日本国有鉄道の荷物運送 運賃

日本国有鉄道の荷物運送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 13:45 UTC 版)

運賃

重量や輸送距離により変動する。また、発送駅から到着駅までの運賃は旅客同様最短距離によるが、私鉄駅からの発送の場合は私鉄線の運賃も加算された。

手荷物

手荷物の運賃は、1946年3月までは一定重量までは無料であり、それを超える場合には重量または個数に応じて運賃を収受していた[7]。。手荷物運搬業者(赤帽)による運搬の場合は、旅客一人当たり5銭であった(1924年)[5]

1946年4月からは無料運送は廃止され、すべて有料化された[7]

1958年における手荷物運賃[7]

  1. 手荷物1口の総重量が、旅客1人につき30kgの割合で計算した重量を超過しないとき
    • 旅客1人毎に、以下の運賃となる
      • 同一自動車線の駅に発着するもの - 運送距離にかかわらず、一律50円
      • その他 - 運送距離にかかわらず、一律115円
  2. 手荷物1口の総重量が、旅客1人につき30kgの割合で計算した重量を超過するとき
    • 超過する重量に対する通常小荷物運賃に相当する額と、定額運賃(旅客1人につき50円または115円)とを合算

小荷物

1960年 日本国有鉄道 通常小荷物料金(円)[15]
重量/距離 100km 200km 300km 400km 500km 750km 1000km 1500km 2000km 以降
500km毎に
10kg 80 100 120 135 145 175 205 265 325 60
15kg 115 140 165 185 200 240 280 360 440 80
20kg 145 175 205 230 250 300 350 450 550 100
25kg 180 215 250 280 305 365 425 545 665 120
30kg 210 250 290 325 355 425 495 635 775 140
35kg 245 290 335 375 410 490 570 730 890 160
40kg 275 325 375 420 460 550 640 820 1000 180
50kg 340 400 460 515 565 675 785 1005 1225 220
以降10kg毎に 130 15 170 190 210 250 290 370 450 80
1980年 日本国有鉄道 通常小荷物料金(円)
重量/地帯 第1地帯 第2地帯 第3地帯 第4地帯 第5地帯
10kgまで 530 650 780 950 1,200
20kgまで 650 850 1,050 1,300 1,600
30kgまで 780 1,050 1,350 1,650 2,000
50kgまで 1,000 1,400 1,750 2,150 2,550
以上20kgを増す毎に 300 450 600 750 900
昭和初期から戦前まで使用された、職員用の小荷物運賃表

特別扱荷物

新聞及び雑誌については日本国有鉄道荷物営業規則において、国鉄当局の認可を得て「特別扱運送契約」を締結することで特別な取り扱いを行った上で小荷物扱いで輸送された[15]。この承認を受けた新聞は題字付近、雑誌は表紙の最上部に「国鉄首都特別扱承認」「国鉄東局特別扱承認」等の文言と承認番号が入れられていた[15]

これらの特別扱を受けた場合にはゾーン別運賃では無く全国一律の特別運賃が適用され、一般の荷物より安価に輸送出来た[注釈 5]。この特別扱による恩恵が大きかったのが雑誌であり、雑誌は鉄道により全国に届けられ普及することになった。しかしながら国鉄の労使紛争が極度に悪化し輸送混乱が生じると地方への雑誌の到着が極端に遅くなる等したため、トラックによる輸送に切替えられて姿を消して行った。

なお、付録つき雑誌の場合、この扱いを受ける場合には紙素材の付録に限られていたため、1970年代までの『りぼん』や『なかよし』などの付録付きマンガ雑誌では、その制限の下で付録が工夫されて行った。


