ローター・コラッツ ローター・コラッツの概要

ローター・コラッツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 02:29 UTC 版)

Lothar Collatz
ローター・コラッツ
ローター・コラッツ (Photo courtesy MFO)
生誕 (1910-07-06) 1910年7月6日
ドイツ帝国 ヴェストファーレン州アルンスベルク
死没 1990年9月26日(1990-09-26)(80歳)
 ブルガリア ヴァルナ
国籍 ドイツ
研究分野 数学
研究機関 ベルリン大学
カールスルーエ工科大学
ダルムシュタット工科大学
ハノーファー大学
ハンブルク大学
教育 グライフスヴァルト大学英語版
ベルリン大学
博士課程
指導教員
アルフレート・クローゼ英語版
エルハルト・シュミット
博士課程
指導学生
フランク・ナッテラー英語版
ハインツ・ウンガードイツ語版
主な業績 コラッツ予想
コラッツ=ヴィーランドの公式
スペクトルグラフ理論
プロジェクト:人物伝
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未だ未解決であるコラッツの問題を提起した[1]。また、線型代数学における単調行列の導入(1952年)[2][3]ペロン=フロベニウスの定理に関連するコラッツ=ヴィーランド (Collatz-Wielandt) の公式、固有値精度保証付き数値計算に用いられるコラッツの包含定理でも知られている[4]。また、1957年に発表したウルリッヒ・シノゴヴィッツ[5]との共同論文により、スペクトルグラフ理論の分野を確立した。

生涯

1910年7月6日にドイツ帝国ヴェストファーレン州アルンスベルクで生まれた。

1928年3月、シュテティーンマリエンシュティフツ・ギムナジウムドイツ語版アビトゥーアに合格した[6]。その後、1928年から1933年にかけて、ベルリン大学ミュンヘン大学グライフスヴァルト大学英語版ゲッティンゲン大学などドイツ各地の大学で数学と物理学を学び、エルハルト・シュミットリヒャルト・フォン・ミーゼスダフィット・ヒルベルトエルヴィン・シュレーディンガーリヒャルト・クーラントコンスタンティン・カラテオドリの講義を聴講した。

1933年に教員になるための国家試験に合格した。1935年にアルフレート・クローゼ英語版、エルハルト・シュミットの指導のもとで博士号を取得した。博士論文のタイトルは"Das Differenzenverfahren mit höherer Approximation für lineare Differentialgleichungen"(線形微分方程式のための高次近似を用いた有限差分法)だった。実際の指導はフォン・ミーゼスから受けていたが、フォン・ミーゼスは先祖にユダヤ人がいたためドイツを離れざるを得なくなった。

コラッツは1933年に突撃隊 (SA) に、1935年に国家社会主義講演者連盟に、1937年に国民社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)に入った[7]

大学卒業後はベルリン大学で助手を務めた後、1935年から1937年までカールスルーエ工科大学に在籍し、1938年から1943年までカールスルーエ工科大学で私講師として働いた。第二次世界大戦中は、ダルムシュタット工科大学実用数学研究所でアルウィン・ヴァルター英語版のもとでロケットの研究に従事した[8]

1940年にマーサ・トグニー (Martha Togny) と結婚した。

1943年からハノーファー大学教授、1952年からハンブルク大学教授を務めた。1953年、ハンブルク大学に応用数学研究所を設立した。1978年に定年退職して名誉教授となった後も、積極的に学会に参加した。1990年9月26日、ブルガリアヴァルナで学会に出席中、心臓発作により急逝した[9]

国際産業数理・応用数理会議 (ICIAM) とドイツの応用数理・機械学会英語版は共同で、1999年にコラッツ賞ドイツ語版を制定した。

賞と栄誉


  1. ^ Weisstein, Eric W. "Collatz Problem." From MathWorld--A Wolfram Web Resource. http://mathworld.wolfram.com/CollatzProblem.html
  2. ^ 山本哲朗『数値解析入門』(増訂版)サイエンス社〈サイエンスライブラリ 現代数学への入門 14〉、2003年6月。ISBN 4-7819-1038-6 
  3. ^ L. Collatz, Aubgaben monotoner Art, Arch. Math. 3 (1952), 366-376.
  4. ^ 大石進一:「精度保証付き数値計算」、コロナ社、(1999年)
  5. ^ Von Collatz, L. and Sinogowitz, U., 1957, December. Spektren endlicher Grafen. In Abhandlungen aus dem Mathematischen Seminar der Universität Hamburg (vol. 21, no. 1, pp. 63–77). Springer-Verlag.
  6. ^ Ingo Althöfer: Lothar Collatz zwischen 1933 und 1950 – Eine Teilbiographie. 3-Hirn-Verlag, Lage (Lippe), 2019, S. 6 und 105.
  7. ^ Jung, Michael: Eine neue Zeit. Ein neuer Geist? : Eine Untersuchung über die NS-Belastung der nach 1945 an der Technischen Hochschule Hannover tätigen Professoren unter besonderer Berücksichtigung der Rektoren und Senatsmitglieder. Petersberg : Michael Imhof, 2020, doi:10.15488/10204
  8. ^ Webmaster, Dept Mathematik (2019年8月22日). “Homepage Lothar Collatz (ug)” (ドイツ語). www.math.uni-hamburg.de. 2019年9月16日閲覧。
  9. ^ PII: 0021-9045(91)90108-M”. math.techniion.ac.li. 2022年10月15日閲覧。
  10. ^ Milne, William Edmund (1953). “Review: Numerische Behandlung von Differentialgleichungen, by L. Collatz, 1951”. Bull. Amer. Math. Soc. 59 (1): 94–96. doi:10.1090/s0002-9904-1953-09668-9. https://www.ams.org/journals/bull/1953-59-01/S0002-9904-1953-09668-9/. 
  11. ^ Milne, William Edmund (1956). “Review: Numerische Behandlung von Differentialgleichungen, by L. Collatz, 1955”. Bull. Amer. Math. Soc. 62 (1): 74. doi:10.1090/s0002-9904-1956-09990-2. https://www.ams.org/journals/bull/1956-62-01/S0002-9904-1956-09990-2/. 


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