中国麻雀 中国麻雀の概要

中国麻雀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 04:46 UTC 版)

摸打中の中国麻雀

日本と同様に様々なローカルルールが存在するが、ここでは中国政府認定の国際公式ルールについて解説する。中国国内では、「国標麻将」(国标麻将、guó biāo má jiàng/グオビャオマーヂャン)と呼ばれている。

制定の経緯

国際公式ルール1998年1月、中国の政府機関である国家体育総局が麻雀を255番目の体育種目として認定したのを受けて同年9月に制定された正式のルールである。中国にも日本と同様に地方によって様々なローカルルールが存在するが、それらをまとめ役を絞ることによって作られた中国麻雀の集大成とも言うべきルールであると言える。

ルールを制定した目的の一つが、世界選手権などの国際大会の開催であった(北京オリンピックなどのスポーツ大会にマインドスポーツの一競技として採用を目指していたともいわれている)。日本でもいくつかの有力な麻雀団体がこの動きに賛同。国際公式ルールと銘打ち日本語によるルールブックの出版、各地での教室開設、大会の開催などがされるようになった。

ただ国際公式と称しても中国国外にはほとんど浸透しておらず、現在のところは中国統一ルールと呼ぶのが適切な状況である。従って、以下の解説では簡単に中国ルールと呼ぶことにする。

ルールの歴史

2006年、世界麻将組織によって麻将競賽規則(麻雀競技規則の意)が制定され役の点数や複合の可否にいくつか変更があった。これは厳密にいえば中国麻将競賽規則を基にして新たに作られたルールであり、正式な改訂とはいえない。それゆえ中国国内でも採用していない団体・大会もある。しかし2007年のヨーロッパ選手権および同年の世界選手権で採用され日本でも比較的大きな大会で採用されている実績があることから、日本では最新の中国ルールとして認識されていることが多い。

2014年に麻将競賽規則が改定され、役名の一部変更のほか、「国際麻雀競技初級規則」という初級簡易ルールが新設された[1]。通常中国ルールと比較して、採用役が大幅に縮小される、和了条件の8点縛りが6点縛りになる、他家和了時に必ず支払う8点が廃止されるなどの変更点がある。以下、初級ルールと呼ぶことにする。

日本麻雀との違い

同じ麻雀であっても日本の一般的なルールとは大きく違い、全く別のゲームと言ってもよい。以下、その相違点を挙げる。

進行の違い

  • 日本ルールでは34種136枚の牌を使うが、中国ルールではそれに加えて8枚の花牌を使う。
  • 和了時の発声は、ツモ/ロンに関係なく「和(フー)」である。複数人から和了が宣告された場合、和了の権利は頭ハネ。
  • 日本ルールは半荘制だが中国ルールは一荘制、すなわち東場から北場まで16局行う。場が変わる時に、席替えを行う。親の連荘はない。
  • フリテンはなく、8点以上あるならばいつ何であがっても構わない。食い替えも自由。
  • ドラ王牌はなく、山は最後の1枚までツモる。王牌自体がないため、嶺上牌を山から取る。
  • 九種九牌四風子連打四開槓などの途中流局はない(日本麻雀においても、途中流局を採用していない団体はいくつか存在する)。
  • 暗槓は4牌全て伏せて行う。局の終了時に初めて開示される。
  • 牌山を全て取り切って誰もあがれず流局しても、テンパイであるかどうかの確認は行わない(暗槓された牌の開示はする)。ノーテン罰符の収支も行わない。
  • 錯和が起こったときも続行できれば続行する。
  • 錯和の罰は10点オールの罰符と、あがり放棄である。
  • 鳴きの間違い、見せ牌などの規定についても統一ルール内に明確に定められている。
  • 評価基準としては、標準分/テーブルポイントなどと呼ばれる順位点が設定されている。1位から順に4,2,1,0の点数が割り振られており、大会の順位なども順位点のみの合計で決定する(順位点による評価で同点の場合に、素点の合計で優劣を決めることが多い)。

点数計算の違い

  • 日本ルールでは点数を符と飜で計算するが、中国ルールでは「点」を使う。役にはそれぞれ点数が定まっており、その単純な足し算によって計算される。
  • 上記のような点数計算である故に、点数のやりとりに点棒を用いない。点数は帳簿に記入して記録する。
  • 日本ルールは1飜縛りだが、中国ルールは8点縛りである。すなわち8点以上の手でなければあがれない。
  • 日本ではロンあがりの場合は放銃者の一人払い(責任払い)だが中国ルールでは放銃者は8点+あがり点を払い、他の2人も8点支払う。またツモあがりの場合は3人とも8点+あがり点を払う。すなわちツモあがりはロンあがりの3倍近い点数が得られることになる。
  • 点の収支に親子の区別は存在しない。

役の違い

  • 日本ルールの役は30種類ほどだが、中国ルールの役は81種類ある。日本では符計算に使うような待ちの形や門前ロンといったものも役であるし、日本では馴染みのないような役も多数ある。
  • 日本ルールの満貫のような点数打ち切りはない。可能性のある役はすべて数えて計算する。日本ルールにおける役満貫相当の88点役、64点役についても同様である。
  • 食い下がりはない。門前であること自体が条件である役を除いては、門前でもそうでなくとも点は変わらない。全求人・無番和など副露が必要な役も存在する。
  • 日本麻雀のような、「形自体は副露してもできるが、門前が条件である役」はなく、門前役はすべて「そもそも副露できない役」である。
  • リーチはない。よってそれに付随する役(一発ダブルリーチ)も存在しない。
  • 天和地和はない。
  • 九蓮宝燈は純正九連宝燈のテンパイ形であることが必要。
  • 混全帯么九純全帯么九は区別していない(純全帯么九は、大抵は全帯幺・無字・幺九刻または全帯幺・平和の6点となる)。
  • 二盃口に相当する役はない(大抵は七対の24点となる)。
  • 平和は順子4組で雀頭が数牌であればなんでもよく、待ちもリャンメン待ちでなくてもよい。副露していてもよい。字牌自体を使用できないため、混一色とは複合しない(日本ルールは客風牌が雀頭であれば複合する)。
  • 海底撈月嶺上開花に相当する役は複合する。

国内での解釈

上に挙げた日本のルールとの違いのうち、用具に関するものやゲームの本質に関係ないものは日本国内で多少異なったルールが使われることがある。以下にそのような点を挙げる。なお言い切りの形で述べているが、日本国内では必ずそうであるという意味ではない

  • 日本麻雀と同様に点棒を用いる。100点棒を1点として扱う(他の点棒も同比率で変換する)。
  • 花牌が用意できないときは、使用しない。その場合、花牌役はなくなる。
  • 評価基準として、素点+ウマを使用する。
  • 時間や起家マークなどの制約で、半荘単位で行う。
  • 錯和やその他の罰則を、日本麻雀の慣例に則ったものに変更する。
  • 役の点数はすべて合計ではなく、88点で打ち切る(満貫制)。このとき、1局で得られる点数は最大288点となる。



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