小中一貫教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/15 17:08 UTC 版)
沿革
- 1941年に尋常高等小学校を国民学校に校種名を変更。さらに、尋常小学校相当を国民学校初等科、高等小学校相当を国民学校高等科に改め、現在の初等・中等教育の一部に相当する部分を一貫化したこともある。これはドイツのフォルクスシューレをモデルにしている。
その他
小中一貫教育校無免許授業担当事件
2013年8月に、長野県松本市の私立小中一貫教育校才教学園小学校・中学校で、中学校教諭の普通免許状のみ所持し小学校教諭特別免許状を有しない者が小学校の学級を担任したり、小学校教諭の普通免許状しか所持しない者が中学校の授業を担任するなどの事件が起きた[19]。
各国の小中一貫教育
オランダ
オランダの教育はK-12制であり、basisschool は4-12歳まで8段階の義務教育レベルの学校である。
デンマーク
デンマークの教育制度ではフォルケスコーレ (Folkeskole) が存在し、6-15歳までの義務教育レベルの学校である。
スウェーデン
スウェーデンの教育制度では、Grundskolaが存在し、6-15歳までの義務教育レベルの学校である。
ドイツ
ドイツの教育制度では、初等教育レベル基礎学校(グルンドシューレ, 4年制)修了後のキャリアは、5年制の基幹学校(ハウプトシューレ、高等小学校相当)、6年制の実科学校(レアルシューレ、中学校相当)又は中高一貫のギムナジウム(中等教育学校相当)に分かれる。
そのうち基幹学校は基礎学校と併せて、かつてはフォルクスシューレ(国民学校, Volksschule)を構成し、1964年10月28日のハンブルク協定による校種名変更後[注 5] は、フォルクスシューレは基礎学校と基幹学校を併せた通称とされ、9年制小中一貫教育校である。
1919年のヴァイマル憲法 (Weimarer Verfassung) 第145条では、義務教育履行のため8年制のフォルクスシューレ(小中一貫制)と、満18歳に達するまでの職業学校を設けることが明記された[20]。
ドイツのフォルクスシューレの修業年限は、従前は8年間(Unterstufe(下級段階、現在の基礎学校)4年間、Oberstufe(上級段階、現在の基幹学校)4年間)であるが、現在は9年間である。この9年間のうち、前期4年間が基礎学校(小学校の第1学年から第4学年まで)に、後期5年間が基幹学校(小学校第5学年から中学校第3学年まで)に該当し、基幹学校の学年は「4・3・2制」の中期3年間及び後期2年間と一致する。
アメリカ
- K-8学校
脚注
注釈
- ^ 「学習を前倒しで行っている学校に転入した場合にその教科が嫌いになる可能性」が指摘されている(『立法と調査』・2015. 8・No. 367「学校教育法改正に係る国会論議 - 小中一貫教育を行う義務教育学校の創設(文教科学委員会調査室)
- ^ なお、学年や年齢に特徴的にみられる問題は「中1ギャップ」に限らない。例えば「小1プロブレム」、思春期の特徴(反抗期、中二病)、大二病などもある。
- ^ 先行実施された小中一貫校の中には「一貫校であるのに中1で半数も転出」している例もある。(平成27年9月定例会 第6回・新潟県妙高市議会・定例会一般質問会議録より)
- ^ 現在、教員免許資格を取得することのできる大学等は?-文部科学省 を介して教員免許資格を取得できる大学の一覧を閲覧できる。なお、教育職員免許法の認定課程規定により免許を取得できる大学・学部・学科は決まっている。
- ^ 西洋教育史 による。このときに併せて中間学校(ミッテルシューレ)は実科学校に改称された。
出典
- ^ 文部科学省「学校教育法等の一部を改正する法律案の概要」
- ^ a b 『立法と調査』・2015. 8・No. 367「学校教育法改正に係る国会論議 - 小中一貫教育を行う義務教育学校の創設(文教科学委員会調査室) p.5
- ^ 平成27年7月30日 文部科学省初等中等教育局長 「小中一貫教育制度の導入に係る学校教育法等の一部を改正する法律について(通知) 2.留意事項、(2)義務教育学校の設置の在り方」より
- ^ 文部科学省「教育指標の国際比較」2013年版
- ^ a b c 平成24年7月13日中央教育審議会初等中等教育分科会・配付資料「義務教育学校制度(仮称)創設の是非について」
- ^ 「全国学力テストや特に学校選択制と結び付いたときにエリート校化する懸念はないのか。あるいは、義務教育学校がエリート校化して、選択制になって、そこにそういう人たちが集中していく、こうなると、義務教育、小学校、中学校の段階で学校間序列が付いたり格差ができたりする」との指摘もなされた。これに対し、下村文部科学大臣からは、「市町村立の義務教育学校は、小学校、中学校と同様に就学指定の対象とすることを予定しているため、入学者選抜は行われません。(以下略)」(『立法と調査』・2015. 8・No. 367「学校教育法改正に係る国会論議 - 小中一貫教育を行う義務教育学校の創設(文教科学委員会調査室))p.6
- ^ 学校段階間の連携・接続等に関する作業部会(第16回)「小中連携、一貫教育に関するこれまでの御意見について」(文部科学省)など
- ^ 「(先行実施した地域では)、小学校5、6年生の活動の場、いわゆる最上級生としてのリーダーシップの消失、(中略)など、多くの問題が指摘されております。」(平成27年9月定例会 第6回・新潟県妙高市議会・定例会一般質問会議録より)
- ^ (渡辺敦司「なぜ「小中一貫教育学校」創設を目指すのか・教育再生会議が提言」(2014年6月12・PAGE)
- ^ 改正「教育職員免許法」第3条
- ^ 「高学年においても一部交換授業等があっても学級担任制をベースとする方が、子どもを育てやすいと考えています。」「子ども自身や家庭が難しくなっている今こそ、学級担任がその多くの授業を受け持つべきだと考えています。」(大谷雅昭教諭「小学校の教科担任制」(教育総合研究所)より一部抜粋)
- ^ 「小中一貫教育では、小中の教員の会議が多くなり、負担が増すということが課題に」(2014年11月29日・京都新聞)
- ^ 平成27年6月16日 第189回国会・文教科学委員会第14号
- ^ 『立法と調査』・2015. 8・No. 367「学校教育法改正に係る国会論議 - 小中一貫教育を行う義務教育学校の創設(文教科学委員会調査室) p.6
- ^ 文部科学省施設企画課「小中一貫教育に適した学校施設の在り方について~子供たちの9年間の学びを支える施設環境の充実に向けて~」参考資料p.108
- ^ 佐貫浩『品川の学校で何が起こっているのか』花伝社 ・2010年
- ^ 小中連携、一貫教育に関するこれまでの主な御意見について のp.2による
- ^ 教育職員免許法第5条第1項別表第1並びに教育職員免許法施行規則の第3条、第4条及び第6条による。
- ^ 免許なしで授業、常態化 長野の小中一貫校、開校時から-朝日新聞2013年8月20日 による。
- ^ 樋口陽一・吉田善明編『解説世界憲法集 第3版』のp.232に条文が記載されている。
- 小中一貫教育のページへのリンク