反憲法学生委員会全国連合 主戦場としての「象徴天皇制」

反憲法学生委員会全国連合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 01:09 UTC 版)

主戦場としての「象徴天皇制」

反憲的解釈改憲路線が着目するのは、次の一点である。

占領憲法の条文には、日本を弱体化せんとする連合軍とこれに抵抗した日本国民の力関係がほぼ正確に反映されており、条文自体は極めて妥協的な、曖昧な内容となっている。よって、憲法解釈は、時々の政府、議会の政治的な力関係や、それらとリンクする様々な社会運動等によって大きく左右に移動してきたのであった(左翼勢力は既に早くからこのことに気づき、自衛隊違憲訴訟や地鎮祭訴訟等を各地で積極的に行い、憲法解釈を大きく左へ牽引する戦術をとっていた)。

すなはち、占領憲法の条文の表現の曖昧さに着目すれば、その下で制定される一般法や諸制度(制度としての憲法)の内容如何によって憲法条文の解釈にも明らかに影響を与えることができる。伝統的国体の立場に立った一般法の制定もしくは諸制度の整備がなされれば、憲法条文の解釈を着実に国体的な立場に近づけることができるのである。要するに「制度としての憲法」「イデオロギーとしての憲法」が変革されれば、かつての原則主義的「改憲論者」が、「憲法が変わらなければ実現できない」と悲憤慷慨していた大抵のことが実現できるというのだ。

路線論文には次のようにある。

「如何にラディカルな反憲思想であれ、それが観念の世界に留まる限りは、単なる抽象的な思想に過ぎない。しかしながら、それが解釈論及び個別闘争とリンクせしめられる時、それは『制度としての憲法』を具体的に変革し得る、現実的な力を持った反憲思想に転化する」

そして、「イデオロギーとしての憲法」「制度としての憲法」が変革され、憲法条文の解釈が伝統的国体の立場に大きく旋回し、これが国民多数の合意を得られる時期が到来した時点で、はじめて条文改正(=「法源としての憲法」の解体)の実現に踏み切ることができるというのである。この路線は、自民党の現状追認的な「解釈改憲論」とは異なる、占領憲法解体の志向性を明確に持った正に反憲的な「解釈改憲」路線なのである。

その後の反憲学連は、他の民族派、愛国派団体とともに直ちに元号法制化運動に取り組み、同法は昭和54年に成立した。元号法制化の実現によって、憲法第1章の解釈は、「(既に元首ではなく)象徴でしかない天皇」(「メクラ判を押すだけのロボット」宮澤俊義)から「日本国と国民の象徴であらせられる天皇」へと大きな変貌を遂げた。憲法の条文は一字一句変わっていなくとも、「象徴天皇制」の意味は劇的に伝統的国体寄りに転換したのである。

以来、民族派、愛国派陣営は結束して同様の路線を取り、「自衛隊法」の改正、「国旗国歌法」の制定、「教育基本法」の改正等を次々と勝ち取り、憲法条文の解釈を次第に転換させることに成功している。







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