交響曲第3番 (ブルックナー) 演奏時間

交響曲第3番 (ブルックナー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/01 13:55 UTC 版)

演奏時間

初稿が約70分、第2稿が約60分、第3稿が約55分(各21分、14分、7分、13分)である[5]

楽曲の構成

第1楽章

適度に、神秘的に(第1稿)
適度に、より動きをもって、神秘的に(第2稿)
遅めに、神秘的に(第3稿)
ニ短調 2/2拍子 ソナタ形式

の下降する音型を背景にトランペットによって第一主題の旋律がでてくるが、こうした明確な二元的音響構成は、ニ短調交響曲(1869年)の手痛い経験からともいえよう。経過句に入り少しずつ膨らんで行き、頂点部分で特徴的な旋律を力強く演奏しフェルマータで休止する。曲は静まり主題を確保後、経過句もほぼ同様に繰り返す。再度静かになると第二主題の登場となる。 第二主題は3+2、および2+3のブルックナーリズムによって対位法的に構成される。この主題は少しずつ変化しながら展開され、主題冒頭の動機を使って高揚するとクライマックスを築く。

第三主題が金管で提示される。第三主題も同じリズムを用いエコーの効果を示しながら進んでいく。提示部の終わりにはミサ曲第1番ニ短調のグローリアのなかのミゼレーレの部分が奏され、宗教的イメージとの関連をうかがわせる。 展開部の初めは第一主題の反行形が木管で演奏され、短い応答部分を経ると次第に曲が大きく発展し、第一主題を使ってクラマックスを築く。展開部の終わりにはワーグナーのトリスタンやワルキューレからの引用と思われる楽句が初稿ではおかれていたが次の稿ではもうその部分は削除されている。展開部から再現部へ移行する際に木管に交響曲第2番第一楽章の第一主題が現れる。再現部はかたどおりである。

コーダにはベートーヴェン交響曲第9番からの影響と思われる、オスティナート・バスによる形成が見られる。

なお、1稿は全体的に経過部分が長くなっており、終結部も異なる。また、2稿と3稿では展開部や終結部に大きな違いがる。

第2楽章

アダージョ、荘重に(第1稿)
アンダンテ、動きをもって、荘重に、クワジ・アダージョ(第2稿)
アダージョ、動きをもって、クワジ・アンダンテ(第3稿)
変ホ長調 4/4拍子 A-B-C-B-Aの形式

第1主題(A)は美しく更に内面的な旋律で、第2主題(B)はヴィオラが奏でる。中間部(C)は神秘的にと書かれた楽想で、第1主題の再現で頂点となる。ここでの管弦楽法はワーグナーの影響が反映されている。コーダも美しい音楽で、その頂点のあとには『ワルキューレ』の眠りの動機が引用されている。

第3楽章

スケルツォ かなり急速に ニ短調 トリオ:同じテンポで イ長調 3/4拍子

何かを問いかけるようなヴァイオリンの旋回モチーフと、それに応じる低弦のピッツィカートとが交互に現れて序奏を形成し、最強音で主題が開始される。中間部には六度の下降を特徴とする歌謡的な楽句が現れるがその軽やかなワルツ的な伴奏は、トリオを予告しているといえよう。トリオはピッツィカートをおりまぜたワルツの雰囲気の濃い曲である。細部において1稿、2稿、3稿ともそれぞれ異なる。なお、2稿のみダカーポ後にコーダへ移行する。

第4楽章

アレグロ ニ短調~ニ長調 2/2拍子 自由なソナタ形式

第1稿、第2稿では展開部と再現部とが分かれているが、第3稿ではブルックナーが晩年に用いた、展開部と再現部が合体した形をとっていて、再現部は第2主題から始まる。コーダの最後には第1楽章の冒頭主題がニ長調で大きく鳴らされて全曲をしめくくる。ただし、第1稿ではこの部分はなく、その2小節前で終わってしまうので、この終わり方に聴きなれた聴衆からすると何とも中途半端に聞こえてしまうのはやむをえまい。

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ 『ブルックナー交響曲』ハンス=ヨアヒム・ヒンリヒセン、高松佑介 訳、春秋社 2018年
  2. ^ p. 97に写真掲載
  3. ^ Anton Bruckner Gesamtausgabe Briefe 1852-1886 p. 144 (Musikwissenschaftlichter Verlag Der Int. Brucknergesellschaft Wien)
  4. ^ Paul Kildea, Benjamin Britten: A Life in the Twentieth Century, p. 166
  5. ^ 『作曲家◎人と作品シリーズ/ブルックナー(音楽之友社)』より





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