宇治茶 産地

宇治茶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/08 14:08 UTC 版)

産地

生産地の定義と表示基準

現在も玉露抹茶を中心とした高級茶の代名詞となっているが、近年の食品の表示基準の厳格化の波を受け、社団法人京都府茶業会議所が2004年(平成16年)3月25日に、「宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な見地に鑑み、宇治茶として、ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で京都府内業者が府内で仕上げ加工したものである。ただし、京都府産を優先するものとする。」と「宇治茶」の定義を決定した。しかし、その具体的な割合の数値は公表できないとしている。この基準は、前年の2003年(平成15年)4月に試験的に導入した「府内産茶葉50%以上でブレンドは奈良、滋賀、三重産に限る」というものが府内産茶葉の不足などから製造及び生産団体の承認を得られず、新たに導入したという経緯がある[20]

なお、「宇治茶ブレンド」とは、「宇治茶を50%以上を使用したもの」としている。

生産者の商標をめぐる問題

宇治茶に関係したブランドである茶寮都路里、中村藤吉本店、丸久小山園の社名とロゴマークが、台湾で無断で商標申請されていたことが、2014年に判明した。3社は台湾の知的財産局に対し、申請を認めないよう求めている[21]

世界文化遺産登録に向けた取組

  • 2011年7月に京都府庁において、「日本茶・宇治茶の世界文化遺産登録可能性検討委員会」(委員長:金田彰裕)が設立され、具体的な検討が始まった。この検討会では、対象となる資産として宇治茶に関する寺社や茶室、茶畑景観、茶の湯や煎茶道などの喫茶文化を含む「日本茶文化の代表的資産群~宇治茶と喫茶文化の発祥と継承の地~」としてコンセプトがとりまとめられ、世界文化遺産登録の可能性があると知事に報告された。
  • 2012年8月には、委員会名称から可能性が削除され、「日本茶・宇治茶の世界文化遺産登録検討委員会」(委員長:金田彰裕)として、より対象資産を絞り込むなど具体化する方向の検討が進められた。この検討会では、宇治茶の産地が「抹茶」「煎茶」「玉露」という新しい茶種を生み出し、その技術を日本全国の茶産地に伝えた歴史を物語る文化的景観に注目し、覆下茶園や伝統的な茶工場、藁を取るための水田などを構成資産とする「日本茶のふるさと「宇治茶生産の景観」」としてコンセプトがとりまとめられた。このときに関連する寺社や国宝待庵を除く茶室が対象から外れた。このコンセプトは、2015年に日本遺産第一号の認定となった「日本茶800年の歴史散歩」のストーリーの基礎となっている。
  • 2015年3月には、委員会名称から日本茶が削除され、「宇治茶世界文化遺産登録有識者会議」(座長:金田彰裕)として、緑茶の世界史における位置づけに注目した検討が進められた。この有識者会議では、古来中国で生まれ日本に伝わり、その後の中国では廃れた蒸し製緑茶を今に受け継ぐ世界の中で代表的な茶産地であることなど世界的な価値付けがされ、「日本茶のふるさと」という一国の価値には止まらないことからその語が削除され、「宇治茶の文化的景観」としてコンセプトがとりまとめられ現在に至っている。

施設

  • 玉露製茶発祥の碑(宇治市、巨椋神社境内)[22]
  • 宇治製茶記念碑(宇治市、平等院正門前)[22]
  • 山城茶業之碑(木津川市山城町上狛)[22]

  1. ^ 宇治茶について公益社団法人・京都府茶業会議所(2018年2月12日閲覧)
  2. ^ 被覆栽培(覆い下栽培)京都府ホームページ(2018年2月12日)
  3. ^ 【仰天ゴハン】食べる抹茶/知りたい・宇治市/川霧が包む 新芽と歴史『読売新聞』2019年6月9日(よみほっと日曜版)2面。
  4. ^ お茶の京都京都府ホームページ(2018年2月12日閲覧)]
  5. ^ 京都府中丹広域振興局ホームページ
  6. ^ 日本最古の茶園 栂尾山 高山寺、2018年2月12日閲覧
  7. ^ 異制庭訓往来
  8. ^ 岡本望『やさしい宇治の歴史』文理閣 2006年 pp.154~155 
  9. ^ 『宇治市史2』宇治市役所 1979年 p.212 
  10. ^ この時の賞金をもとにして、平等院正門前に宇治製茶紀念碑が建立されている。宇治探訪 -お薦め観光スポット-
  11. ^ 茶業統計”. 京都府. 2014年4月19日閲覧。
  12. ^ 「山城茶業史」268頁、山城茶業組合、1984年
  13. ^ お茶の京都京都府ホームページ(2018年2月12日閲覧)
  14. ^ お茶の京都のDMOの設立について京都府ホームページ(2018年2月12日閲覧)
  15. ^ お茶の京都博(2018年2月12日閲覧)
  16. ^ 宇治・上林記念館(2018年2月12日閲覧)
  17. ^ 福寿園CHA遊学パーク(2018年2月12日閲覧)
  18. ^ 福寿園茶問屋ストリートをオープンしました!福寿園・新着情報一覧(2017年10月3日)2018年2月12日閲覧
  19. ^ 京都・和束で「茶畑」の魅力開拓 星野リゾート進出『日本経済新聞』2018年1月31日
  20. ^ 「宇治茶」の産地表示で自主基準 京都府茶業会議所京都新聞』2004年3月25日
  21. ^ 許せない行為…宇治茶、台湾で無断商標登録申請読売新聞』2014年4月15日
  22. ^ a b c 京都山城宇治茶の郷めぐり”. 京都府. 2022年6月13日閲覧。
  23. ^ 本記事の過去の版や宇治で遊ぼう
  24. ^ (6)中筋丈夫著『飄々の殻』序から(1)洛南タイムス、2005年3月12日
  25. ^ 京都・宇治情報お茶の清水屋


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