パリ=サン=ラザール - ル・アーブル線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/28 09:04 UTC 版)
特徴
経路と勾配
パリからルーアンまでは、その大部分でセーヌ川左岸を通る経路で建設され、直線区間では風上に向かって流路を辿る。路線は、川を見下ろす樹木で覆われた台地の川の蛇行により突き出ている部分の最も狭い箇所を、掘られたトンネルで通っている。結ばれている2つの大都市圏に加えて、路線はセーヌ川とその主な支流沿いに点在する多数の小さな工業都市に通じている。路線はコロンブ(Colombes)で1837年開業のパリ - サン=ジェルマン=アン=レー線を分岐し、ブゾン(Bezons)とメゾン=ラフィット(Maisons-Laffitte)とわずか数km間隔でセーヌ川を2回横断し、サン=ジェルマン=アン=レーの森を横断した後、セーヌ川沿いを走る前にポワシーへと至る。
レ・ムローを経て、マント=ラ=ジョリーに至った後、路線はロルボワーズ隧道で蛇行部分をショートカットし、再びセーヌ川沿いに出て、ヴェルノン(Vernon)を通りつつ30km程進み、再度、川の蛇行部のヴェナブル(Venables)支脈を二つのトンネルで斜めに横切る。路線はウール川の幅広い沖積平野を横断した後、ル・マノワールでセーヌ川を渡り右岸側を走行する。トゥールヴィル隧道を抜けた後、路線はオワセルで再び左岸に移り、ルーアン=リヴ=ゴッシュ駅へ向かう。
ルーアンからル・アーブルにかけて、路線はセーヌ川の谷から離れ、コーの台地上を通る。路線はソットゥヴィル工場付近でパリ - ルーアン=リヴ=ゴッシュ線から離れ、全長370メートルの橋でセーヌ川を渡り、コート・サント=カトリーヌの丘の下を全長1050メートルのトンネルで抜け、ダルネタル(Darnétal)谷を築堤で越え、地下区間を2272メートル進んだ後、全長200メートルの切り通し区間に位置するルーアン=リヴ=ドロワット駅に達する。
そして、路線は連続した構築物によって、コーの台地上に辿りつく。路線は2つのトンネルでルーアンの北側を迂回し、デヴィル(Déville)、マロンム(Maromme)、ボンドヴィル(Bondeville)を結ぶ谷に辿りつく。そして、140メートルの斜橋や切り通し、築堤によって、開口部15メートルの8つのアーチからなる高さ26メートルのマロネ(Malaunay)橋梁に到達する。そのすぐ後に、マルネ - ディエップ線の分岐点がある。この区間で最も長い全長2200メートルのトンネルを抜け、フレスキエンヌの小さな谷を越えた後、Austreberthe川の谷を高さ32メートル、全長478メートルのバランタン橋梁で越える。パヴィリー(Pavilly)までこの谷に沿って進んだ後、サン=ドニ(Saint-Denis)谷に沿って進み、ソットゥヴィル(Sotteville)より137m高いモットゥヴィル(Motteville)でコー地方の台地上に到達する。
台地上に登ってからは、曲線上にある全長530メートル高さ32メートルの橋梁で越えるミルヴィル(Mirville)の谷を除いては大きな起伏無しに40km程台地上を横断する。路線はイヴトーを通った後ボルベックの近郊を通過する。サン=ロマン(Saint-Romain)で路線はル・アーブルへ向けてサン=ローラン谷(Saint-Laurent)を11kmに亘って、1メートルあたり8mmの割合で降りる。アルフルール(Harfleur)の谷を渡り、グラヴィル(Graville)の平野を越えると、当路線の終着駅、ル・アーブル駅である。駅は市街地東部、港のドックに近接している。
施設
殆どの区間において、路線は複線となっており、一部の区間においては3線もしくは複々線となっている。
- 複々線区間 サルトルーヴィル(Sartrouville)よりポワシー(Poissy)、ヴェルヌイエ=ヴェルヌイユ(Vernouillet-Verneuil)よりレ・ムロー(Les Mureaux)、ヴェルノン(Vernon)よりガイヨン=オーブヴォワ(Gaillon-Aubevoye)、オワセル(Oissel)よりソットゥヴィル(Sotteville)
- 3線区間 ウイユ(Houilles)よりサルトルーヴィル、オーベルジャンヴィル=エリザベートヴィル(Aubergenville-Élisabethville)よりエポーヌ=メジエール(Épône-Mézières)
- 複線区間 パリ=サン=ラザールよりウイユ=キャリエール=シュル=セーヌ(Houilles-Carrières-sur-Seine)(但し、固有の線路であり、近郊電車などは走らない)、ポワシーよりヴェルヌイエ=ヴェルヌイユ、レ・ムローよりオーベルジャンヴィル=エリザベートヴィル、エポーヌ=メジエールよりヴェルノン、ガイヨン=オーブヴォワよりオワセル、ソットゥヴィルよりル・アーブル
路線はサン=ラザール駅発着の全ての路線網と同様に単相交流25kV50Hzで電化されており[8]、信号方式としてblock automatique lumineux(BAL)が採用され[9]、保安装置としてKVB(Contrôle de vitesse par balises)[10]が整備され、また、データ伝送機能無し地対列車無線連絡も整備され、一部区間においては識別機能も整備されている[11]。
主要土木構築物
- セーヌ川に架かる橋 (パリとルーアンの間)
