ユーロクリア T2S参加をめぐる分裂

ユーロクリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/20 08:17 UTC 版)

T2S参加をめぐる分裂

2001年からはグループのユーロクリアバンクに事業を移した。同年シコバンを買収[注釈 2]。2002年、英決済機関クレストを買収[注釈 3]。CIKの業務を承継[10]。2004年、ユーロクリアバンク=クリアストリーム間の決済システムがリニューアルして日中の処理が自動化した[10]。ユーロクリアバンクと買収済み証券集中保管機関を統括する親会社がつくられ(Euroclear SA/NA)、これが2006年1月CIKを買収した[10]。2007年、ユーロクリアフランスは株式と債権で分かれていた証券決済プラットフォームを一本化[12]

2007年11月にターゲット2(TARGET2)を稼動させ、後に世界金融危機を迎えた。2000年に宣言していた各国証券集中保管機関の統合は2009年に完遂された。それまでにユーロクリアバンクは香港金融管理局の営業許可を得た[10]

2010年ユーロクリアUK/アイルランドは、3年前に買収したジョバー役ルーティングサービス(EMXCo)を完全統合した[10]

2012年、欧州中央銀行が新たに構築した単一の取引決済プラットフォーム(TARGET2-Securities, T2S)を発足させる計画に、ユーロクリアグループは交渉の末[13]、ユーロクリアUK/アイルランドとユーロクリアスウェーデンを除いて参加を表明した[14][10]。2013年、モスクワ取引所が開かれ、ロシア連邦金融市場庁は預託機関を決済機関として認めた。モスクワ取引所の預託機関(National Settlement Depository)は、ユーロクリアバンクとクリアストリームに接続した[1]

欧州委員会店頭デリバティブ市場の急拡大を受け、欧州市場インフラ規則と決済保証機関(Central counterparty clearing)と取引情報蓄積機関(Trade Repository)をつくった。2012年8月12日、欧州市場インフラ規則が通常のデリバティブ契約は決済保証機関を通すように要求した。2013年9月、ドバイ金商取引所(Dubai Gold & Commodities Exchange)の全取引を保証するドバイ商品決済会社(Dubai Commodities Clearing Corporation)が中東で初めて決済保証機関に参加した。[10]


注釈

  1. ^ 原初Euro-Clearとハイフンをつけていたが、1990年からつけなくなった。
  2. ^ シコバンは1998年フランス銀行から国債などの証券決済業務を引き継いでいた。
  3. ^ 1996年7月にイングランド銀行が中心となって設立された。イギリスでは、日本と同様、商品毎に決済システムが分立していたが、国債、短期金融商品についても1999年にCRESTに統合された。
  4. ^ バンク・オブ・ニューヨーク・メロンはユーロクリアから複数の人材を登用している[16]
  5. ^ RUFO条項は、ホールドアウト債権者に過去の債務再編時よりも良い条件を提示することを禁じている。[19]

出典

  1. ^ a b 金融先物取引業協会 会報 No.96 平成25年3月
  2. ^ Reuters, "Kazakhstan working with Euroclear on securities link", January 24, 2018
  3. ^ Reuters, "Euroclear to offer dollar settlement in central bank money for first time", October 1, 2018
  4. ^ Times, "Euroclear connects to US Federal Reserve settlement service", October 2 2018
  5. ^ a b 富田俊基 『国債の歴史 金利に凝縮された過去と未来』 東洋経済新報社 2006年 463頁
  6. ^ a b 河本一郎 「株券振替決済制度に関する諸問題」 証券研究 第41巻 1975年2月 76頁
  7. ^ Peter Norman, Plumbers and Visionaries: Securities Settlement and Europe's Financial Market, John Wiley & Sons, 2008, p.40.
  8. ^ 河本一郎 「株券振替決済制度に関する諸問題」 証券研究 第41巻 1975年2月 77頁
  9. ^ 河本一郎 「株券振替決済制度に関する諸問題」 証券研究 第41巻 1975年2月 37頁
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r International Directory of Company Histories, Vol.188. pp.156-160.
  11. ^ 『日本証券史資料 戦後編 別巻二 証券年表(明治・大正・昭和)』 日本証券経済研究所 1989年
  12. ^ 野村総合研究所 ユーロクリア・フランスがプラットフォームを一本化 (PDF) 2007年12月
  13. ^ 野村総合研究所 2015年に延期された欧州T2Sの実現 2011年12月号
  14. ^ “ECBの決済プラットフォーム、ユーロ圏の大半の決済機関が参加表明”. ロイター. (2012年7月4日). http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE86303C20120704 
  15. ^ “アルゼンチンのユーロ建て債保有者がユーロクリアなどを提訴”. Bloomberg. (2014年7月7日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N8BJ9L6JTSES01.html 
  16. ^ “BNY Mellon taps another Euroclear veteran for European business”. GlobalCustodian. (2018年6月14日). https://www.globalcustodian.com/bny-mellon-taps-another-euroclear-veteran-european-business/ 
  17. ^ 国際通貨研究所 蓄積した歪みの是正を迫られるアルゼンチン (PDF) p.8.
  18. ^ 外務省 アルゼンチン共和国基礎データ 13.経済概要
  19. ^ “アルゼンチン債務問題で協議、一部債権者は支払命令停止要請”. ロイター. (2014年7月30日). http://jp.reuters.com/article/arg-idJPKBN0FY2EA20140730 
  20. ^ a b 在アルゼンチン日本国大使館 2014年7月アルゼンチンの経済情勢 2014年8月作成
  21. ^ “アルゼンチン債務問題、米地裁が銀行などからの申立を22日審理へ”. ロイター. (2014年7月17日). http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0PR5XC20140716 
  22. ^ 在アルゼンチン日本国大使館 2014年8月アルゼンチンの経済情勢 2014年9月作成
  23. ^ “アルゼンチン、ホールドアウト債権者からの協議再開要請を検討”. ロイター. (2015年2月20日). http://jp.reuters.com/article/argentina-holdoutw-idJPKBN0LO0BE20150220 
  24. ^ 在アルゼンチン日本国大使館 2015年3月アルゼンチンの経済情勢 2015年4月作成
  25. ^ 日銀 決済インフラを巡る国際的な潮流とわが国への含意 2012年5月 HKMA/Euroclear(汎アジアCSDアライアンス)
  26. ^ エルネスト・バックス ドゥニ・ロベール 『マネーロンダリングの代理人 暴かれた巨大決済会社の暗部』 徳間書店 2002年 pp.179-180.





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