ホリデーシリーズ ホリデーシリーズの概要

ホリデーシリーズ

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概要

かつて一時を共にした彼女神保由希子(じんぼ ゆきこ)と別居後、ホストクラブ「クラブ・ジャスミン」でホストの仕事に就いていた沖田大和(おきた やまと)と、 仕事場のホストクラブに突然現れ、11年ぶりの再会を果たした実子・神保進(じんぼ すすむ)との、『ワーキング・ホリデー』は夏休みもしくは春休み、『ウィンター・ホリデー』は冬休み - ホワイトデーを経た、春を感じる期間中に触れ合う日々、ならびにホストクラブを辞めた沖田が新興の運送会社「ハニービー・エクスプレス」でリヤカー引きの待遇ながら仕事を学び、同僚や顧客と触れ合い、上司として後続の新人を指導し、所長から社内免許取得をすすめられるまでの沖田、その沖田の姿勢に揺れる進の成長を描く。『ホリデー・イン』は、沖田以外の登場人物たち(進、雪夜、ナナ、大東、ジャスミン)の視点で、沖田は各人からの視点として描かれる『ワーキング・ホリデー』『ウィンター・ホリデー』スピンオフ作品。1作目『ワーキング・ホリデー』は、これまで坂木作品が6冊ある中の作品[5]になり、後に漫画化、映画化、シリーズ出版社文藝春秋による自社主催「夏の青春フェア2016」に選定[6]された。日本国外の一部制度締結国へ海外留学するための制度『ワーキング・ホリデー』とは「ホリデー(休日)」に関する用語である以外、関連はない。坂木本人は沖田の「働く(ワーキング)」と進の「休み(ホリデー)」を足したものだと述べている[5]。シリーズ累計は『ホリデー・イン』文春文庫版第1刷時点で26万部[7]。『ホリデー・イン』文春文庫版は、オリコン2017年4月17日付(集計期間2017年4月3日 - 2017年4月9日)週刊ランキング文庫部門第18位を記録した[8]

坂木別作品の関連として「ひきこもり探偵」シリーズ東京創元社)に登場する同姓同名の人物木村栄三郎(きむら えいざぶろう)が、台東区住まい、荷物を「頭飾品」とする顧客として登場。『切れない糸』(東京創元社)、『和菓子のアン』(光文社)とは舞台設定、『先生と僕』(双葉社)、『シンデレラ・ティース』(光文社)続編『ホテルジューシー』(角川書店)とは、『ワーキング・ホリデー』を出版した文藝春秋と出版社3社連動の作品企画で関連している[9]

企画でプレゼントされた書き下ろしの掌編小説『ホリデーとホテルと僕』は、『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『先生と僕』単行本版の初版に小冊子として挟み込まれ[10]、後に『ワーキング・ホリデー』『先生と僕』文庫版に収録された。作品は全3章構成で、第1章が『ワーキング・ホリデー』、第2章が『ホテルジューシー』、第3章が『先生と僕』の内容となっていて、『ワーキング・ホリデー』の沖田が大学の研究室へ持ってきた荷物を、荷物を送って東京へ帰ってきた『ホテルジューシー』主人公柿生浩美(かきお ひろみ)が受け取って大学の「推理小説研究会」へ送り、『先生と僕』主人公伊藤二葉(いとう ふたば)の先輩を経て『先生と僕』の特徴である『まだらの紐』『配達あかずきん』のミステリー小説紹介と共に伊藤の手元と渡る作品となっている。『ワーキング・ホリデー』には、第1章のみが章題なしで収録されている。『ホリデー・イン』文庫文庫版第1刷には、前作参加の3社に東京創元社を加えた4社合同企画、ならびに作者坂木作家生活15周年を記念を兼ねた書き下ろし作『ホリデーが肉だと先生が困る』が第1刷限定、文庫内に折込の付録として収録[11]、企画最終作の第4作目『何が困るかって』創元推理文庫版に一括で書籍収録された。

『ウィンター・ホリデー』文庫版後書きで坂木が述べた東日本大震災での宅配便業者活躍の話題は『和菓子のアン』続編『アンと青春』でも、商品を紹介するウェブサイト上で放射線量記載に関する話題として採り上げられた。ジャスミンの「おかま」設定は、後に自称「トランスジェンダー」の主人公小川幹生(おがわ みきお)と、出会った高校時代の親友後藤(ごとう)との同居生活を描いた『女子的生活』(新潮社)に生かされた[12]

あらすじ

本編の『ワーキング・ホリデー』『ウィンター・ホリデー』のみを記載する。スピンオフ作『ホリデー・イン』については登場人物「ジャスミン」「大東」「武藤」「雪夜」「ナナ」「マキ」「神保進」「コウタ」「セリナ」を参照。

ワーキング・ホリデー

7月(映画版は春休み)、主人公のホスト沖田大和(おきた やまと)は、ホストクラブ「クラブ・ジャスミン」で「ドンペリ」のコールが掛かる中、自身と雪夜を指名してくれた常連客ナナの接客にあたっていた。その接客中の沖田の前に突然1人の小学生が現れた。小学生は沖田を「父」と呼び、「神保進(じんぼ すすむ)」と自己紹介の挨拶を行った。同日、沖田が住まいとする寮に案内された進は、しばらくの間、沖田との共同生活を提案する。息子の存在、その職場への突然の訪問に沖田は混乱し抵抗を試みるも、進が退かない意志を示したことに観念、抵抗する中で進の弱味を握り、改善の提案を進が呑んだことで進の滞在を了承することにした。

再会も束の間、沖田は「クラブ・ジャスミン」店内で暴力を振るい、責任をとってオーナーのジャスミンから「クラブ・ジャスミン」を解雇される。次の就職先は「クラブ・ジャスミン」オーナーの紹介による新進の配送会社「ハニービー・エクスプレス」だった。ミニバンの自動車を備え、沖田自身も自動車を運転できる中、沖田に示された車は車種の分類上、会社的に助かる特性を備えたリヤカーだった。沖田は不安に駆られながらも、進を胸に覚悟を決める。

ウィンター・ホリデー

11月、沖田の携帯電話に『ワーキング・ホリデー』終盤での別れの後しばらく会っていなかった進から、冬休みに再び沖田の下を訪れる旨の連絡メールが届いたことに関する騒動が起こった。

12月、同年の冬休みに再び進が沖田の下を訪れた。一方「ハニービー・エクスプレス」には、アルバイトの新人が1人入ることになった。沖田は新人アルバイト大東(だいとう)とコンビを組むと共に、大東の教育を任される。


