ハイバネーション 概説

ハイバネーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 08:23 UTC 版)

概説

コンピュータを停止させる場合でも、稼働中のアプリケーションソフトウェアなどを終了させなくて済む。ハイバネーションからの再開時は全アプリケーションの起動状態や作業状態などを含めたデータがストレージからメモリに自動的に復元されるため、停止時の状態からそのまま復帰する。

ハイバネーションは特に電力使用量がシビアなノートPCで利用されることが多い。バッテリー残量が少なくなると自動的にハイバネーションへ移行するよう設定することもできる。

初の実装は1992年のアメリカのコンパック・コンピュータ社によるものだとされ、同社は特許も取得している[2]

ハイバネーションは「スリーピングモードS4」としてACPIの仕様で定義されている。

スリープモードとの比較

スリープでコンピュータを停止させる場合は、停止後もメインメモリの内容を保持するために電力がわずかずつだが消費され、モバイル運用に不利である。ハイバネーション(セーフスリープ)では、完全に電源を切るのでバッテリーの消費を避けられる。

バッテリーを搭載しないデスクトップPCなどでも、ハイバネーション中であれば、不意に電源供給が途絶えた場合など、事前に不揮発性メモリにすべて保存されているので、スリープモードとは異なって作業状態が失なわれない。

一方、まずメインメモリの内容を(比較的低速な)ストレージに書き込む作業が行なわれるので、停止するまでに余計な時間を要するというデメリットはある。

シャットダウンとの比較

通常のシャットダウンの場合、まずOSは起動中のアプリケーションをすべて終了することを試みる。Microsoft Windowsの場合、まず起動中のすべてのアプリケーションにOSからセッションの終了要請(シャットダウン予告)メッセージWM_QUERYENDSESSIONが送信される[3]。このメッセージを受け取ったアプリケーションは、現在の作業状況をファイルに保存するなどして速やかに終了に応じるが、アプリケーションはこのメッセージに速やかに応答しないことによってシャットダウンを遅らせることもできる。通常、アプリケーションウィンドウのクローズボタンを押すなどして終了コマンドを送信すると、未保存のドキュメントがある場合はユーザーに保存するかどうかを確認するダイアログが表示されるが、未保存のドキュメントがあるアプリを起動している状態でWindowsのシャットダウンを実行すると、「x個のアプリを閉じて、シャットダウンします」というメッセージが表示されてシャットダウンが一時的に妨げられ、ユーザーにシャットダウンを強制実行するか、それともキャンセルするかどうか選択する余地が与えられる[4]。シャットダウンが完了し、ふたたび電源を入れたときには、シャットダウン前の作業内容は失なわれている。ハイバネーションでは、これらのプロセスなしに速やかに停止状態に移行し、電源再投入時に停止直前の状態がそのまま再現される。


注釈

  1. ^ PCのストレージには、主にハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)が使われる。
  2. ^ Windows 95 では「サスペンド」、Windows 98からは「スタンバイ」と呼ばれるが、どちらもメインメモリ以外の給電を停止するものである。厳密な用語としてはサスペンドはメインメモリ以外のすべての給電を停止(スリーピングモードS3)、スタンバイはCPUといくつかのデバイスの給電を停止するもの(スリーピングモードS1)。なお「レジューム」という呼称もあるが、これも厳密には「中断状態から復帰すること」を指す用語である。

出典



「ハイバネーション」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハイバネーション」の関連用語

ハイバネーションのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハイバネーションのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハイバネーション (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS