国勢調査 国勢調査の必要性

国勢調査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 05:21 UTC 版)

国勢調査の必要性

今日のような国勢調査の成立には長い歴史的な背景があるが、今日の意味での国勢調査の必要性や意義については、国際連合が世界の専門家と協議して取りまとめた「人口及び住宅センサスに関する原則と勧告(第2版)」に整理して記載されている[3]

  1. 公共政策における公平性の確保及びコンセンサスの形成のための役割(例:政府サービスの配分、議席数の配分、政府資金の地域への配分、選挙区の区割り)
  2. 国の統計体系における中核としての役割(例:経済統計や社会統計を作成する上での「ベンチマーク」(注:基準となる統計)、国の行う様々な標本調査を設計するための「フレーム」)
  3. 市町村あるいはそれ以下の地域レベルに関する詳細な統計を得るための役割(例:学区に関する統計、自然の境界による区域に関する統計)
  4. 各種の研究や分析における利用(例:人口の将来推計)

日本の国勢調査も、諸外国と同様に上記の役割を持っている。これらの役割は、標本調査や行政資料から得られる統計では代替できないことから、国勢調査には不可欠な役割があるとされる。

歴史的に見ると、人口統計については、古代ローマの頃にはすでに調査が行われていたが、その他の属性情報を含んだ国勢調査の必要性は、近代に生じた。近代国家では、各種政策を行うために現在人口の確認、将来人口の推測、国内の労働力の把握、国民の教育状況などを知る必要があるという認識が広まっていった[4]。こうした国家の人口統計調査の必要性は、「生に対する権力(国民が生まれてから死ぬまでを管理する)」(ミシェル・フーコー)や、「近代国家となり、それまで国家の枠組みに組み込まれていなかった労働者階級を国家に組み入れ、各種政策を実施するために必要なもの」(エドワード・ヒッグス)、「観察という科学と政治統治との融合」(阪上孝)などの解釈がある[4]


注釈

  1. ^ その代わり1947年臨時国勢調査が行われた。(出典:『むつ市史 年表』(むつ市・1988年12月20日発行)794頁「現代 昭和22年(1947)」より)

出典

  1. ^ 国勢調査」『デジタル大辞泉https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%9B%BD%E5%8B%A2%E8%AA%BF%E6%9F%BB/2020年9月23日閲覧 
  2. ^ センサスの語源”. 2021年11月20日閲覧。
  3. ^ a b c d 『Principles and Recommendations for Population and Housing Censuses, Revision 2』United Nations 2008年
  4. ^ a b c d e f g 『近代統計制度の国際比較』安本稔編集 2007年12月 日本経済評論社 ISBN 978-4-8188-1966-5
  5. ^ 統計局ホームページ/国勢調査のあゆみ”. www.stat.go.jp. 2024年1月30日閲覧。
  6. ^ 『United Nations Fundamental Principles of Official Statistics』United Nations 1994年
  7. ^ Barshad, Amos (2019年10月17日). “In Lebanon, a Census Is Too Dangerous to Implement” (英語). ISSN 0027-8378. https://www.thenation.com/article/archive/lebanon-census/ 2021年4月10日閲覧。 
  8. ^ 2007年6月29日付配信 NNAニュース





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