コスタリカ 国家安全保障

コスタリカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/27 17:22 UTC 版)

国家安全保障

コスタリカは19世紀以来大規模な軍縮を行っており、中米最大といわれたコスタリカ軍は内戦時にはわずか1個大隊にまで減少していた[15]。1947年の内戦に勝利したホセ・フィゲーレス大統領は、1948年憲法英語版により常設軍を廃止している[16]。これはカルデロン前大統領の勢力復活を抑える効果があり、また政治勢力としての軍部の拡張や、隣国ニカラグアの策動を抑える効果があった[16]

しかし、この非武装政策は有事の際に国家および国民が外勢力からの侵略に対して無抵抗を甘受することを認めたものではない。コスタリカ共和国憲法第12条では「大陸間協定により、もしくは国防のためにのみ、軍隊を組織することができる。」とし、集団的自衛権の行使や自衛権の行使などの非常時には軍隊を組織し徴兵制を敷くことを認めている。しかし、有事となってから臨時に民間人を訓練して対応させることは、現代の高度に専門化された軍事においては事実上は不可能に等しく、このような手続きを厳密に守って創設された「正規軍」が国防の手段として機能することはほとんどないと言う意見もある[16]

2015年5月現在では、対外的な国防をもっぱらの目的とした組織は存在しない。国境紛争を抱えるニカラグアはコスタリカが「『軍』を展開している」としばしば非難している[17]

コスタリカは1983年に永世非武装中立をモンヘ大統領が宣言している。1980年代を通して繰り広げられた隣国のニカラグアの内戦のときに民兵部隊が組織されるなど非武装原則は一時揺らいだが、アリアス大統領によって立て直された。

一方で米州機構の加盟国であるため、地域内安保・外交的安保(集団的自衛権)両方で他加盟国と協調関係にあり、1965年にドミニカ共和国で起きたドミニカ内戦の時にはOAS平和維持軍の一員として武装警察を派遣している。反共の大義の下にアメリカ軍ブラジル軍の主導する占領軍に参加し(アメリカ軍によるドミニカ共和国占領_(1965年-1966年))、社会改革を求めたフアン・ボッシュ派(立憲派)の政権打倒に協力した[18]


注釈

  1. ^ 「1996年のプレバルハイチ大統領の就任式の際、台湾当局者に『米州最も貧しい国ハイチ)に対して、年間たった2000万ドルの支援とはどういうことか。本当に支援を望むなら、年間2億ドルを出すべきだ。台湾にとっては何でもないことだ』『アメリカは国内総生産の0.1%を外国援助に充てているのに、台湾は0.0001%さえも出していない』と告げた」「台湾が30カ国に満たない国と外交関係を持つのなら、もっと寛大になるべきだという意味において、私は台湾に批判的だ」と述べた。コスタリカの大型プロジェクトなどに対する台湾の資金提供については「あまり評価しない」と発言した。--2007年6月8日時事通信
  2. ^ カレロ島と砂州でつながっているため、カレロ島の一部であるともされる

出典

  1. ^ a b UNdata”. 国連. 2021年11月9日閲覧。
  2. ^ a b c d e World Economic Outlook Database, October 2021” (英語). IMF (2021年10月). 2021年11月9日閲覧。
  3. ^ World Population Prospects 2022”. 国際連合経済社会局人口部. 2022年7月17日閲覧。
  4. ^ World Population Prospects 2022: Demographic indicators by region, subregion and country, annually for 1950-2100” (XSLX). 国際連合経済社会局人口部. 2022年7月17日閲覧。
  5. ^ Amazon invests in Costa Rica as tiny nation carves out profitable niche in world economy” (2017年3月11日). 2022年4月9日閲覧。
  6. ^ Amazon invests in Costa Rica as tiny nation carves out profitable niche in world economy” (2017年3月11日). 2020年4月9日閲覧。
  7. ^ Capital Facts for San José, Costa Rica” (2017年10月18日). 2020年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月6日閲覧。
  8. ^ El Espíritu del 48. “Abolición del Ejército” (スペイン語). 2008年3月9日閲覧。
  9. ^ Costa Rica”. World Desk Reference. 2008年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年6月9日閲覧。
  10. ^ Costa Rica”. Uppsala University. 2009年6月9日閲覧。
  11. ^ アルゼンチン上院、人工妊娠中絶合法化の法案可決”. CNN.co.jp (2020年12月31日). 2022年12月12日閲覧。
  12. ^ 「堀義貴公使の中米5ヶ国着任(1935年)」外務省
  13. ^ a b 山岡加奈子 2010, pp. 27.
  14. ^ “中米コスタリカで初の女性大統領、与党のチンチジャ氏勝利”. AFP. (2010年2月8日). https://www.afpbb.com/articles/-/2692193?pid=5291967 2011年2月15日閲覧。 
  15. ^ a b 山岡加奈子 2010, pp. 23.
  16. ^ a b c 山岡加奈子 2010, pp. 22.
  17. ^ a b 山岡加奈子 2010, pp. 32–33.
  18. ^ 後藤(1993)p.77-81
  19. ^ 山岡加奈子 2010, pp. 25.
  20. ^ 山岡加奈子 2010, pp. 30–31.
  21. ^ 山岡加奈子 2010, pp. 25–26.
  22. ^ 山岡加奈子 2010, pp. 30.
  23. ^ 山岡加奈子 2010, pp. 30–33.
  24. ^ 山岡加奈子 2010, pp. 33.
  25. ^ City Population閲覧日:2017年2月11日
  26. ^ 内閣府による県民経済計算 (PDF)
  27. ^ a b c 海外安全ホームページ コスタリカ 安全対策基礎データ”. 外務省 (2015年6月12日). 2015年11月18日閲覧。
  28. ^ コスタリカ、OECDに加盟 38カ国目”. 日経新聞. 2021年10月11日閲覧。
  29. ^ 武田 淳 (2012年3月). “コスタリカにおける「エコツーリズム」イメージの創造と近年の変化” (PDF). 日本国際観光学会論文集(第19号). 日本国際観光学会. pp. 77-82. 2015年11月18日閲覧。
  30. ^ 政府観光局p.138-143
  31. ^ a b c 政府観光局p.144-147
  32. ^ 政府観光局p.176
  33. ^ a b 国本(2004)p.256-259
  34. ^ a b c d 政府観光局p.126-127
  35. ^ 国本(2004)p.148-151
  36. ^ コスタリカで同性婚が合法化、中米で初”. CNN (2020年5月27日). 2020年5月26日閲覧。
  37. ^ a b 海外安全ホームページ コスタリカについての海外安全情報(危険情報)の発出”. 外務省 (2015年10月23日). 2015年11月18日閲覧。
  38. ^ Costa Rica 2013 Crime and Safety Report OSAC 2014年12月20日
  39. ^ ナバス、レアルで快挙 100試合出場を達成した初の外国人GKに”. SPORT.es (2019年4月7日). 2019年4月17日閲覧。






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