価な第一地帯の10kgまでの300円より非常に安く設定されていた。
  1. ^ a b c d e 岡田清「競争的環境下における鉄道貨物輸送の変遷」『成城大學經濟研究』第128巻、1995年、204-187頁、NAID 110000245085 
  2. ^ 日本通運『流通百科』1966年、80-93頁。doi:10.11501/2509776 
  3. ^ a b c d e 榊原一郎「鉄道手小荷物運搬の最近の動向」『日本機械学会誌』第65巻第518号、1962年、402-406頁、doi:10.1299/jsmemag.65.518_402 
  4. ^ a b c d e f 交友社編集部 編『目で見てわかる鉄道常識事典』交友社、1966年、29-31頁。doi:10.11501/2509702 
  5. ^ a b c 鉄道省『鉄道旅行案内』国立国会図書館デジタルコレクション、1924年、13頁。doi:10.11501/952041 
  6. ^ a b 和田俊憲「注釈鉄道営業法罰則」『慶應法学』第40巻、2018年、229-264頁、NAID 120006414543 
  7. ^ a b c d e f g h 『鉄道辞典 下巻』日本国有鉄道、1958年、てにもつ, てにもつきっぷ。doi:10.11501/2486300 
  8. ^ 鉄道運輸規程(令和三年)第四十条 鉄道ハ運送ノ為手荷物ヲ受取リタルトキハ手荷物符票ヲ交付スベシ
  9. ^ a b c d 鉄道省『鉄道の話』国立国会図書館デジタルコレクション、1921年。doi:10.11501/2942269 
  10. ^ 郵便物運送委託法 昭和24年05月』国立公文書館デジタルアーカイブ、1949年https://www.digital.archives.go.jp/item/1704301.html 
  11. ^ 日本国有鉄道 編『貨物運送規則同補則』中央書院、1952年。doi:10.11501/2465463 
  12. ^ a b 鉄道主要年表』(レポート)国土交通省、2012年11月https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000037.html 
  13. ^ 太政官『品川横浜ノ間鉄道仮賃銭伺』国立公文書館デジタルアーカイブ、1872年https://www.digital.archives.go.jp/file/3048031 
  14. ^ 太政官『鉄道貨物運送補則并賃金表追加・二条』国立公文書館デジタルアーカイブ、1873年https://www.digital.archives.go.jp/img/1390887 
  15. ^ a b c d 『日本国有鉄道荷物運賃料金制度の概要とその変遷』日本国有鉄道、1960年。doi:10.11501/1700945 
  16. ^ 決戦に備えて旅行を大幅制限(昭和19年3月15日 毎日新聞(東京) 『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p783 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  17. ^ 昭和48年度 運輸白書』運輸省、1972年、第3章経営の現状 第1節 日本国有鉄道https://www.mlit.go.jp/hakusyo/transport/shouwa48/index.html 
  18. ^ 日本国有鉄道監査委員会『日本国有鉄道監査報告書 昭和59年度』(レポート)国立国会図書館デジタルコレクション、1985年8月、230-231頁。doi:10.11501/12066723 
  19. ^ 日本国有鉄道監査委員会『日本国有鉄道監査報告書 昭和38年度』(レポート)国立国会図書館デジタルコレクション、1964年、6.統計資料。doi:10.11501/2521882 
  20. ^ a b 『鉄道辞典 下巻』日本国有鉄道、1958年、てまわりひん。doi:10.11501/2486300 
  21. ^ 国有鉄道旅客及荷物運送規則 第160条
  22. ^ 種村直樹『新・地下鉄ものがたり』日本交通公社、1987年、46頁





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