スルホン酸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/08 18:09 UTC 版)
スルホ基は硫酸と同様に強酸性を示し、その陰イオンは水と良く水和するので、染料や界面活性剤を始め多くの有機化合物に導入され利用されている。
スルホン酸化合物を合成するには、大別して
などの方法が取られる。通常、後者の芳香族化合物に対し親電子置換反応でスルホ基を導入する反応をスルホン化反応と呼ぶ。例としてベンゼンのスルホン化の反応式を示す。
芳香族スルホン酸(特にニトロ基などが存在し、電子欠乏性の芳香族化合物)はイプソ型中間体を経由すると考えられる求核置換反応を受ける。代表的な例としては芳香族スルホン酸塩を水酸化ナトリウム中で溶融しフェノール化合物へと導く反応が挙げられる。
あるいは発色団である芳香族アゾ化合物にスルホ基を導入した酸性染料は水に対する溶解性も良く、その上絹、羊毛やナイロンなどのアミド結合の窒素原子とスルホ基とが結合(水素結合)するので染色性も格段に優れている。
あるいは、スルホ基を導入した界面活性剤は強酸の塩の為に溶液はアルカリ性を示さず(中性洗剤)、硬水中でも不溶性の塩(スカム)を発生しないので、洗剤として多用されている。また人体に対する毒性も低いものが多いため、塩基性の医薬には溶解性を上げる目的でスルホン酸の塩として供給されるものがある。
N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo-NHS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸エステル(BS3)、N-[(4-マレイミドメチル)シクロヘキシルカルボニルオキシ]スルホスクシンイミド(Sulfo-SMCC)などのタンパク質架橋剤は、水溶性を上げるため分子内にスルホ基が組み込まれている[1]。
- ^ Mattson, G., et al. (1993). “A practical approach to crosslinking”. Molecular biology reports 17 (3): 167-183. doi:10.1007/BF00986726.
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