倭・倭人関連の中国文献 『南斉書』

倭・倭人関連の中国文献

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 07:51 UTC 版)

『南斉書』

南斉書』列伝 第三十九 蛮 東南夷

「倭國、在帶方東南大海島中、漢末以來、立女王。土俗已見前史。建元元年、進新除使持節、都督倭新羅任那加羅秦韓慕韓六國諸軍事、安東大將軍、倭王武號爲鎮東大將軍。」

倭国関係は東南夷伝に書かれている。冒頭は前正史の記述を大きく抄録したもので、また中国から見た倭国の位置や女王の存在などを記す。

479年の倭国の遣使を記し、倭王武を使持節都督倭・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓六国諸軍事安東大将軍から、称号を鎮東大将軍に昇格したことなどが書かれている。

『梁職貢図』

『梁職貢図』に記された皇帝に対する周辺国や少数民族の進貢の様子の中に、倭国の記載がある。

倭国についての記述

倭国は南斉の建元(479年〜482年)に、上表した。

斯羅国(新羅)についての記述

「斯羅國,本東夷辰韓之小國也。魏時曰新羅,宋時曰斯羅,其實一也。或屬韓或屬倭,國王不能自通使聘。普通二年,其王名募秦,始使隨百濟奉表献方物。其國有城,號曰健年。其俗與高麗相類。無文字,刻木為範,言語待百濟而後通焉」[3][4]

斯羅國は元は東夷の辰韓諸国の中の一小国であった。の時代では新羅といい、劉宋の時代には斯羅というが同一の国である。或るとき韓に服属し、あるときはに服属していたため、国王は使者を派遣できなかったとしている。普通二年(521年)に、募秦王(法興王)が、初めて、百済に随伴し朝貢する使節を派遣した。斯羅国には健年城という城があり、習俗は高麗(高句麗)と類似し文字はなく木を刻んで範とした(木簡)。百済の通訳で梁と会話を行った。

韓国の歴史家ユン・ヨングは張庚模本と南京博物院旧蔵模本と比較したうえで「新羅と高句麗を含んだ7カ国の題起は完全に新しく出現した資料」とした[5]。また、張庚模本の新羅題記の中の「或屬韓或屬倭」(「或るときは韓に服属し、或るときは倭国王に服属した」)という記述について、任那日本府(369年-562年)問題や414年に建立された広開土王碑碑文における

百殘新羅舊是屬民由來朝貢而倭以耒卯年來渡海破百殘加羅新羅以為臣民

百済と新羅は高句麗属民で朝貢していた。しかし、倭が辛卯年(391年)に海を渡り百済・加羅・新羅を破り、臣民となした。 — 好太王碑

という記述解釈などの諸問題に関連して議論が起こるだろうとした[5]

『梁書』

梁書について。


注釈

  1. ^ 『三国志』「魏書」「烏桓鮮卑東夷伝」鮮卑に「後檀石槐乃案行烏侯秦水 廣袤數百里 停不流 中有魚而不能得 聞汙人善捕魚 於是檀石槐東撃汗國 得千餘家 徙置烏侯秦水上 使捕魚以助糧 至于今 烏侯秦水上有汙人數百戸」とあり裴松之の注釈で汙人を倭人とする
  2. ^ 後漢の末に遼東太守であった公孫氏が勢力を伸ばし、204年(後漢建安9年)楽浪郡の南に建てたのが帯方郡である。

出典

  1. ^ 日本放送協会 (2023年3月2日). “発見!「空白の4世紀」の古墳から何が? | NHK | WEB特集”. NHKニュース. 2023年6月27日閲覧。
  2. ^ 『続・日本の地名』岩波新書 1998年 ISBN 4004305594 31頁
  3. ^ '양직공도'서 신라ㆍ고구려 제기 발견돼 聯合ニュース(2011年8月23日)2011年9月25日閲覧。2011年8月23日、韓国の仁川都市開発公社ユン・ヨング博士により、新しく見つかった『梁職貢図』の新羅に対する題記に、新羅が倭の属国であるという一節が見つかっている。
  4. ^ 續修四庫全書 子部 芸術類藝 NAVER(2011年8月23日)2011年9月25日閲覧。8行目から「斯羅國本東夷辰韓之小國也魏時曰新羅宋時日斯羅其實一也或属韓或属倭國王不能自通使聘」とあり、倭國の属国と見なされていたことがわかる。
  5. ^ a b “'양직공도'서 신라ㆍ고구려 제기 발견돼”. 聯合ニュース. (2011年8月23日). オリジナルの2021年5月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210511192943/https://www.yna.co.kr/view/AKR20110823082800005 
  6. ^ 三木太郎「中国正史倭(倭国・倭人)伝の史料系統について[1]
  7. ^ 舊唐書東夷傳 - ウェイバックマシン(2017年5月21日アーカイブ分)
  8. ^ 舊唐書  卷一九九上 東夷伝 倭國 日本 - ウェイバックマシン(2005年1月7日アーカイブ分) < 古代史獺祭





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