丸山湿原群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/28 07:20 UTC 版)
湿原の生物
丸山湿原群で見られる代表的な植物はサギソウ、トキソウ、カキラン、ミミカキグサ、モウセンゴケ、動物では日本最小のトンボであるハッチョウトンボやヒメタイコウチ、カスミサンショウウオなど[24][25]。湿原群の生物は専門家によって適宜調査されており、2001年時点で兵庫県のレッドデータにランクされている動植物が20種以上確認されている[26]。2011年のデータでは当時の兵庫県のレッドデータブックの分類で、植物ではAランクが1種、Bランクが2種、Cランクが16種確認されており、動物ではAランクのルリビタキ、アオジ、ヒメタイコウチ、Bランクのハッチョウトンボ、セトウチサンショウウオ(以前はカスミサンショウウオと分類)を含む8種、Cランクの6種が確認されている[27][注釈 7]
保存と活用
2006年に発足した「丸山湿原群保全の会」[注釈 8]は下記の活動を行っている[25]。
- 湿原保全管理:ひょうご環境創造協会と協力して湿原とその周辺の管理、保全作業として湿原への日射を遮る周縁の樹木の伐採と、周囲の山の樹木の間伐を定期的に実施している[25][29]。
- セミナーの実施:丸山湿原群や生物多様性に関するセミナーを実施[25][30]。
- モニタリング調査:保全管理後の効果を確認し今後の保全方策に活かすために、丸山湿原群の状態を長期モニタリングしている[25][31]。
また、阪神北県民局管内の宝塚市、三田市、川西市、伊丹市、猪名川町にある30か所の里山を展示物として見立てた「北摂里山30」のひとつとして、丸山湿原群が保有する貴重な生態系を「生きた博物館」として捉え環境学習や学術研究の場として利活用するために、2014年に宝塚市、2015年に兵庫県の天然記念物に指定された[14]。
アクセス
兵庫県道33号塩瀬宝塚線のバス停「西谷の森公園口」がある交差点で分岐した「宝塚西谷の森公園」へのアクセス道の突き当りのさらに奥の丘陵地にある。丸山湿原群周辺は車や自転車の乗り入れができないが、湿原群から徒歩約15分のところに8台分の駐車スペースがある「丸山湿原群入口駐車場」がある。
注釈
- ^ 丸山湿原のように日本の温暖帯にあって泥炭を伴わず、湧き水で涵養される湿地を「湧水湿原」または「湧水湿地」と呼ぶ[1][2]。丸山湿原については目立った湧水は無く、周囲から水が滲み出しているため「滲水湿原」と呼ぶべきという意見もある[3]。
- ^ 丸山湿原群を含む宝塚市北部は、合併前の旧村名の西谷村 (兵庫県川辺郡)から「西谷地域」と呼ばれている。
- ^ 丸山湿原エコミュージアム推進協議会の活動は宝塚市と兵庫県阪神北県民局が資金を支援している[14]。
- ^ 宝塚市北部から三田市にかけての地表は中生代に堆積した境野溶結凝灰岩からなる有馬層群で覆われている[5]有馬層群の解説。
- ^ 北摂里山博物館のHP参照。
- ^ この調査には2006年に行われた植生管理により湿地面積が増大した丸山湿原群は含まれていない。
- ^ 兵庫県の絶滅危惧種の分類は環境省の分類とは異なっており、内容も数年ごとに見直されている。[1]
- ^ これに先立ち、2004年に「湿原研究協議会」が組織され、保存の会発足以前にもワークショップが行われいてる[28]。
出典
- ^ a b 福井聡ら 2011, p. 487.
- ^ 福井聡ら 2012, p. 457.
- ^ 服部保 2017, p. 15.
- ^ 福井聡ら 2011, p. 489.
- ^ a b c 服部保 2017, p. 12.
- ^ 足立勲 2001, p. 2.
- ^ 服部保 2017, p. 10.
- ^ 2020年版でもAランクとして掲載されている
- ^ “環境省_「重要湿地」の詳細情報(丸山湿原群)”. 環境省. 2022年10月1日閲覧。
- ^ “環境省_「重要里地里山」_詳細情報(西谷地区)”. 環境省. 2022年10月1日閲覧。
- ^ 服部保 2017, pp. 16–18.
- ^ “TOP│丸山湿原群保全の会”. 丸山湿原群保全の会. 2022年10月1日閲覧。
- ^ 服部保 2017, p. 11.
- ^ a b c 北摂里山西谷案内人ガイドブック, p. 23.
- ^ ひょうご環境創造協会 編「第2章 皿池湿原の現状と課題」『皿池湿原保全活動計画: 生物多様性さらいけ戦略』三田市市民生活部環境衛生課、2016年6月 。
- ^ 各湿原の面積は、丸山湿原群保全の会によるパンフレットより
- ^ a b 北摂里山西谷案内人ガイドブック, p. 21.
- ^ 服部保 2017, p. 16.
- ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック, p. 11.
- ^ 服部保 2017, pp. 12–15.
- ^ 福井聡ら 2012.
- ^ 福井聡ら 2011.
- ^ 第二湿原横の説明版より
- ^ 北摂里山西谷案内人ガイドブック, p. 22.
- ^ a b c d e 丸山湿原群保全の会パンフレット.
- ^ 足立勲 2001, pp. 3–5.
- ^ 服部保 2017, p. 18.
- ^ 岸 2016, p. 7.
- ^ 今住 & 水田 2018, p. 77.
- ^ 今住 & 水田 2018, p. 76.
- ^ 宝塚市 2021, p. 21.
- 1 丸山湿原群とは
- 2 丸山湿原群の概要
- 3 湿原の生物
- 4 脚注
- 丸山湿原群のページへのリンク