ユーロクリア ブラックロックと握手

ユーロクリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/20 08:17 UTC 版)

ブラックロックと握手

ミューチュアル・ファンドは、スチュワードシップ・コードを携え規制改革の青写真およびT2Sの運用を主導しながら、ユーロクリアバンクが成長する決定的な機会をもたらした。機関投資家用のプラットフォーム(FundSettle International)は2015年までに香港とシンガポールまで拡張されたが、そのときユーロクリアは韓国の証券集中保管機関と交渉中だった。世界のトップ5に属する証券集中保管機関は、予定されていた2015年までにT2Sへ接続された。しかしユーロクリアバンクは、「ユーロネクスト銘柄決済(ESES)」の移管が予定よりも半年遅れて2016年9月になると発表した。[10]

ESESをT2Sへ移管するのが遅れた半年は、例のプラットフォームを拡張する進行方向で1MDBスキャンダルが爆発していた。

ユーロクリアフィンランドは2017年9月まで移管を見送った[10]。この時期、米大統領のロシア利権が取りざたされていた。

ユーロクリアバンクは、2016年初頭ブロックチェーンの潮流に乗って、機関投資家用プラットフォームを証券ポストトレードに統合した。そのときユーロクリアバンクのファンド決済業務は、1100万のファンド・オーダー(ファンド用ジョバーシステム)と、2兆をこえるファンドの口座を抱えるまでに成長していた。新設のユーロクリア・ファンズプレイス(Euroclear FundsPlace)は、ミューチュアル・ファンド、ヘッジファンド、そして上場投資信託の自動営業プラットフォームであった。一般投資家は900のミューチュアル・ファンド本部と400のヘッジファンド本部を通して27カ国のファンドにアクセスできるようになっていた。このシステムは、もはや言うまでもないが、ブローカーとジョバーを兼ねたルーティングをやり、口座開設もできて、膨大なリアルタイムグロス決済を機械処理しながら投資顧問業も請け負った。ユーロクリア・ファンズプレイスは2016年メキシコでも、とりあえずミューチュアル・ファンド用の類似制度を構築する計画である。ユーロクリアバンクは投資信託市場のグローバル化を追求しつづけ、ブラックロックとヨーロッパ上場投資信託決済制度を共同開発することにした。世界金融危機、ブレグジット、1MDB問題、欧州市場インフラ規則およびその他一切の障害をものともせず、ユーロクリアバンクは地球の決済を支配しようと意欲している。[10]


注釈

  1. ^ 原初Euro-Clearとハイフンをつけていたが、1990年からつけなくなった。
  2. ^ シコバンは1998年フランス銀行から国債などの証券決済業務を引き継いでいた。
  3. ^ 1996年7月にイングランド銀行が中心となって設立された。イギリスでは、日本と同様、商品毎に決済システムが分立していたが、国債、短期金融商品についても1999年にCRESTに統合された。
  4. ^ バンク・オブ・ニューヨーク・メロンはユーロクリアから複数の人材を登用している[16]
  5. ^ RUFO条項は、ホールドアウト債権者に過去の債務再編時よりも良い条件を提示することを禁じている。[19]

出典

  1. ^ a b 金融先物取引業協会 会報 No.96 平成25年3月
  2. ^ Reuters, "Kazakhstan working with Euroclear on securities link", January 24, 2018
  3. ^ Reuters, "Euroclear to offer dollar settlement in central bank money for first time", October 1, 2018
  4. ^ Times, "Euroclear connects to US Federal Reserve settlement service", October 2 2018
  5. ^ a b 富田俊基 『国債の歴史 金利に凝縮された過去と未来』 東洋経済新報社 2006年 463頁
  6. ^ a b 河本一郎 「株券振替決済制度に関する諸問題」 証券研究 第41巻 1975年2月 76頁
  7. ^ Peter Norman, Plumbers and Visionaries: Securities Settlement and Europe's Financial Market, John Wiley & Sons, 2008, p.40.
  8. ^ 河本一郎 「株券振替決済制度に関する諸問題」 証券研究 第41巻 1975年2月 77頁
  9. ^ 河本一郎 「株券振替決済制度に関する諸問題」 証券研究 第41巻 1975年2月 37頁
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r International Directory of Company Histories, Vol.188. pp.156-160.
  11. ^ 『日本証券史資料 戦後編 別巻二 証券年表(明治・大正・昭和)』 日本証券経済研究所 1989年
  12. ^ 野村総合研究所 ユーロクリア・フランスがプラットフォームを一本化 (PDF) 2007年12月
  13. ^ 野村総合研究所 2015年に延期された欧州T2Sの実現 2011年12月号
  14. ^ “ECBの決済プラットフォーム、ユーロ圏の大半の決済機関が参加表明”. ロイター. (2012年7月4日). http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE86303C20120704 
  15. ^ “アルゼンチンのユーロ建て債保有者がユーロクリアなどを提訴”. Bloomberg. (2014年7月7日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N8BJ9L6JTSES01.html 
  16. ^ “BNY Mellon taps another Euroclear veteran for European business”. GlobalCustodian. (2018年6月14日). https://www.globalcustodian.com/bny-mellon-taps-another-euroclear-veteran-european-business/ 
  17. ^ 国際通貨研究所 蓄積した歪みの是正を迫られるアルゼンチン (PDF) p.8.
  18. ^ 外務省 アルゼンチン共和国基礎データ 13.経済概要
  19. ^ “アルゼンチン債務問題で協議、一部債権者は支払命令停止要請”. ロイター. (2014年7月30日). http://jp.reuters.com/article/arg-idJPKBN0FY2EA20140730 
  20. ^ a b 在アルゼンチン日本国大使館 2014年7月アルゼンチンの経済情勢 2014年8月作成
  21. ^ “アルゼンチン債務問題、米地裁が銀行などからの申立を22日審理へ”. ロイター. (2014年7月17日). http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0PR5XC20140716 
  22. ^ 在アルゼンチン日本国大使館 2014年8月アルゼンチンの経済情勢 2014年9月作成
  23. ^ “アルゼンチン、ホールドアウト債権者からの協議再開要請を検討”. ロイター. (2015年2月20日). http://jp.reuters.com/article/argentina-holdoutw-idJPKBN0LO0BE20150220 
  24. ^ 在アルゼンチン日本国大使館 2015年3月アルゼンチンの経済情勢 2015年4月作成
  25. ^ 日銀 決済インフラを巡る国際的な潮流とわが国への含意 2012年5月 HKMA/Euroclear(汎アジアCSDアライアンス)
  26. ^ エルネスト・バックス ドゥニ・ロベール 『マネーロンダリングの代理人 暴かれた巨大決済会社の暗部』 徳間書店 2002年 pp.179-180.





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