ホルムアルデヒド
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人体への影響
人体へは、濃度によって粘膜への刺激性を中心とした急性毒性があり、蒸気は呼吸器系、目、喉などの炎症を引き起こす。皮膚や目などが水溶液に接触した場合は、激しい刺激を受け、炎症を生じる。ホルムアルデヒドはWHOの下部機関である国際がん研究機関によりグループ1の化学物質に指定され、発癌性があると警告されている。
いわゆる「シックハウス症候群」の原因物質のうちの一つとして知られる[8]。建材、家具などから空気中に放出されることがあり、濃度によっては人体に悪影響を及ぼす。
なお、2009年国際がん研究機関のモノグラムでは、骨髄性白血病の原因物質として特定されている。2010年米国環境保護庁(EPA)統合リスク情報システム“Integrated Risk Information System”(IRIS) では白血病、ホジキンリンパ腫、上咽頭ガンのユニットリスク (Toxicological review of formaldehyde- inhalation assessment) が公表されており、年齢による感受性の違い(Age-Dependent Adjustment Factor, ADAF)を考慮したユニットリスクは 1.1 × 10-4µg-1m3(生涯 1µg/m3の環境下において1万人あたり1.1名がホルムアルデヒドを原因とするガンになるという確率)としている。このユニットリスクではホルムアルデヒドの日本の室内環境ガイドライン(100µg・m3:短期暴露)と比較して1,000倍厳しい数値となる。参考までに述べると、大気環境基準のベンゼンでは許容できる発ガンリスクとして10-5が運用されており、ホルムアルデヒドの10-4は10倍厳しい数値となる。なお、IRISによるユニットリスクでは年齢による感受性の違い(ADAF)を「成人と比較して2歳児未満の乳児に対して10倍、16歳未満の若年層には3倍のリスクがある」と結論付けている。また、ホルムアルデヒド暴露と小児喘息に関する複数の疫学研究を総合的に評価(Systematic Review)した結果、有意な関連性があると結論付けている。(例:暴露濃度=100µg・m3の相対危険度(オッズ比)は非暴露郡に比べ4.8倍:McGwin et al., Environ. Health Pespect., 118,313(2010))2011年フランスでは、公共の保育所、学校等の指針値を現在の100µg・m3から2015年には30µg・m3(長期曝露も考慮)・2023年から10µg・m3(長期曝露も考慮)とする省令が施行されている。
- ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
- ^ 化学物質の初期リスク評価書 (PDF) 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター
- ^ KEGG EC1.5.8.4
- ^ “Natureハイライト/生化学: ホルムアルデヒドの解毒が一炭素代謝を促進する”. Nature 548 (7669). (2017) 2018年11月10日閲覧。.
- ^ “Formaldehyde Detoxification Creates a New Wheel for the Folate-Driven One-Carbon “Bi”-cycle”. Biochemistry 57 (6). (2018). doi:10.1021/acs.biochem.7b01261 2018年11月10日閲覧。.
- ^ “生化学:哺乳類は内因性の遺伝毒性ホルムアルデヒドを一炭素代謝へ流用する”. Nature 548 (7669). (2017). doi:10.1038/nature23481 2018年11月10日閲覧。.
- ^ “Mammals divert endogenous genotoxic formaldehyde into one-carbon metabolism”. Nature 548 (7669). (2017). doi:10.1038/nature23481. PMC 5714256. PMID 28813411 .
- ^ 室内環境学会編「室内環境学概論」東京電機大学出版局(2010)シックハウス
- ^ 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044。
- ^ 天然魚類中のホルムアルデヒドについて 長崎県衛生公害研究所報 2003年
- ^ 食品安全総合情報システム 食品安全関係情報詳細 syu03410940369 台湾行政院衛生署食品薬物管理局、輸入食品の検査で不合格となった食品を公表 内閣府食品安全委員会 2011年8月16日
- ^ しいたけのホルムアルデヒド含有量に関する調査結果について 厚生労働省食品安全部基準審査課 2009年6月19日
- ^ 食品安全関係情報詳細 台湾行政院衛生署、豆製品・小麦粉製品中の過酸化水素及びホルムアルデヒドの使用について抜き取り検査を実施(食品安全委員会)
- ^ 酒精飲料中のメタノールの取扱いについて 厚生労働省
- ^ 室内環境学会編・関根嘉香監修「住まいの化学物質-リスクとベネフィット―」東京電機大学出版局(2015)ホルムアルデヒド発散建材
- ^ 医薬発第九九〇号 化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について (各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省医薬安全局長通知)
- ^ a b 群馬県「利根川水系の浄水場におけるホルムアルデヒド検出事案への対応状況について」
- ^ a b 「利根川水系の浄水場におけるホルムアルデヒド検出事故」リスクマネジメント最前線、東京海上日動リスクコンサルティング
- ^ 「利根川水系におけるホルムアルデヒドによる水道の影響について」厚生労働省平成24年5月24日
ホルムアルデヒドと同じ種類の言葉
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