  1. ^ 鉄道運輸規程(令和三年) 第四十一条 鉄道ハ託送手荷物ヲ旅客ト同一列車ヲ以テ運送スベシ但シ運送上ノ支障アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
  2. ^ 駅での荷物発送や引取り目安とするためと、列車番号は荷物列車のものでも、中には回送では無く営業用として旅客車が連結されている場合があり、旅客列車としての利用も考慮されていたため。
  3. ^ 預り証を示す英語の check(チェック・チェッキ)からチッキと呼ぶ。同様の意味を持つ ticket が訛ってチッキと呼ばれた、と言う説もある
  4. ^ 右荷物の儀は富分之内手回り荷物と難も一人前六十斤まてに限り候事 [13]
  5. ^ 1974年日本国有鉄道荷物営業規則において新聞は1kg当たり6円、雑誌は11円と定められており、一般の荷物で最も安価な第一地帯の10kgまでの300円より非常に安く設定されていた。
  1. ^ a b c d e 岡田清「競争的環境下における鉄道貨物輸送の変遷」『成城大學經濟研究』第128巻、1995年、204-187頁、NAID 110000245085 
  2. ^ 日本通運『流通百科』1966年、80-93頁。doi:10.11501/2509776 
  3. ^ a b c d e 榊原一郎「鉄道手小荷物運搬の最近の動向」『日本機械学会誌』第65巻第518号、1962年、402-406頁、doi:10.1299/jsmemag.65.518_402 
  4. ^ a b c d e f 交友社編集部 編『目で見てわかる鉄道常識事典』交友社、1966年、29-31頁。doi:10.11501/2509702 
  5. ^ a b c 鉄道省『鉄道旅行案内』国立国会図書館デジタルコレクション、1924年、13頁。doi:10.11501/952041 
  6. ^ a b 和田俊憲「注釈鉄道営業法罰則」『慶應法学』第40巻、2018年、229-264頁、NAID 120006414543 
  7. ^ a b c d e f g h 『鉄道辞典 下巻』日本国有鉄道、1958年、てにもつ, てにもつきっぷ。doi:10.11501/2486300 
  8. ^ 鉄道運輸規程(令和三年)第四十条 鉄道ハ運送ノ為手荷物ヲ受取リタルトキハ手荷物符票ヲ交付スベシ
  9. ^ a b c d 鉄道省『鉄道の話』国立国会図書館デジタルコレクション、1921年。doi:10.11501/2942269 
  10. ^ 郵便物運送委託法 昭和24年05月』国立公文書館デジタルアーカイブ、1949年https://www.digital.archives.go.jp/item/1704301.html 
  11. ^ 日本国有鉄道 編『貨物運送規則同補則』中央書院、1952年。doi:10.11501/2465463 
  12. ^ a b 鉄道主要年表』(レポート)国土交通省、2012年11月https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000037.html 
  13. ^ 太政官『品川横浜ノ間鉄道仮賃銭伺』国立公文書館デジタルアーカイブ、1872年https://www.digital.archives.go.jp/file/3048031 
  14. ^ 太政官『鉄道貨物運送補則并賃金表追加・二条』国立公文書館デジタルアーカイブ、1873年https://www.digital.archives.go.jp/img/1390887 
  15. ^ a b c d 『日本国有鉄道荷物運賃料金制度の概要とその変遷』日本国有鉄道、1960年。doi:10.11501/1700945 
  16. ^ 決戦に備えて旅行を大幅制限(昭和19年3月15日 毎日新聞(東京) 『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p783 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  17. ^ 昭和48年度 運輸白書』運輸省、1972年、第3章経営の現状 第1節 日本国有鉄道https://www.mlit.go.jp/hakusyo/transport/shouwa48/index.html 
  18. ^ 日本国有鉄道監査委員会『日本国有鉄道監査報告書 昭和59年度』(レポート)国立国会図書館デジタルコレクション、1985年8月、230-231頁。doi:10.11501/12066723 
  19. ^ 日本国有鉄道監査委員会『日本国有鉄道監査報告書 昭和38年度』(レポート)国立国会図書館デジタルコレクション、1964年、6.統計資料。doi:10.11501/2521882 
  20. ^ a b 『鉄道辞典 下巻』日本国有鉄道、1958年、てまわりひん。doi:10.11501/2486300 
  21. ^ 国有鉄道旅客及荷物運送規則 第160条
  22. ^ 種村直樹『新・地下鉄ものがたり』日本交通公社、1987年、46頁





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