クトゥルフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/09 00:30 UTC 版)
発音
名前は、ギリシア語で「地下」を意味する"Chthonic"から着想を得たと言われている。これは、1932年作品『壁のなかの鼠』において言及された。
日本語による「クトゥルフ」表記は1974年出版の『ラヴクラフト傑作集』(後のラヴクラフト全集1)を訳した大西尹明によるものであり、表記の理由を「発音されると考えられる許容範囲内で、その最も不自然かつ詰屈たる発音を選んだがため」としている[17]。
宇宙から飛来した異生物クトゥルフの名前は、本来、人間には発音不能とされ(ルルイエも同様)、その呼称を便宜的に表記したものである。英語では"Cathulu", "Kutulu", "Q'thulu", "Ktulu", "Cthulu", "Kthulhut", "Kulhu", "Thu Thu", "Tulu"など、複数の綴りが存在し、発音も決まっていない。S・T・ヨシは、「HPLは、"Khlûl'hloo"(クルールー)もしくは"Kathooloo"(カトゥルー)という音を"Cthulhu"と書き写した」と述べている。HPL自身は、"Cthulhu"の発音について「舌の先をぴったり口蓋に押しつけて、不完全な二つの音節、"Cthu-lhu"を唸るように、吼えるように、咳きこむように発音する[18]」と書簡に記述している。これをカタカナで表現すると「クルールー」になる。一方、HPLから遺著管理者に指名されたロバート・H・バーロウは「HPLは"Cthulhu"を"Koot-u-lew"と発音していた」と証言しており、オーガスト・ダーレスもこれを支持した。「クトゥルー」という表記は、このバーロウの説に由来する。
HPLは諸作品で、メキシコの鉱山でCthulhutl(クトゥルートル)、ウガンダの密林でClulu(クルル)、地底世界でTulu(トゥルー)と呼ばれているとした[19]。またスミスはKthulhut(クトルット)という表記を用いた[7][要検証 ]。
Cthulhuの日本語表記
- クトゥルフ:全集1(大西尹明)・2(宇野利泰)、新潮、クトゥルフ神話TRPGなど
- クトゥルー:クト、新訳など
- ク・リトル・リトル:真ク、新ク、荒俣宏
- クルウルウ:全集3以降(大瀧啓裕訳分)
- クスルウー:定本
先述の理由から、大瀧啓裕は、「クルウルウ」「クトゥルー」の2表記を意図して使い分けている。大瀧は全集とクトの両方の邦訳を担っており、クルウルウ=HPLが作り出した神話作品、クトゥルー=ダーレスが作り上げた神話体系としている。
ほか、『クトゥルフの呼び声』の邦訳題ぶれにも影響する。
世界の中のCthulhuの名前の設定
クトゥルフ神話TPRGにおける設定では、現在の「クトゥルフ」という名は、ネクロノミコンアラビア語版に記された名をギリシャ語に音訳したときにできたもの(xthulhu、Χθυλυ)であり、ラテン語でCthulhuとなったとされている。それどころか、世界中の古代文明の言語記録に古代クトゥルフ崇拝の痕跡がみられるとされる[20]。
古代中国では鬼歹老海(クィ・タイ・ラオ・ハイ)と記され[20]、現代中国語では克蘇魯と表記される[21]。なおルルイエ異本は中国の書物である。また日本(和製クトゥルフ作品)にて「九頭龍」の字が当てられることもあり、九頭竜伝承に重ねられる[22]。
固有名詞の分類
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