ビリルビン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/09 15:06 UTC 版)
ビリルビン | |
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3-[2-[(3-(2-カルボキシエチル)-5-[(3-エテニル-4-メチル-5-オキソ-ピロール-2-イリデン)メチル]-4-メチル-1H-ピロール-2-イル]メチル)-5-[(4-エテニル-3-メチル-5-オキソ-ピロール-2-イリデン)メチル]-4-メチル-1H-ピロール-3-イル] プロパン酸 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 635-65-4 |
PubChem | 250 |
KEGG | C00486 |
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特性 | |
化学式 | C33H36N4O6 |
モル質量 | 584.66214 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ビリルビンは、ゴクラクチョウカ科の数種の植物からも発見されている[1]。
化学
ビリルビンは、4つのピロール環(テトラピロール)を有する開環したチェーン状の構造を有している。ヘムにおいては、4つのピロール環はポルフィリン環と呼ばれる大きな環に繋がれている。ビリルビンは、光を吸収するために海藻類で利用されているフィコビリンと大変良く似た構造をしている。このフィトクロム色素は植物で光を吸収するのに利用されている。これらの物質は、4つのピロール環を有する開環したチェーン状の構造を有している。 他の色素と同じように、光に晒すとビリルビンの二重結合が異性化する。この性質を利用して新生児の黄疸に光線療法が施されている。光を照射したビリルビン異性体は、光を照射していないものより水溶性が高くなる。 ビリルビンの異性体の化学構造について誤った構造を掲載している教科書や論文がいくつか認められる[2]。
機能
ビリルビンは、緑色の胆汁色素でヘム代謝物の一つであるビリベルジンがビリベルジンレダクターゼの働きにより還元されて生成される。ビリルビンが酸化されると再びビリベルジンになる。このサイクルは、ビリルビンの潜在的な抗酸化作用を示唆しており、ビリルビンは細胞内において抗酸化の生理作用を担っているのではないかという仮説が立てられる[3][4]。
- ^ Cary Pirone,J. Martin E. Quirke, Horacio A. Priestap, and David W. Lee (2009). “Animal Pigment Bilirubin Discovered in Plants”. J. Am. Chem. Soc. 131 (8): 2830. doi:10.1021/ja809065g. PMC 2880647 .
- ^ “Bilirubin's Chemical Formula”. 2007年8月14日閲覧。
- ^ a b Baranano DE, Rao M, Ferris CD, Snyder SH (2002). “Biliverdin reductase: a major physiologic cytoprotectant”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99 (25): 16093–8. doi:10.1073/pnas.252626999. PMC 138570. PMID 12456881 .
- ^ Liu Y, Li P, Lu J, Xiong W, Oger J, Tetzlaff W, Cynader M. (2008). “Bilirubin possesses powerful immunomodulatory activity and suppresses experimental autoimmune encephalomyelitis”. J. Immunol. 181 (3): 1887–97. PMID 18641326.
- ^ a b c d Golonka, Debby. “Digestive Disorders Health Center: Bilirubin”. en:WebMD. pp. 3. 2010年1月14日閲覧。
- ^ a b MedlinePlus Encyclopedia CHEM-20
- ^ a b “Laboratory tests”. 2007年8月14日閲覧。
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