公有地測量システム 仕組み

公有地測量システム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/11 06:17 UTC 版)

仕組み

図2:PLSSの概要

測量計画と記録

PLSSによりある地域を測量する場合、複数ステップによる手順に従う。まず最初に、いくつかの比較的大きな地域に2つの基準となる測量線を引く。基線(base line)は東西方向に、主経線(principal meridian|principal meridian)は南北に引かれる(図1参照)。これらの2つの線は基準点(initial point)として知られる場所で交わる。次に、一定間隔(場所によるが通常は24または30マイル(約38または48キロメートル))で基線と平行の標準平行線を引く。これら経線、基線、そして標準平行線により、測量対象となる地域の上に格子(グリッド)が形成される。そしてさらに、その土地を36平方マイル(約93平方キロメートル)あるいは各辺6マイル(約9.7メートル)のサーベイ・タウンシップに分割する。この作業は6マイル(10キロメートル)間隔で基線・主経線と平行にレンジ線を引くことによって行われる。最後に、タウンシップは36のセクション (米国の土地測量)(各セクションは1平方マイル(640エーカー、約2.6平方キロメートル))と144のクォーターセクション(0.25平方マイル(160エーカー、約0.65平方キロメートル))へとさらに分割される(詳細はRectangular Survey Systemを参照)。通常、連邦政府はクォーターセクション・レベルまでのみ測量し、それより小さな区画は必要に応じて後で個人の測量技師や会社によって測量される。

図3:標準的なサーベイ・タウンシップにおけるセクション区分け

タウンシップとセクションは、基準点(initial point)からのタウンシップの相対位置とタウンシップ内のセクションの位置に基づいて索引付け(indexing)される。タウンシップ、レンジ、セクションは、それぞれT、R、Sと略記され、基準点からの移動はN、S、E、Wで表現される。また、各主経線はそれぞれ独自の省略形をもつ。例えば、S13-R20E-T1S MDM は、「タウンシップ1南、レンジ20東、セクション13、ディアブロ山主経線」あるいは「基線から南に1番目かつ主経線から東に20番目のタウンシップの第13セクション」を意味する。タウンシップ中のセクションは牛耕式(boustrophedonically、左から右に次は右から左へと交互に行を進める書き方)に数えられる(図2)。北東の角から始めて、最初の行(第1-6セクション)では東から西に向かって数える。2番目の行(第7-12セクション)では西から東に数える。このように、南東の角の第36セクションまで、各行ごとに方向が互い違いになる。距離は米国測量マイル(U.S. survey mile =約1609.347 218 694m)で計測される。1米国測量マイルは80 ガンターチェーンに等しい(ガンターチェーンは測量で用いられる長さの標準単位)。国際マイル(international mile = 正確に1609.344m)とは約3.22ミリメートル異なる。このようにPLSSの計測単位が「測量マイル」であることが、米国における所有地権原において、メートル法表示に切り替えることの障壁の1つになっている。

レンジ線同士の交差する地点は「タウンシップコーナー」、セクション線と他のセクション線やレンジ線の交差する地点は「セクションコーナー」、2つのセクションコーナーの中間地点は「クォーターコーナー」と呼ばれる。これら各コーナーでは、その位置に印をつけるため「コーナーモニュメント」が地面に設置される。これらのモニュメントは法的拘束力のある印であり、その土地を売却したりその土地に定住したりする目的(測量の最終目的)で所有地の境界線を定義するために使用される。他のほとんどの測量仕様と同様、コーナーの印は時代とともに変更されてきた。19世紀においては、それらのモニュメントはほとんどの場合、石の杭、木製の標柱、あるいはそれらの組み合わせだった。使える場合は木もまた使われた。20世紀になると、多くの石によって支えられたプレート付きの鉄製の杭が使われるようになった。モニュメントを証明するため、近くにある木、岩、壕などに印が付けられた。証拠物体の正確な位置とそれらに付けられた印は、測量技師の公式野帳に記録された。証拠物体となった木は通常ベアリングトゥリー(bearing trees)と呼ばれるが、その法的な目的のためだけではなく、歴史的な森林 植生を守る観点からも極めて重要なものと認識されている。証拠物体は、たとえモニュメントが破壊された場合でも測量技師や地主が本来のコーナーモニュメントの位置を発見できるように定められる。不法居住者ホームステッド法による入植者たちが、公有地譲渡証書によって彼らの居住が脅かされると感じた場合、コーナーモニュメントを破壊することは珍しいことではなかった。このため、コーナーモニュメントあるいは証拠物体の破壊は連邦法違反とされている。

インディアナ州西部にある土地測量のための標石(レンジ・マーカー)

格子は矩形で地球は丸いので、周期的に調整が必要となる。これが、必ずしも全てのセクションが1平方マイルでなかったり、全てのタウンシップが正確に36平方マイル(93平方キロメートル)でなかったりする理由である。これらの調整は各タウンシップの内部で行われる。南東のコーナーのタウンシップからそのタウンシップのセクション測量を開始し、北東のコーナーに向かって連続的に移動する。セクションの最北および最西の列(11個のタウンシップ)は、1平方マイルから外れることが許されるが、残りの25個はこの限りではない。この方法により、湾曲効果を調整すると同時に、過度の妥協なく測量中に生じた誤差の補正が行われる。

土地の表現方法

PLSSでは、例えばある10エーカー(40,000平方メートル)の区画の説明は、NW1/4 SW1/4 SE1/4 SEC 22 T2S R3Eとなる。この説明は右から左に向って解釈される。この場合、まず、東方向に3番目のレンジ線(R3E)と南方向に2番目の基線(T2S)で指定されるタウンシップ内の第22セクション(図3参照)を示す。次にそのセクションはクォーター(各々160エーカー)に4分割され、この場合はSE(南東)クォーターセクションとなる。そのセクションは再びクォーター(40エーカー)に4分割され、この場合はSW(南西)クォーターとなる。最後にさらに再びクォーター(10エーカー(40,000平方メートル)に4分割され、この場合はNW(北西)クォーターとなる(Rectangular Survey Systemも参照)。

この例を人間の言葉で言うと、南に2番目の基線、東に3番目のレンジ線に位置するタウンシップの第22セクションのSEクォーターのSWクォーターのNWクォーター、ということになる。クォーターセクションの南半分を指すS½といった表記を行う説明もある。ある地域が人の定住するタウンシップになると、レンジ線と基線による番号の代わりにそのカウンティ名が使われるようになったが、双方は後からでも変換することができた。







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