ジャコモ・カサノヴァ
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後年の評価
死の床にあったカサノヴァは、自伝『我が生涯の物語』(Histoire de Ma Vie)草稿を、甥にあたるカルロ・アンジョリーニに託した。その草稿は後にジャン・ラフォルグによって脚色翻案され、1826年に刊行された。この翻案版よりの他言語翻訳版も各国で流布し、今日の我々のカサノヴァに対する評価もこの伝記に拠るところが大きい。英語で「彼はカサノヴァだ」との表現は、異性を惹きつける放蕩家・乱交家として定着している。カサノヴァ自筆草稿(フランス語版)を基にした決定版の出版は1960年まで待たねばならなかった。
カサノヴァ(および彼が典型として代表する放蕩的人物)は多くの一般映画およびアダルト映画の題材となってきた。その端緒は1918年のハンガリーにおける映画であるが、もっとも広く知られているのはフェデリコ・フェリーニ監督による1976年の『カサノバ』(ドナルド・サザーランド主演)および1982年のリチャード・チェンバレン主演のものだろう。また1992年にアラン・ドロン主演『カサノヴァ 最後の恋』が製作された。原作はアルトゥル・シュニッツラー。
2006年にはラッセ・ハルストレム監督がカサノヴァを「世界一の恋人」ととらえた『カサノバ』(ヒース・レジャー主演)が公開された。この映画は1753年のヴェネツィアを舞台にしたオリジナルストーリーであり、官能性をおさえたロマンティック・コメディとなっている。
2010年2月18日、フランス国立図書館は『我が生涯の物語』など3,700ページ分のカサノヴァの直筆原稿を購入したことを明らかにした。
カサノヴァを演じた映画俳優
- イワン・モジューヒン
- ボブ・ホープ
- マルチェロ・マストロヤンニ
- ドナルド・サザーランド
- リチャード・チェンバレン
- アラン・ドロン
- ヒース・レジャー
- ステファノ・アコルシ
- ヴァンサン・ランドン
- トビアス・モレッティ
- 明日海りお (宝塚歌劇団)
- 帆純まひろ (宝塚歌劇団)
関連文献
- 『カザノヴァ回想録』 窪田般彌訳、河出書房新社(全6巻、古沢岩美装画)、1968-69年。
- 新版:同・選書版(全12巻)、1973-74年/河出文庫(改訂版 全12巻)、1995-96年
- 『カザノヴァ ロココの世紀』 窪田般彌、河出書房新社 1983年/ちくま文庫 1993年
- 『色事師・カザノヴァの青春』 清水正晴、現代書館〈叢書近世異端のコスモロジー〉 1999年
- 『聖者・カザノヴァの肖像』 清水正晴、現代書館〈叢書近世異端のコスモロジー〉 2000年
- 『カサノヴァ 人類史上最高にモテた男の物語』 鹿島茂、キノブックス(上下) 2018年
- 『カザノヴァを愛した女たち』 飯塚信雄、新潮社〈新潮選書〉 1994年
- 『カザノヴァ』 J.R.チャイルズ、飯塚信雄訳、理想社〈ロロロ伝記叢書〉 新版1983年
- 『カサノヴァの帰還』 アルトゥル・シュニッツラー、金井英一・小林俊明 訳、集英社 1992年/ちくま文庫 2007年 - 小説
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