クリスマス・イヴ クリスマス・イヴの概要

クリスマス・イヴ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 00:27 UTC 版)

クリスマス・イヴ』1904年 - 1905年、 スウェーデン人画家カール・ラーション(1853年 - 1919年)による水彩画

日本では、誤って「クリスマス(12月25日)の前夜」と認識されることが多い。日常会話では単に「イヴ」(またはイブ)と呼ばれることがある。

語源・表記

「イヴ」(eve) は「evening(イブニング)(夜、晩)」と同義の古語even」の語末音が消失したものである。

日本語の表記は「クリスマス・イヴ」とも「クリスマス・イブ」ともされる。

日付

教会暦におけるクリスマスの日付。黄色が12月24日、緑色が12月25日を表す。常用時とは異なり、教会暦の日界日没であるため、24日(常用時)の日没から25日(常用時)の日没までが12月25日、即ちクリスマスである。クリスマス・イヴは24日(常用時)の日没から24日(常用時)の24時(=25日の0時)までである。

ユダヤ暦およびそれを継承する教会暦では、常用時における日界正子すなわち0時)とは異なり、日没が日界日付の変り目)である[1][2]。したがって、この暦を採用する教会では、12月24日(常用時)の日没から12月25日(教会暦)が始まるので、この日没時から正子までがクリスマス・イヴである。そしてクリスマスの一日は12月25日(常用時)の日没に終わることになる。12月25日(常用時)の日没以後は12月26日(教会暦)である[注 1]

つまり、「クリスマス・イヴ」とは「クリスマスの前夜」ではなく、その言葉の通り、まさに「クリスマス当日の夜」なのである(日#一日の始まりも参照)[3][4][5]。ただし、キリスト教国(en:christendom)においても常用時の概念を用いて「クリスマスの前夜」と説明することがある[6]。転じて、俗に12月24日全体を指すこともある[7]

カトリック典礼暦日界も日没である[8]。重要な祭日や主日(毎週日曜日)の典礼と同様に、クリスマスは12月24日(常用時)の「晩の祈り」から始まる。この時点から正子(24時)までがラテン語: vigiliaと位置づけられている。24日(常用時)の晩には固有のミサが存在するが、日本などでは夜半ミサを前にずらして24日(常用時)の夜に行うことがほとんどで、前夜ミサが行われることは皆無に近い。

正教会では24日(常用時)の夜に翌日(25日)の聖体礼儀を準備する晩祷が行われる。ただし、ユリウス暦を現在も使用する教会(エルサレム総主教庁ロシア正教会など)では、グレゴリオ暦とユリウス暦の間に現在13日のずれがあるため、クリスマス・イヴは1月6日(常用日)の日没~正子であり、クリスマスも翌1月7日である。

教会での祭

正教会ポーランド正教会)の降誕祭奉神礼の模様。中央にディキリとトリキリを持つ主教
ニューヨークにある聖公会の聖堂でのイヴ礼拝の模様

教会においては、クリスマス・イヴに多くの教派(正教会[9]聖公会[10]プロテスタント[11])で晩の礼拝が行われる。前述の通り日没を日界としている教会暦では12月24日(常用時)の晩は、12月25日(教会暦、クリスマス当日)であるため、直ぐに最初のクリスマス礼拝が行われる。

カトリック教会[12]では12月24日は主の降誕の前日であって、かつては断食をして備える日であった。この日の夕刻以降は12月25日(教会暦)であり、主の降誕のミサが行われる。ただし現代では25日(教会暦)の夜半のミサを繰り上げて行うことがある。特に日本の教会では24日(常用時)に行われるミサのほとんどがこの「夜半のミサ」で、本来の前夜のミサが行われることはほとんどない。

正教会ではクリスマス・イヴ(教会暦の12月25日の日没以降すなわち常用時の12月24日の日没以降)に晩祷が行われ、聖体礼儀が12月25日の朝に行われる[9]


注釈

  1. ^ ただし、プロテスタント一部教派では、常用時を用いて、25日(常用時)の0時をもってクリスマスの開始としている。

出典

  1. ^ 1日の始まり 暦Wiki、国立天文台
  2. ^ 4教派 期節・祝日対照表(日本版)
  3. ^ クリスマス・イブって何?→クリスマス当日の夜。昔は夜から一日が始まったから。 チコちゃんに叱られる!、2018年12月29日
  4. ^ 12月24日の夜はクリスマス・イブ 雜賀信行、今日は何の日?、クリスチャン・プレス、2018年12月24日
  5. ^ 「クリスマス・イブってなに?」実は…… BIGLOBEニュース、2018年12月21日
  6. ^ The American Heritage Dictionary, Second College Edition,"Christmas Eve : The evening before Christmas",p.271,Houghton Mifflin,1982,ISBN 0-395-32943-4
  7. ^ The Random House Dictionary of the English Language, Second Edition Unabridged, p.368,"Christmas Eve: the evening or the day preceding Christmas(1350-1400), 1987, Random House, ISBN 0-394-50050-4
  8. ^ 行事予定カレンダー ページの最後にある「典礼暦(教会暦)について」、典礼暦の一日は、日没から始まり日没に終わるため・・・、カトリック宇部教会
  9. ^ a b 主神我が救世主イイススハリストスの降誕祭
  10. ^ クリスマスイブ礼拝:日本聖公会 浜田キリスト教会
  11. ^ 吉祥寺教会クリスマスイブ予定
  12. ^ 教会でのミサ
  13. ^ ドキュメンタリー「クリスマスの本当の話」(ヒストリーチャンネル
  14. ^ クリスマスイブの本当の意味、知ってる?こんなに違う日本と欧米のイブの過ごし方”. @DIME (2019年12月5日). 2021年12月16日閲覧。
  15. ^ プランタン銀座2009年版クリスマスアンケート調査 2009年12月10日21:30閲覧
  16. ^ 「クリスマス、深く内省を」 ローマ法王、経済紙に寄稿 朝日新聞2012年12月24日 ローマ支局・石田博士記者(ウェブ魚拓)


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