囲碁 ルール

囲碁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 05:18 UTC 版)

ルール

囲碁のルールには、いわゆる日本ルールと中国ルール、中国ルールを元に台湾で考案された計点制ルールなどがある。いずれもゲームの進め方や勝敗の判定に大きな違いはないが、細かい違いはある。以下は日本ルール(日本棋院と関西棋院による日本囲碁規約)を元に説明する。

主なルールは5つ。

  1. 碁盤の線の交差部分に黒と白が交互に打つ。
  2. (自分の領域)の多いほうが勝利。
  3. 相手の石は上下左右を囲うと取れる。
  4. 着手禁止点(自殺手)
  5. コウ

着手に関するルール

  • 黒、白の対局者が交互に自分の石を盤上の交互に着手する権利を持つ[5][注 3]。着手した石は、取られない限りそこから動かせず、盤上の石が何らかの事情で動いた場合は元の位置に戻して対局を続行する[6]
  • 相手の石に縦横に隙間なく取り囲まれると、その石は盤上に存在できなくなる[7]。一方の着手により他方の石が盤上に存在できなくなった場合、それらの石はハマとして取りあげる[8]。盤面から取り除いた時点で着手の完了とする[8]。下図の場合、黒がそれぞれ1と打った場合、△の白が取り上げられる。取られる1手前の状態を「アタリ」と言い、下図の白石はそれぞれアタリの状態である[9]
  • 自殺手は禁止(自ら取り囲まれた状態にする手の禁止)。たとえば下図で白が左上aや右上bに打つのは反則となる(黒からは打ってよい[10])。このときのaやbの地点を、白からみて着手禁止点と呼ぶ。ただし、その石を打った時点で相手の石を取ることができる場合は例外である。左下cや右下dに打てば▲の黒が取れるため、ここに白が打つのは反則にならない。[11]

石を取るルールと自殺手の禁止のルールによって、囲碁では下図のような石の配置には決してなり得ない。

  • 自分が打つことによって、相手が打った直前の局面に戻してはならない。下図の形で、黒がaに打てば△の白石を取り上げることができる。

しかしその直後、今度は下図のように▲の黒1子がアタリとなっている。白がbに打って黒石を取り返すと、上図の形に戻ってしまう。この形をコウ(劫)と呼ぶ[12]。これを繰り返すと永遠に対局が終わらないため、同一局面の反復は禁止とされている[注 4]。つまり上図で黒がaと取った直後に、白がbと取り返すのは反則となる[12]。詳しくはコウの項目を参照。

ハンディキャップ(コミ、置石)

囲碁は、先手の黒が有利な競技である。そのため、対等な条件にするために、「コミ」というルールがある。

ランダム(ニギリやジャンケンなど)によって手番が決められた場合に設定される。現在の日本ルールでは、6目半を先手の黒が負担しなければならない。後手の白の獲得した地よりも、7目以上多く獲得しないと、勝ちと認められない。0目から6目多く白より獲得しても、その場合は、後手の白の勝ちとなるため、引き分けも起こらない。このような設定の対局を、交替で先番が打てることから、「互先(たがいせん)」という。


また、ハンディキャップ戦として置碁がある[13]。指導目的の碁にも用いられる。

下手(したて)が黒を持ち、上手(うわて)が白を持ち、あらかじめ盤上に黒石を置いた状態でスタートするものである[13]

あらかじめ置かれた石を「置石」という。実力差によって、置石は一般的に2子(もく/し)から9子の範囲で調節される。棋力の差が大きければ、その分、置き石も多くなる。置石の場合、上手(うわて)の白から打ち始める。

下手(したて)が、置き石なしの状態で先に打つ場合は、「定先(じょうせん)」という。

コミのルールがつかないため、陣地の目数が同じ場合は、持碁(ジゴ)と呼ばれ、引き分けとなる(ルールによっては、勝敗を設定することもある)。

(詳しくは置碁の項目を参照)。

石の死活

先に述べた着手禁止点のルールから、2か所の離れた空間(眼と称する)を持った石は、決して取り上げることができないことになる。たとえば下図左上の黒は周辺をびっしりと白に囲まれているが、白からはaにもbにも打てないのでこの黒の一団を取り上げることができない。この場合、「黒は生きている」という言い方をする。すなわち、眼を2つ(二眼)作ることができればその石は生きになる。

なお、下図右下の黒は独立した2か所の眼を持っているわけではないため、白からcとdに打って取ることができる。これは二眼ではなく、黒は「死に」ということになる。

  • 自分がどう打っても相手が正しく対応すれば二眼を作ることができない石の一団は「死に」である。終局後に、死んでいる石はハマに加えられる。
  • 特殊なケースとして、両方ともに二眼がないが、互いに手出しできない形がある。これは「セキ」と呼ばれ、双方とも生きとして扱われる。詳細はセキの項目を参照。

