勝利勲章 勝利勲章の概要

勝利勲章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/08 17:18 UTC 版)

勝利勲章
勝利勲章
 ソビエト連邦による賞
種別単種
受章資格将軍のみ
受章条件1個軍集団以上の軍隊を指揮し戦闘で勝利した、あるいはいくつかの戦線で戦況を打開し赤軍に勝利をもたらした
状態事実上の廃止
歴史・統計
創設1943年11月8日
初授与1944年4月10日
最新(最後)
の授与
1978年2月20日(剥奪)
総授与数20

勝利勲章の略綬

授与者は全17名で、うち2度受章した者は3名、外国人5名。このうちレオニード・ブレジネフは受賞資格のない者として取り消されている。

歴史

1943年6月、ソ連軍後方総本部のN・S・ネイェロフ大佐によって提案された。ネイェロフ大佐の原案では「祖国忠誠勲章」と命名されるはずであったが、1943年11月8日に公式に制定された際に「勝利勲章」と命名された[1]1944年4月10日ヴァシレフスキージューコフソ連邦元帥、そしてスターリン(ソ連軍最高司令官、大元帥)が最初に受章した。また勝利勲章は連合国軍の司令官たち(アイゼンハワーモントゴメリーなど)にも授与された。フランスシャルル・ド・ゴールにも授与する計画はあったが、結局中止された[2]。このように勝利勲章は第二次世界大戦中に活躍した軍人に与えられたが、唯一の例外が1978年に受章したブレジネフ(当時最高会議幹部会議長共産党書記長ソ連邦元帥)である。ブレジネフの勝利勲章は、授章条件を満たさない(ブレジネフは大戦中政治委員であり、軍人ではなかった)として死後の1989年に取り消された。社会主義国の他の勲章同様、同じ人物に複数回、授与可能であり(スターリンとジューコフ、ヴァシレフスキーが2度受章)、後に取り消されたブレジネフを含む17名に20回授与された。他の勲章との相違点として、通し番号が無く、受章者には勲記が渡された。また佩用者が死去後は、勲章は国家に返納しなければならなかった。現在、勲章管理のためにモスクワのクレムリンには「ダイヤモンド基金英語版」がある。

2017年12月5日ミハイ1世が崩御したことによって勝利勲章の受章者は全員故人となり、現在は誰も保有していない状態である。また、ミハイ1世はソ連崩壊後も勝利勲章を保有していた唯一の人物であった。

勲章の細部

勝利勲章は直径72ミリメートル。プラチナ製で五芒星形。174個、合計16カラット(3.2g)のダイアモンドが5つの人工ルビーの腕を囲んでちりばめられている。勲章の中心は製のメダリオンである。黄金のモスクワクレムリンにある塔のひとつ、スパスカヤ塔とレーニン廟が図案化され、同じく金の月桂樹が周りを囲んでいる。背景は青いエナメル地で[3]空を表し、上にСССР(ソ連)、下の赤い旗にはПобеда(勝利)の文字が書き表されている。勲章のデザイナーが誰なのかは詳細は不明であるが、1943年10月20日にスターリンによって現在のデザインが決定し、宝石工の手によってできた。また、アイゼンハワーは、自分の勝利勲章をアメリカの宝石店で鑑定し、オランダ王婿ベルンハルトに対して、自分の勲章は贋物だと語ったと伝えられる[4]

略綬

略綬は、44ミリ。陸軍の軍服につけられる[5]。以下の勲章を色で表している。


  1. ^ Dmitry Markov, Order of Victory - 1943 (Russian-medals.net)
  2. ^ Селиванов И. Н. Генерал де Голль- несостоявшийся кавалер ордена «Победа» // Военно-исторический журнал. — 2012. — № 1. — С. 54-57.
  3. ^ Voice of Russia, World Service in English (2005) The Order of Victory
  4. ^ Prince Bernhard of the Netherlands in an interview with H.G. Meijer, published in "Het Vliegerkruis", Amsterdam 1997, ISBN 90 6707 347 4 . page 92
  5. ^ (ロシア語) Awards and medals of the Soviet Union Орден "Победа"


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