ファスト映画 中国語圏

ファスト映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 04:49 UTC 版)

中国語圏

「ある映画を○○分間で見る」「あるドラマのあらすじを紹介する」のような動画は中国語圏で非常に人気が高く、中国台湾動画共有サイトでは視聴回数が最も多い部類の1つであった。しかし、これらの視聴後に映画その物を視聴する意欲が低下したとされ、さらに映画の主旨を歪曲する動画も存在する[59]

曁南大学知的財産権研究院の院長は南方日報の記者に対し、「このような短いビデオは、映画やドラマにある映像を全く利用していないとは言えません。私たちは映画やドラマの視聴者として、コンテンツを批判・評価する権利があります。しかし、ファスト映画の1つの問題は引用に必要な限度がないことです。現在のファーストフード文化の文脈において、多くの自媒体の作成者は、映画・ドラマの製作者が数億の投資及び数か月または数年の時間を費やして作成したコンテンツを無断に編集して私物化した結果、映画・ドラマの製作者に対する権利侵害となるのは間違いないです。」「私たちはアテンション・エコノミーの時代にいますから、映画とテレビドラマから作られた二次創作営利の為であるかどうか、そして実際に利益を得たかどうかを判断するのは困難です。また、映画評論とは別に、切り取った映画の映像をそのまま使いながら、自分が書いた映画のあらすじを読み聞かせる解説作品は映画の1つの作品としての完全性を損ないます。特に自分の理解に基づき映画の本来の意匠を曲解することもあるため、創作物に対する意図的な破壊です。」と話し、中華人民共和国著作権法中国語版第10条の4に違反する行為として非難した[59]

ほとんどの動画には実際の映画の映像・音声(海賊版から切り取った場合もある)が入ったため、著作権所有者から著作権侵害との指摘が多い。これを受け、2021年に中国の国家電影局中国語版は取り締まりの強化を約束したが[60]、一部の視聴者はこの決定に不満を示した[61][62]。また、台湾のある人気YouTuberは公開前の映画『脳漿炸裂ガール』のファスト映画をYouTubeに投稿したせいで、ネタがばれてしまい当該映画の台湾公開は無限期延期となったため[63]、2018年に台北地方検察署中国語版により著作権侵害の疑いで起訴されたが、のちにYouTuber側と著作権所有者である4社の映画会社との和解が成立したため、検察側は告訴を取り下げた[64][65][66]


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