- アニエール橋梁(Viaduc d'Asnières) (クリシー=ラ=ガレンヌ(Clichy-la-Garenne)-ルヴァロワ=ペレ(Levallois-Perret)-アニエール=シュル=セーヌ(Asnières-sur-Seine))
- ナンテール橋梁・オングレ=ブゾン橋(Viaduc de Nanterre et Pont des Anglais - Bezons) (ナンテール(Nanterre)-ブゾン(Bezons))
- メゾン=ラフィット橋梁(Viaduc de Maisons-Laffitte) (サルトルーヴィル(Sartrouville)-メゾン=ラフィット(Maisons-Laffitte))
- ル・マノワール橋梁(Viaduc du Manoir) (レリ(Léry)-ル・マノワール(Le Manoir))
- オワセル橋梁(Viaduc d'Oissel) (トゥールヴィル=ラ=リヴィエール(Tourville-la-Rivière)-オワセル(Oissel)) (2008年11月改修工事が完了。)
- オープル橋梁(fr:Viaduc d'Eauplet) (ソットヴィル=レ=ルーアン(Sotteville-lès-Rouen)-ルーアン-ボンスクール(Bonsecours))
- セーヌ川支流に架かる橋 (ルーアンとル・アーブルの間)
- マロネ橋梁(Viaduc de Malaunay) (ル・ウルム(Le Houlme)-マロネ(Malaunay))
- バランタン橋梁(Viaduc de Barentin) (バランタン(Barentin)
- ミルヴィル橋梁(520m, Viaduc de Mirville) (ノワント(Nointot)-ミルヴィル(Mirville))
- トンネル
- ロルボワーズ隧道(fr:Tunnel de Rolleboise) (2613 m)
- ル・ルール隧道(Tunnel du Roule) (1726 m)
- ヴェナブル隧道(Tunnel de Venables) (404 m)
- トゥールヴィル隧道(Tunnel de Tourville) (502 m)
- ルーアン隧道(Tunnels de Rouen) (断続した3つのトンネルで、うち2つがルーアン=リヴ=ドロワ駅を挟み込むようなっている。) :
- サント=カトリーヌ隧道(tunnel de Sainte-Catherine) (1056 m)
- サンティレール隧道(tunnel de Saint-Hilaire) (93 m)
- ボーヴォワジーヌ隧道(tunnel de Beauvoisine) (1354 m, ルーアン=リヴ=ドロワ駅パリ側)
- サン=モール隧道(tunnel de Saint-Maur) (1075 m, ルーアン=リヴ=ドロワ駅ル・アーブル側)
- モン=リブデ隧道(tunnel du Mont-Riboudet) (357m)
- ピシー=ポヴィル第一隧道(Tunnel de Pissy-Poville n°1) (2204 m)
- ピシー=ポヴィル第二隧道(Tunnel de Pissy-Poville n°2) (227 m)
- パヴィリー隧道(Tunnel de Pavilly) (164m)
- アルフルール隧道(Tunnel de Harfleur) (47 m)
- ^ Les Chemins de fer de l'Ouest. Tome I La Normandie. - Paris, Éd. Rimage, 1980 (En ce temps là... ..la vapeur!..).
- ^ a b c d e f François et Maguy Palau, Le rail en France - Les 80 premières lignes 1820 - 1851, p.102
- ^ パリ - ジュヴィジー(Juvisy) - オルレアン線は更に4日早く、1843年5月5日に開業し、パリを出発し地方の大都市を結ぶ最初の路線となった。
- ^ François et Maguy Palau, Le rail en France - Les 80 premières lignes 1820 - 1851, p.97
- ^ a b François et Maguy Palau, Le rail en France - Les 80 premières lignes 1820 - 1851, p.103
- ^ a b c François et Maguy Palau, Le rail en France - Les 80 premières lignes 1820 - 1851, p.143
- ^ François et Maguy Palau, Le rail en France - Les 80 premières lignes 1820 - 1851, p.144
- ^ RFF - Carte des lignes électrifiées (PDF)
- ^ RFF - Carte des modes d’espacement des trains (PDF)
- ^ RFF - Carte des lignes équipées de contrôle de vitesses (PDF)
- ^ RFF - Cartes des lignes équipées de liaisons avec les trains (PDF)
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