コンマ コンマの概要

コンマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/03 09:09 UTC 版)

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文の区切り

欧文では文の途中の区切りにもっぱらコンマが用いられる。英語のようにコンマを打つか打たないかが比較的厳密に定められている言語と、筆記者の自由に任される言語とがある。

日本語の縦書き文書では文の途中の区切りにもっぱら読点(、)を用いる。これに対して、横書き文書では読点を用いるスタイルとコンマを用いるスタイルの2つのスタイルがある。

日本語の横書きでコンマを使用する場合、次のようにベースライン上に置かれる。

~に対して

公用文

公用文においては、横書きの読点は、「、(テン)」を用いることが原則である。

句点には「。」(マル)読点には「、」(テン)を用いることを原則とする。横書きでは、読点に「,」(コンマ)を用いてもよい。ただし、一つの文書内でどちらかに統一する[1][2]

2022年(令和4年)以前には、公用文においては、横書きではコンマを用いるとしていた時代があった。1952年(昭和27年)の「公用文作成の要領(2022年廃止)」においては、横書きではコンマを用いるとしていた[3]。一方、旧自治省が1959年(昭和34年)に定めた「左横書き文書の作成要領」は横書きではコンマを用いず読点を用いるとしていた[4]

中国語

中国語では、縦書きでもコンマを用いる。中華人民共和国では縦書きでは右上に寄せてコンマを打つことになっており、Unicode 7.0 ではこのために U+FE10 が追加された[5]台湾香港の中国語の文章では、縦書き・横書きを問わず、漢字1文字分のスペースの中央に置かれることも多い。

数字の区切り

コンマは、数字の桁の区切りにも使用される。

日本における桁区切り

日本における桁区切りは、次の2通りの書き方があり得る。

  • 欧米および「公用文作成の要領」に従って「3桁ごと」とする[6](例: 1億 = 100000000 → 100,000,000)

 ただし、単位の漢字と算用数字を合わせて使う場合、数字だけの場合とコンマの位置がずれることによる混乱を避けるため、コンマを省いてもよい[7]。  例:1億2,644万3,000人 または 1億2644万3000人 (126,443,000人)

  • 万・億・兆といった単位に合わせて「4桁ごと」とする(例: 1億 = 100000000 → 1,0000,0000または1'0000'0000)[要出典]

実際には後者の「4桁ごと」はほとんど使われていない[要出典]

英語圏諸国における桁区切り

英語圏諸国では、数字の3桁ごとの区切り(桁区切り)にコンマを用いる。英語では、thousand(, ten thousand, hundred thousand), million... と、3桁ごとに大きい数の単位が変るからである。当然、読むときは右からthousand, million, billion, trillion と単位に置き換えたいのだから、日本語のように「1234,5678,9012,3456」では不都合なのである。

1…one

10…ten

100…hundred

1,000…thousand

10,000…ten thousand

100,000…hundred thousand

1,000,000…million

10,000,000…ten million

100,000,000…hundred million

1,000,000,000…billion

10,000,000,000…ten billion

100,000,000,000…hundred billion

1,000,000,000,000…trillion

インドにおける桁区切り

インドにおける桁区切りには、イギリス、米国、中国などと同じく、コンマを用いるが、数字列におけるコンマの位置は独特である。現地語の位取りの読み方にしたがい、はじめの3桁(千の位)の位置、その後は2桁ごと(10万の位、1千万の位、10億の位…)にコンマを置く。

科学と技術の分野

科学と技術の分野では、3桁ごとの桁区切りにコンマを用いず、空白(スペース)を用いる[8]。その理由は、ヨーロッパ大陸(フランス、ドイツ、イタリア、ロシアなど)では桁区切りにピリオドを、小数点にコンマを用いるのに対し、イギリス、米、中国、日本ではこれとは逆に、桁区切りにコンマを、小数点にピリオドを用いるので、この違いによる重大な誤読を防ぐためである[9]。詳細は小数点#二つの方式を参照のこと。


  1. ^ 内閣官房長官通知「公用文作成の考え方」の周知について」、文化庁、2022-01-11、〇 社会状況及び言語環境の変化に対応の例として「・横書きの読点は、「、(テン)」を用いることを原則とする。」としている。
  2. ^ 公用文作成(付)の考え方(「公用文作成の考え方建議) p.(4)、5 (1)句読点や括弧の使い方 ア、文化審議会、2022年1月7日
  3. ^ 公用文作成の要領〔公用文改善の趣旨徹底について〕(昭和27年4月4日 内閣閣甲第16号依命通知)(2022年に廃止済) (PDF)
  4. ^ 小田順子『自治体のためのウェブサイト改善術─広報担当に求められるテクニックとマインド』 p.20、時事通信社、2010年12月24日
  5. ^ Vertical Forms”. Unicode Standard, Version 7.0. 2015年5月18日閲覧。
  6. ^ 公用文作成の考え方(建議) 【PDF】”. 文化庁. p. 15. 令和5年1月20日閲覧。 “四桁以上の数は三桁ごとにコンマで区切って書く。”
  7. ^ 公用文作成の考え方(建議) 【PDF】”. 文化庁. p. 15. 令和5年1月20日閲覧。 “兆・億・万の単位は、漢字を使う。単位の漢字と算用数字を合わせて使う場合、数字だけの場合とコンマの位置がずれることによる混乱を避けるため、コンマを省いてもよい。 例)1億2,644万3,000人 / 1億2644万3000人 (126,443,000人)”
  8. ^ 国際単位系(SI) (pdf)”. 5.3.4 数字の書式,及び小数点, 産業技術総合研究所 計量標準総合センター (2006年). 2018年6月7日閲覧。
  9. ^ 2014 IEEE-SA Standards Style Manual (pdf)”. 13.3.2 Numerical values, IEEE. p. 22 (2014年1月). 2018年6月7日閲覧。 "Digits should be separated into groups of three, counting from the decimal point toward the left and right. The groups should be separated by a space, and not a comma, period, or dash."
  10. ^ 日本国語大辞典、第8巻(こく~さこん)、「コンマ以下」、p.518、第1版第2刷、1976年4月15日発行、小学館
  11. ^ 新明解国語辞典、「コンマ」の項、p.461、第4版第10刷、1992年3月20日発行、三省堂、ISBN 4-385-13098-1


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