位置エネルギー 性質

位置エネルギー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 01:05 UTC 版)

性質

質点に働くがポテンシャルエネルギーの微分係数として表されることから、運動方程式とそこから導入された公式を見る限りにおいては、ポテンシャルエネルギーの始点と終点での値の差だけが物理的な意味を持つ。従って、適当な積分定数を位置エネルギーにあらかじめ加えておいても構わない。ただし、特殊相対性理論においては、電磁気学との整合性から、厳密にはポテンシャルエネルギーの基準値の設定には注意が必要である。

例として、手でボールを持ち上げて、静かに離す時を考える。ボールは重力に従って下に落ちる。

ここで、このボールがもつエネルギーに着目する。ボールを持ち上げた時、そのボールは位置エネルギーを得たと考える。得たエネルギーの大きさは、ボールを持ち上げるのに必要としたエネルギーに等しい。そしてボールを支える手が離れた瞬間、位置エネルギーは運動エネルギーに変化し始める。運動エネルギーとは物体が動いているときに持つエネルギーである。ボールが落ちていくにつれて位置エネルギーは減少し、代わりに運動エネルギーが増えていく。位置エネルギー+運動エネルギー、つまり物体が持つエネルギーの全てのことを力学的エネルギーという。

落下する物体のエネルギーの移り変わり

図は落下する物体のエネルギーの移り変わりを表している。h は物体のある高さ、t時間Epot は位置エネルギー、Ekin は運動エネルギー、Etot は力学的エネルギーである。物体の落下に伴って、位置エネルギー(黄色い部分)は減少し、運動エネルギー(青い部分)は増加する。

ここで重要なのはボールが落下している間、力学的エネルギーは常に一定で変わらないということである。物体が動くときには、エネルギーの種類は変わるがその総量は増えたり減ったりしない。この法則を力学的エネルギー保存則と呼ぶ。運動エネルギーをK、位置エネルギーをU、力学的エネルギーをEとすると、K+U=Eと表される。これはニュートン力学3法則から導くことができる。

重力による位置エネルギー

地表付近において、質量m の物体が基準面から h だけ高い位置にあるとする。その物体が持つ位置エネルギーは、重力加速度を定数 -g とおくと

で表される。

上式は万有引力による位置エネルギーの地表付近での近似である。 万有引力の位置エネルギーUは、地球の質量を M万有引力定数G とすると、地球の中心から距離 r 離れた質量 m の物体について

ただし、位置エネルギーの基準点は(積分定数Cとして)任意に決められるが、通常は万有引力が零となる無限遠を基準とする。

今、地表から だけ高い質量 m の物体の位置エネルギーを考える。地球の中心から地表までの距離を R とすると、地球の中心から物体までの距離は R+h となる。前式に代入すると、

となる。地表を基準にするために、地表での位置エネルギーを引くと、

 

第1項をテイラー展開し、2次以降の式は小さいので0と見なして省略すると

となり、第2項の 

 (Fは地表の物体にかかる力)

は地表付近の重力加速度 g だから置き換えると、

となる。

位置水頭

流体の位置エネルギーを水柱の高さに置き換えたものを位置水頭という。水の位置エネルギーはベルヌーイの定理により、水力として利用される。








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