ダルマ (インド発祥の宗教)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 09:45 UTC 版)
語源
古典サンスクリットの名詞ダルマ(धर्म)やプラークリットのダンマ(𑀥𑀁𑀫)は、「保有する、維持する、保つ」を表す語根dhṛからの派生していて[note 3]、「創設したり安定するもの」従って「法」の意味がある。リタの面として思い描く宗教上の感覚において「運搬人、支持者」の文字通りの意味を持つ古いヴェーダ語のn語幹のdharman-から派生している[15]。
リグ・ヴェーダでは言葉は(くしや棒の文字通りの感覚で)「創設したり安定するもの」を理解する意味の範囲を持つn語幹のdhárman-として現れる。比喩として(神の)「支持者」と「支援者」を表している。意味の上では(「天命、法令、法を確定した」)ギリシャのテミスに似ている[16]。古典サンスクリットでは名詞は語幹dharma-になる。
dharmaという単語は、インド・ヨーロッパ祖語から派生している。
- サンスクリットではクラス1[要説明]dhṛとして表される*dʰer-(「保有する」)[17]語源学上アヴェスター語のdar-(「保有する」)やラテン語のfirmus(「確固とした、安定した、強力な」)、リトアニア語derė́ti(「相応しい、適した」)、リトアニア語dermė(「合意」)[18]とdarna(「調和」)、古代教会スラヴ語drъžati(「保有する、所有する」)に関連している。
- 古典サンスクリットのdharmasという単語は、インド・ヨーロッパ祖語dʰer-mo-s(「保有」)からのラテン語のo語幹に公式に合致していて、古いリグ・ヴェーダのn語幹から歴史的に発展しなかった。
古典サンスクリットやアタルヴァ・ヴェーダのヴェーダ語では語幹はdhárma-(デーヴァナーガリー:धर्म)である。プラークリットやパーリ語ではdhammaを表している。一部の現代のインドの言語と方言では代わりにdharmとして現れている。
- 古代の翻訳
マウリヤ朝アショーカ王が紀元前3世紀にダルマという単語を(プラークリットのダンマという単語を用いた)ギリシャ語とアラム語に翻訳した際に、カンダハールの二重言語の岩の碑文とカンダハールギリシャ語布告に敬虔(εὐσέβεια、敬神、精神的な発達、神聖)を、カンダハールの二重言語の岩の碑文にアラム語のQsyt(「真理」)を用いた[19]。
- ^ a b c オクスフォード世界宗教辞典より:「ヒンドゥー教ではダルマは生命と宇宙を可能にする秩序と慣習に従ってその秩序の維持に相応しい行為に言及する基本的な観念である。」[9]
- ^ デヴィッド・カルパハナ:「ブッダはダルマという使い古されたインドの言葉を従前のとおり現象や事物を指すものとして用いた。しかしこのダルマを「他に依って生じた現象」(paticca-samuppanna-dhamma)として定義することにはつねに慎重であった……ダルマという語が存在論的な意味において実体(我; atman)を意味するというインドの観念から、このダンマの概念を区別するために、ブッダは結果、帰結、あるいは果実(attha, Sk. artha)という概念を利用してダンマの実際的な意味を明るみに出した。」[11]
- ^ モニアー=ウィリアムズサンスクリット辞典(1899年):「保有する、持ち運ぶ(産出するとも)、運ぶ、維持する、保存する、保つ、所有する、持つ、使う、雇う、実践する、経験する」[14]
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