ナミビア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 01:29 UTC 版)
言語
英語
唯一の公用語は英語であるものの、日常生活で使う人の割合はあまり高くない。第一言語話者は人口の3.4%にすぎず、おもに第二言語として政府や中等教育、高等教育などで使用される。また、共通語として公式の場ではなるべく英語を使うことが奨励される。英語を母語とする人は少ないことに加え、元来、独立前の南西アフリカ時代に英語はあまり使われていなかった言語であるため、国民の英語力はそれほど高くないが、首都のウィントフックを中心に家庭でも使用する人が増加している。
アフリカーンス語とドイツ語
1990年の独立以前までは公用語はアフリカーンス語とドイツ語に英語を加えた3言語であったが、独立時に多言語化による負担を減らすことと植民地支配やアパルトヘイトのイメージを払拭するためにアフリカーンス語とドイツ語が公用語でなくなり、国連やイギリス・アメリカの後押しもあり、イギリス連邦への加盟などにより英語が唯一の公用語となった。政府は南アフリカ同様にアフリカーンス語を排除し、英語化を推し進めているものの、ナミビアでは、1910年までイギリス領だったウォルビスベイを除き、イギリス本国による植民地支配を経験しておらず、英語が浸透していなかったことと、1980年代までは中等教育以上ではほぼ全土でアフリカーンス語が教授言語であった[19]ことから、実際に共通語としてアフリカーンス語の地位がすでに確立されていた。そのため、現在でも英語よりもアフリカーンス語の方が日常会話として一般的に広く使用され黒人も含めた各民族間の共通語となっている。隣国南アフリカに比べると黒人同士の間でも抵抗なく話されている。
地名や通りの名などはドイツ語やアフリカーンス語由来のものが多くなっている。英語が公用語になる以前は、通りの名前はドイツ語の Str.(-Straße)やアフリカーンス語の straat と表示されていたが、現在では英語の -St(Street)へと変更されている。また、TVや新聞などのメディアにおいてもかつてはアフリカーンス語とドイツ語が優位であったが、一部を除くと現在はほとんどが英語となっている。
全人口の6.4%を占める白人(ヨーロッパ系)の60%がアフリカーンス語を、32%がドイツ語を、7%が英語、1%がポルトガル語を使用している。ドイツ植民地時代から90年経った現在でもドイツとの結びつきが強く、ドイツ語は商業言語として大きな地位を占めており、ドイツ系ナミビア人(約3万人)のためにドイツ語での教育も行われている。
土着言語・その他
バントゥー語群に属すオヴァンボ語(英: Oshiwambo)は全人口のおよそ半数の第一言語である。オヴァンボ語には、クワニャマ方言・ンドンガ方言・クワンビ方言などの方言がある。
その他の言語としては、コイコイ語、ヘレロ語、クワンガリ語、カプリビ語、ツワナ語などの他にコイサン諸語なども話されており、近年はアンゴラに接する北部を中心にポルトガル語も急速に広まっており、全人口の4 - 5%前後がポルトガル話者である。ポルトガル語は学校教育に取り入れられており、2014年にはポルトガル語諸国共同体のオブザーバーになった。
- ^ “The Constitution of The Republic of Namibia”. 2013年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月6日閲覧。
- ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年10月10日閲覧。
- ^ a b c d e IMF Data and Statistics 2021年10月18日閲覧([1])
- ^ ヘニング・メルバー編 『わたしたちのナミビア――ナミビア・プロジェクトによる社会化テキスト』 ナミビア独立支援キャンペーン・京都訳、現代企画室〈PQブックス〉、東京、1990年3月21日、初版第一刷、79-84頁。
- ^ ヘニング・メルバー編 『わたしたちのナミビア――ナミビア・プロジェクトによる社会化テキスト』 ナミビア独立支援キャンペーン・京都訳、現代企画室〈PQブックス〉、東京、1990年3月21日、初版第一刷、117-131頁。
- ^ ヘニング・メルバー編 『わたしたちのナミビア――ナミビア・プロジェクトによる社会化テキスト』 ナミビア独立支援キャンペーン・京都訳、現代企画室〈PQブックス〉、東京、1990年3月21日、初版第一刷、131-138頁。
- ^ ヘニング・メルバー編 『わたしたちのナミビア――ナミビア・プロジェクトによる社会化テキスト』 ナミビア独立支援キャンペーン・京都訳、現代企画室〈PQブックス〉、東京、1990年3月21日、初版第一刷、149-152頁。
- ^ 星昭、林晃史 『アフリカ現代史I──総説・南部アフリカ』 山川出版社〈世界現代史13〉、東京、1988年8月20日、初版第三刷、267頁。
- ^ 青木一能「アンゴラとキューバ」『アフリカラテンアメリカ関係の史的展開』矢内原勝、小田英郎:編、平凡社 1989/06
- ^ a b 外務省 ナミビア基礎データ
- ^ 「乾燥した大地」森島済 p49-50(「ナミビアを知るための53章」所収)水野一晴・永原陽子編著 明石書店 2016年3月20日初版第1刷
- ^ 「変化に富む地形と地質」山縣耕太郎 p26(「ナミビアを知るための53章」所収)水野一晴・永原陽子編著 明石書店 2016年3月20日初版第1刷
- ^ 「ダイヤモンド」山縣耕太郎 p45(「ナミビアを知るための53章」所収)水野一晴・永原陽子編著 明石書店 2016年3月20日初版第1刷
- ^ 「鉱業の変遷」藤岡悠一郎 p176-177(「ナミビアを知るための53章」所収)水野一晴・永原陽子編著 明石書店 2016年3月20日初版第1刷
- ^ “ナミビア航空公式Twitter”. 2021年11月14日閲覧。
- ^ “A profile and atlas of the Cuvelai-Etosha Basin | JARO Consultancy”. jaroconsultancy.com. 2023年4月5日閲覧。
- ^ “Map Namibia - Popultion density by administrative division”. www.geo-ref.net. 2023年4月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g CIA World Factbook "Namibia"2020年12月1日閲覧。
- ^ Vision 2030 - 青年海外協力隊 in ナミビア
- ^ Namibia's language policy is 'poisoning' its children:guardian UK
- ^ Rules on birth registration and children's surnames, Ministry of Home Affairs and Immigration, February 2013.
- ^ Cricket Namibia 国際クリケット評議会 2023年9月20日閲覧。
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