  1. ^ 坂木司「解説」 『ウィンター・ホリデー』(弟1刷)文藝春秋、2014年11月10日、472頁。ISBN 978-4-16-790217-9 
  2. ^ 坂木司 『女子的生活』(第1刷)新潮社、2016年8月20日、袖頁。ISBN 978-4-10-312052-0http://www.shinchosha.co.jp/book/312052/ 
  3. ^ a b ウィンター・ホリデー”. 2016年6月21日閲覧。
  4. ^ a b ホリデー・イン”. 文藝春秋. 2016年6月21日閲覧。
  5. ^ a b c d 自分に一番近い主人公”. 文藝春秋. 2016年6月22日閲覧。
  6. ^ 夏の青春フェア2016”. 文藝春秋. 2016年6月28日閲覧。
  7. ^ 坂木司 『ホリデー・イン』(第1刷)文藝春秋、帯頁。ISBN 978-4-16-790824-9 
  8. ^ オリコン週間 文庫ランキング 2017年04月03日〜2017年04月09日 11~20位”. オリコン. 2017年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月17日閲覧。
  9. ^ 坂木司 『ワーキング・ホリデー』(第1刷)文藝春秋、322頁。ISBN 978-4-16-777333-5 
  10. ^ 「先生と僕シリーズ」 『かつくら』新紀元社、20頁。ISBN 978-4-7753-1275-9 
  11. ^ a b ホリデー・イン”. 文藝春秋. 2017年4月8日閲覧。
  12. ^ 「≪巻頭大特集≫坂木司 Special Long Interview」 『かつくら』 11巻、新紀元社、17頁。ISBN 978-4-7753-1275-9 
  13. ^ a b 作家の読書道:第76回 坂木司さん”. 2016年6月20日閲覧。
  14. ^ 「≪巻頭大特集≫坂木司 Special Long Interview」 『かつくら』 11巻、新紀元社、11頁。ISBN 978-4-7753-1275-9 
  15. ^ 坂木司「文庫版あとがき」 『ワーキング・ホリデー』(第1刷)文藝春秋、320頁。ISBN 978-4-16-777333-5 
  16. ^ 坂木司「文庫版あとがき」 『ウィンター・ホリデー』(弟1刷)文藝春秋、2014年11月10日、471頁。ISBN 978-4-16-790217-9 
  17. ^ 坂木司「解説」 『ウィンター・ホリデー』(弟1刷)文藝春秋、2014年11月10日、476頁。ISBN 978-4-16-790217-9http://hon.bunshun.jp/articles/-/2927 
  18. ^ ワーキング・ホリデー”. 文藝春秋. 2016年6月21日閲覧。
  19. ^ ワーキング・ホリデー”. 文藝春秋. 2016年6月21日閲覧。
  20. ^ ウィンター・ホリデー”. 文藝春秋. 2016年6月21日閲覧。
  21. ^ “売れっ子・綾野剛、舞台あいさつを掛け持ち! それでも疲労の色は見せずに笑顔!”. シネマトゥデイ (シネマトゥデイ). (2012年11月17日). http://www.cinematoday.jp/page/N0047812 2016年6月26日閲覧。 
  22. ^ “AKIRA、アントニオ猪木のモノマネを公開披露”. 映画.com (エイガ・ドット・コム). (2012年3月25日). http://eiga.com/news/20120325/2/ 2016年7月30日閲覧。 
  23. ^ “ピース又吉&ジャルジャルら出演!第4回沖縄国際映画祭プログラム発表!”. シネマトゥデイ (シネマトゥデイ). (2012年2月21日). http://www.cinematoday.jp/page/N0039568 2012年6月21日閲覧。 
  24. ^ WORKS M-Swift”. 阪神コンテンツリンク. 2014年7月21日閲覧。
  25. ^ “M-SWIFTが豪華2枚組アルバム『WORKS』をリリース”. clubberia (クラベリア). (2012年11月6日). http://www.clubberia.com/ja/news/3292-M-SWIFT-2-WORKS/ 2014年7月21日閲覧。 
  26. ^ “AKIRA(EXILE)主演!『ワーキング・ホリデー』DVD発売”. https://tower.jp/article/feature_item/2013/02/01/2505 2016年6月22日閲覧。 
  27. ^ “ゴリおかま役が光る、映画「ワーキング・ホリデー」DVD化”. お笑いナタリー (ナターシャ). (2013年3月6日). https://natalie.mu/owarai/news/86149 2016年7月16日閲覧。 
  28. ^ 坂木司「あとがき」 『ホリデー・イン』(第2刷)文藝春秋、2014年6月15日、190-191頁。ISBN 978-4-16-390067-4 
  29. ^ ワーキング・ホリデー” (2012年11月18日). 2016年8月8日閲覧。
  30. ^ a b 『月刊コミックブレイドアヴァルス』第4巻第12号、マッグガーデン、 475頁。
  31. ^ pariko_londonのツイート(256734976752619521)
  32. ^ ワーキングホリデー(1)”. マッグガーデン. 2016年6月20日閲覧。
  33. ^ ワーキングホリデー(2)”. マッグガーデン. 2016年6月20日閲覧。


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