マルバフジバカマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/13 04:17 UTC 版)
栽培
主に花を鑑賞用として栽培するが、近年では「ユーパトリウム'チョコラータ'」の名で銅葉の栽培品種が流通している。このチョコレート色は日光に当たることで発生し、やや湿った土壌で良く成長し、耐陰性もある。さらに現在の属名で修正された名前、すなわち「アゲラティナ・アルシッシマ・'チョコレート'」(Ageratina altissima 'Chocolate')でも販売されている。[14]日本では、「銅葉フジバカマ」、「シソバフジバカマ」の名で流通していることもある。やや湿ったアルカリ性の土壌を好む。
毒性
この種はトリメトル (tremetol) という有毒成分を含み、家畜がこの植物を食べると肉や牛乳に有毒成分が混入し、それらを食べたヒトも有毒成分を摂取することになる。汚染された肉や牛乳を食べつづけると、人間にもトリメトルによる中毒症状が発生する[15]。この中毒はミルク病(Milk Sickness)と呼ばれていた。それは、人間がマルバフジバカマを食べた牛のを飲むことで中毒したためである。19世紀初期においてはヨーロッパから多くの人がアメリカ中西部やアップランドサウスなどの、この植物の生息地に入植を始めて以来、何百人もがミルク病で死亡し、原因がこの植物にあると判明するまでに数十年かかった。エイブラハム・リンカーンの母のナンシー・ハンクスの死因もこの病気であったとされる。この植物はウマ、ヒツジ、ヤギなどの家畜にも有毒である。中毒した家畜の症状は無気力とだるさ、後ろ足が閉じたまま(ウマ、ヤギ、ウシ)あるいは開いたまま(ヒツジ)、鼻汁、極端なよだれ、体を弓なりにしてあえぎ、または呼吸困難になる。
- ^ a b c 長田 1976, p. 76
- ^ a b c d Hamilton 2015
- ^ USDA
- ^ 田代 1983, p. 165
- ^ 吉田 2008, p. 52
- ^ a b c “外来植物「マルバフジバカマ」が急拡大、原因はシカ? 岩手・大船渡” (日本語). 河北新報オンラインニュース (2022年10月6日). 2022年10月7日閲覧。
- ^ 降幡 2009
- ^ 国立環境研究所 2010
- ^ 環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室. “要注意外来生物リスト”. 外来生物法ホームページ. 環境省. 2022年10月7日閲覧。
- ^ 環境省 2015, p. 14
- ^ 北海道 2010, p. 22
- ^ 青森県 2006, p. 24
- ^ 千葉県 2010, p. 125
- ^ “Eupatorium rugosum 'Chocolate'”, MBG Kemper Center PlantFinder, Missouri Botanical Garden, (2001) 2010年12月14日閲覧。
- ^ Couch 1929
- マルバフジバカマのページへのリンク