ビルマ連邦国民連合政府
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政府の組織構成
ビルマ連邦国民連合政府(NCGUB)は、立法機関として国民議会代表者委員会を、行政機関として閣僚評議会を有していた。また、これらの機関とは別に、NCGUBを運営する亡命国民議会議員の組織「議会議員連合」が存在していた。なお、NCGUB は亡命ビルマ人コミュニティーで生ずる争議の審議を行っていないため、司法機関に相当する政府機関は現時点で設置されていなかった。
国民議会代表者委員会
国民議会代表者委員会(Committee Representing People's Parliament、CRPP)は、1990年5月27日実施の選挙で選出された国民議会の職務を代行するために、国民民主連盟(NLD)と4つの非ビルマ人少数民族政党によって、1998年9月16日にヤンゴンで独自に発足した立法機関である。CRPPは、90年選挙で当選した過半数の議員から受けた委任状を活動の正統性根拠にしており、当初は90年選挙で選出された議会当選議員10人によって構成されたことから、「10人委員会」と通称された。職務としては、現在の軍事政権が出す諸法令に正当性がないことの個別具体的な宣言、新憲法草案の作成などがあり、毎年報告書を作成して海外で配布していた。
なお、 CRPP は下記の18人で構成されていた。
- CRPP 構成員
- 議長:アウン・シュエ(NLD)
- 書記官:Aye Tha Aung(NLD)
- 一般構成員:アウン・サン・スー・チー(NLD)、他15名
閣僚評議会
閣僚評議会(Council of Ministers)は、NCGUBの行政を執行する最高行政機関である。評議会は総理府と連邦事務局から構成されており、評議会の下に各種の委員会が設置されていた。評議会は首相が統括しており、形式的に議院内閣制を採用していた。
- 閣僚評議会
- 首相:セイン・ウィン
- 総理府(Prime Minister's Office):ボー・フラティン、Sann Aung、Tint Swe
- 連邦事務局(Federal Affairs):Khun Marko Ban
- 評議会下の委員会
- 民主主義発展委員会(Democracy Development Committee):セイン・ウィン(兼任)
- 連邦事務委員会(Federal Affairs Committee):Khun Marko Ban(兼任)
- 財務委員会(Finance Committee ):ボー・フラティン(兼任)
- 情報委員会(Information Committee ):Tint Swe(兼任)
- 戦略計画委員会(Strategic and Planning Committee):セイン・ウィン(兼任)
議会議員連合
議会議員連合(Members of Parliament Union, MPU:「国会議員連合」とも言う)は、1990年5月27日の選挙で選出された国民議会議員達によって、1996年6月15日に結成された。彼らは亡命臨時政府(NCGUB)を組織し、ミャンマーにおける民主主義と人権を復活させる闘争を継続する使命を帯びて、ミャンマーから国外へ脱出した。その後、2000年10月4日にアイルランドのダブリンで開催された会議において、MPUの設立は正式なものとなった。MPUはNCGUB首相の選出に責任を負い、また、NCGUBの機関として、ミャンマーに対する国際的な認識を提起し、ミャンマーの民主化運動と、CRPP に関連する政治的団体、政党、CRPP構成員、NCGUBの議会制度に対する全般的な支援を得ることを、主要活動の焦点としていた。
なお、MPUは下記の24人で構成されていた。
- MPU 構成員
- セイン・ウィン、Khun Teddy Buri、U Peter Limbin、Daw San San、Myo Win、Sann Aung
- Tint Swe、Za Hlei Thang、Duwa Zau Awng、Khun Manko Ban、ボー・フラティン、U Bo Thaung
- 他12名
- ^ ビルマ連邦社会主義共和国時代に存在したビルマの議会。日本語では「国民議会」とも訳される。なお、ビルマ語での名称は「Pyithu Hluttaw」だが、この名称は後に設置される連邦議会の人民代表院でも用いられている。
- ^ 議席定数の3/4。残る1/4の議員はミャンマー国軍最高司令官によって任命される。
- ^ ただし、NCGUBの最大勢力である国民民主連盟(NLD)は選挙への対応を巡って分裂し、大多数は選挙ボイコットに賛同したものの、一部の人員は国民民主勢力(NDF)を結成して選挙に参加した。
- ^ 「1990年の民主的な選挙で表明された人々の意志に従って、民主主義の設立を確実にするために緊急で意義のある対策を取ることと、そのために政党や少数民族の指導者達との実際的な会話を即座に、また無条件に着手する事」を勧告。
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