勝敗に関するルール

  • 一方の活き石のみの一団に囲まれた空点[注 5]のことをと呼ぶ(日本ルールでは石の数は勝敗に関係ない)[14]
  • 地の面積とハマの数の和の大小によって勝敗を争う。形勢判断などでは、この和の数値のことを地というため、たとえば、黒地○○目、白地○○目などというときは、この和のことを言う。下図は9路盤での終局図の一例。▲の黒石は生きられないため、「ハマ」として取り上げられ、黒地に埋められる。左上から左下に広がった黒地はこれを埋めて29目、右上から右下を占拠した白地は23目で、この場合「黒の盤面6目勝ち」となる。
  • ただし囲碁の互先では、先番の黒が有利であり、その分のハンディとして「コミ」が設定されている。現在、通常コミは6目半とされており、この分を白地に足して計算する[13]。つまり上図では白が29目半になるため、コミを入れて計算した場合「白の半目勝ち」ということになる。半目とは、0.5目と同じ意味である。
  • 以前のルールでは、これ以上は打っても得をする場所がないと双方が認めて合意すると「終局」となり、その後でダメ(打っても得をしない箇所)を埋めて互いの地を数えることとされていた[15]。しかし、ルールが改変され[15]、ダメしか残っていなくても、すべてダメを埋めてからでないと終局することができないとされた[16](インターネット対局では、双方がパスをすることによって終局とするケースが多い)。
  • 対局中に三コウ以上の多元コウ、長生循環コウが発生し、双方譲らず同型反復となった場合、対局は無勝負扱いとなる[17]。詳しくは「コウ」の項目を参照。

注釈

  1. ^ 日本の公式戦で使用される囲碁のルールである「日本囲碁規約」の規定上は対局者が合意しないと、無限に続く可能性もあるため、有限なゲームとは分類されないが、事実上有限なゲームで、広くプレイされているゲームであるため、適切な停止条件を考慮した上で、二人零和有限確定完全情報ゲームとして研究されている。
  2. ^ 実際に「信長から名人の称号を受けた」かには異論もある。詳細は本因坊算砂を参照。
  3. ^ あくまでも、権利であるため、パスをして相手に手番を渡すことが認められる[5]
  4. ^ 「直前」のみならず、対局中のすべての同一局面の再現の禁止はスーパーコウルールと呼ばれる。日本ルールでは採用されていない。
  5. ^ 双方の石ともに打たれていない点のこと

出典

  1. ^ a b c 囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年7月31日閲覧。
  2. ^ 囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年7月31日閲覧。
  3. ^ 囲碁,棋聖戦,上達の指南” (日本語). 読売新聞 囲碁コラム. 2021年7月31日閲覧。
  4. ^ ふりがな付きの使用例:日本棋院発行の月刊碁ワールド2012年10月号38ページ、週刊碁2012年11月19日号18面1段最終行。
  5. ^ a b Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第1条・第2条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  6. ^ Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第13条・第14条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  7. ^ Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第4条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  8. ^ a b Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第5条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  9. ^ 囲碁の基本:囲碁の打ち方 アタリ|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月4日閲覧。
  10. ^ 囲碁の基本:囲碁の打ち方 石を打てない所|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月4日閲覧。
  11. ^ 着手禁止|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月1日閲覧。
  12. ^ a b 囲碁の基本:囲碁の打ち方 コウ|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月4日閲覧。
  13. ^ a b c 囲碁の基本:対局のルール・流れ|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月1日閲覧。
  14. ^ Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第8条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月4日閲覧。
  15. ^ a b Ⅳ 日本囲碁規約改定の概要(6)「ダメ詰め」、「手入れ」の交互着手原則(根拠の明確化)|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  16. ^ Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第9条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  17. ^ Ⅱ日本囲碁規約(ルール)逐条解説 第11条・12条|囲碁の日本棋院” (日本語). 囲碁の日本棋院. 2021年8月2日閲覧。
  18. ^ 日本棋院棋士採用規程平成30年12月4日改定
  19. ^ a b c d 岩橋 培樹 東アジアに展開される碁ビジネス -現代的な創造産業としての現状と可能性-(2009年)
  20. ^ a b 松本忠義 囲碁史における定説・通論研究の基礎、方法論
  21. ^ The Sadness and Beauty of Watching Google’s AI Play Go”. WIRED (2016年3月11日). 2016年3月12日閲覧。
  22. ^ 世界の囲碁人口分布図
  23. ^ 「レジャー白書に見るわが国の余暇の現状」
  24. ^ a b c Combinatorics of Go”. tromp.github.io. John Tromp, Gunnar Farneback. 2018年12月22日閲覧。
  25. ^ 将棋における実現可能局面数について”. www.nara-wu.ac.jp. 篠田正人、奈良女子大学理学部. 2018年12月22日閲覧。
  26. ^ a b c d e f g h i 美添一樹「モンテカルロ木探索-コンピュータ囲碁に革命を起こした新手法」『情報処理』第49巻第6号、2008年6月15日、 686–693。
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  28. ^ 田中哲朗、「ゲームの解決」 『数学』 2013年 65巻 1号 p.93-102, doi:10.11429/sugaku.0651093
  29. ^ コンピューターにプロ全勝 九路盤、巧みにミス誘う” (日本語). 朝日新聞. 2018年12月22日閲覧。
  30. ^ 「第1回囲碁電王戦」プロ棋士の張豊猷八段と平田智也三段がコンピュータに全勝” (日本語). マイナビニュース (2014年2月11日). 2018年12月22日閲覧。
  31. ^ a b c なぜ「囲碁」だったのか。なぜ「10年かかる」と言われていたのか──AlphaGo前日譚|WIRED.jp” (日本語). WIRED.jp. 2018年12月22日閲覧。
  32. ^ 日本棋院「別冊囲碁クラブNo.37囲碁雑学ものしり百科304ページ「岡目」の項 昭和56年12月」
  33. ^ おかめはちもく”. goo辞書(デジタル大辞泉). 2020年9月24日閲覧。 ただし「八目」が「八手先」を指すと解釈するのは無理がある。





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