フォトフォン その後の開発

フォトフォン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 18:33 UTC 版)

その後の開発

『テクニカル・ワールド』誌1905年3月号の表紙。自身が改良したフォトフォンで受信した音声を聞くエルンスト・ルーマー[26]

ベル電話会社の研究者たちは、ベルとテンターの設計にいくつかの改良を加えたが、グリエルモ・マルコーニが発明した電波による無線通信は、1897年にはフォトフォンの最大到達距離をはるかに超え[21]、20世紀に入ると、ドイツ・オーストリアでの実験が始まるまで、フォトフォンのさらなる研究はほとんどされなくなった。

ドイツの物理学者エルンスト・ルーマー英語版は、自身の改良により感度が向上したセレン受光器と、優れた受信能力を持つH・T・シモン教授の「スピーキングアーク」とを組み合わせれば、フォトフォンでより長距離の信号伝達が可能になると考えた。ルーマーは、1901年から1902年にかけて、ハーフェル川沿いとヴァン湖で実験を行った。ルーマーの報告によると、良好な条件下での送信距離は15キロメートルに達し[27]、日中でも夜間でも同じように成功したという。ルーマーは1904年までベルリン周辺で実験を続け、送信用に高出力のサーチライトを提供したドイツ海軍と協力していた[28]

ドイツのジーメンス・ウント・ハルスケ社は、電流変調型のカーボンアークランプを使用してフォトフォンの送信距離を約8キロメートルまで伸ばした。同社はドイツ海軍のためにこの装置を商業的に生産し、さらに、音声変調された船のサーチライトを使って送信距離を11キロメートルにまで伸ばした[5]

第一次世界大戦中のイギリス海軍の研究により、1916年に振動鏡式変調器が開発された。1917年には、旧式のセレン受光器に代わって、赤外線に対する感度が高い輝水鉛鉱受光器が開発された[5]。また、アメリカとドイツの政府もベルのシステムの技術的な改良に取り組んだ[29]

1935年には、ドイツのカール・ツァイス社がドイツ陸軍の戦車大隊用に赤外線フォトフォンの製造を開始していた。これは、タングステンランプに赤外線フィルターを装着し、鏡やプリズムを振動させて変調させる方式を採用していた。また、硫化鉛の受光器と増幅器を使った受信機を使用し、最適な条件の下では14キロメートルの送信距離を実現していた。1945年以前には、日本軍イタリア軍も同様に光波通信の開発を試みていた[5]

アメリカをはじめとするいくつかの軍の研究所では、1950年代に入ってもフォトフォンの研究開発が続けられ、500 - 2,000ワットの出力の高圧蒸気ランプや水銀アークランプを使った実験が行われた[5]


  1. ^ Bruce 1990, pg. 336
  2. ^ Jones, Newell. First 'Radio' Built by San Diego Resident Partner of Inventor of Telephone: Keeps Notebook of Experiences With Bell Archived 2002-02-19 at the Wayback Machine., San Diego Evening Tribune, July 31, 1937. Retrieved from the University of San Diego History Department website, November 26, 2009.
  3. ^ Bruce 1990, pg. 338
  4. ^ Carson 2007, pg. 76-78
  5. ^ a b c d e f g h Groth, Mike. Photophones Revisted, 'Amateur Radio' magazine, Wireless Institute of Australia, Melbourne, April 1987 pp. 12–17 and May 1987 pp. 13–17.
  6. ^ a b Mims 1982, p. 11.
  7. ^ Clark, J. An Introduction to Communications with Optical Carriers, IEEE Students' Quarterly Journal, June 1966, Vol.36, Iss.144, pp. 218–222, ISSN 0039-2871, doi:10.1049/sqj.1966.0040. Retrieved from IEEExplore website August 19, 2011.
  8. ^ Bell, Alexander Graham. "On the Production and Reproduction of Speech by Light", American Journal of Science, October 1880, Vol. 20, No. 118, pp. 305–324.
  9. ^ Grosvenor and Wesson 1997, p. 104.
  10. ^ Ernest Victor Heyn, Fire of genius: inventors of the past century: based on the files of Popular Science Monthly since its founding in 1872, Anchor Press/Doubleday – 1976, page 74
  11. ^ Mims 1982, pp. 6–7.
  12. ^ Mims 1982, p. 7.
  13. ^ Mims 1982, p. 10.
  14. ^ Mims 1982, p. 12.
  15. ^ Editorial, The New York Times, August 30, 1880
  16. ^ International Fiber Optics & Communication, June 1986, p. 29
  17. ^ Carson 2007, pg.77
  18. ^ Carson 2007, pg. 76–78
  19. ^ a b Bruce 1990, pg. 337
  20. ^ Phillipson, Donald J.C., and Neilson, Laura Bell, Alexander Graham, The Canadian Encyclopedia online. Retrieved 2009-08-06
  21. ^ a b Mims 1982, p. 14.
  22. ^ Bruce 1990, pg. 339
  23. ^ Hecht, Jeff. Fiber Optics Calls Up The Past, New Scientist, January 12, 1984, pp. 12–13.
  24. ^ Carson 2007, pp. 77–78
  25. ^ Carson 2007, pg.78
  26. ^ Cover page Technical World, March 1905.
  27. ^ "Correspondence: Wireless Telephony" (October 30, 1902 letter from Ernst Ruhmer), The Electrician, November 7, 1902, page 111.
  28. ^ Wireless Telephony In Theory and Practice by Ernst Ruhmer, 1908, pages 55–59.
  29. ^ Mims 1982, pp. 14–17.





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