クシエルの遺産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 08:48 UTC 版)
フェードル三部作のあらすじ
クシエルの矢
テールダンジュの王都エルーアの神娼の子として生まれたフェードルは花館で育つが、瞳にクシエルの矢と呼ばれる赤い染みがある。フェードルは痛みを快楽と感じ、すみやかに跡形もなく傷が癒えるアングィセット体質であることが分かり、貴族アナフィール・デローネイに引き取られ、アルクィンとともにスパイとしての教育を受ける。だがメリザンドの立てた宮廷陰謀に巻き込まれ、師のアナフィールと友のアルクィンは殺され、フェードルは護衛の騎士ジョスリンとともに隣国スカルディアに奴隷として売られる。
フェードルはスカルディアの指導者ヴァルデマール・セリグの臥所の奴隷となり、貴族と内通してテールダンジュを侵略する陰謀を知る。フェードルとジョスリンは逃げ出し、王都に戻る。二人はアナフィール殺人の罪で告発されていることを知り、ツィンガン人(ジプシー、あるいはロマ民族にあたる)でフェードルの親友ヒアシンスを頼って、イサンドル女王に陰謀を知らせる。
女王は、密かにフェードルを海を隔てた隣国アルバに送って婚約者ドラスタンの援軍を求める。フェードルはヒアシンスを伴ってアルバにわたり、内乱を勝ち抜き大クルアハとなったドラスタンは援軍を率いてテールダンジュに向かう。海峡を支配する超自然的な存在の早瀬の主は、ヒアシンスを自分の後継ぎとして留める条件でアルバ軍を通す。
フェードルは、スカルディアに内通していたイシドール公爵に、メリザンドとセリグが裏切るつもりでいることを話して、テールダンジュ防衛に立たせ、スカルディア軍は敗れセリグは戦死する。メリザンドは捕えられ大逆罪で死刑を宣告されるが脱走する。女王はドラスタンと婚儀を挙げ、フェードルの汚名をそそぎ、アナフィールの領地を与えて貴族とする。フェードルのもとに、メリザンドから挑戦の徴が届く。
クシエルの使徒
メリザンドからの挑戦を受け取ったフェードルはメリザンド脱走の経緯を調査するため、王都に戻ってふたたび神娼となる。そのためジョスリンとの間に溝を生じ、ジョスリンはイェシュト人(ユダヤ人にあたる)の宗教に魅かれるようになる。
フェードルとジョスリンは手掛かりを追ってラ・セレニッシマ(ヴェネツィアにあたる)に旅し、当地に住むイサンドルの大叔父ベネディクトがメリザンドと結婚し子をもうけたことを知る。ベネディクトはイサンドルを殺し王位を奪う陰謀を立てており、真相を知ったフェードルは孤島の牢に閉じ込められる。ジョスリンが助けにやって来るが、フェードルは海に落ち、イリュリア人(スロバキア、クロアチア、ボスニア、セルビア、アルバニアにあたる地域)の海賊カザンに救われ、クリティ島(クレタ島にあたる)にたどり着く。フェードルは、王都エルーアを侵略から守るようバルクィール・ド・ランヴェール公爵に手紙を送る。
フェードルはラ・セレニッシマに密航し、ジョスリンと再会し、当地を訪れているイサンドル女王の暗殺を阻止する。ベネディクトは死ぬが、メリザンドはアシェラト寺院の庇護を得てテールダンジュの裁きから逃れ、二人の息子のイムリエル王子は行方不明となる。女王とフェードルはエルーアに向かい、王都を包囲中のサマヴィーユ公爵を逮捕する。ジョスリンはフェードルの伴侶となる。
クシエルの啓示
メリザンドは、フェードルが息子イムリエルを探してくれれば、ヒアシンスを解放するために必要な唯一の神の名前を知る謎のダン族の居場所を教えると言う。フェードルはメネケット(エジプトにあたる)に旅し、ドルージャン(アゼルバイジャンにあたる)の祭司がイムリエルを奴隷として買い取ったことを知る。フェードルはドルージャンに行き、狂王マハールカギールの後宮に入る。限界を超える痛みを連日与えられ、アングィセットならではの苦しみを知る。後宮の女性たちと謀って狂王を殺し、イムリエルやジョスリンと共に脱出する。
反逆者の息子であるイムリエルはテールダンジュに送られることになるが、メネケットに向かうフェードルとジョスリンの船に密航する。一行はメネケットから砂漠を通ってジェベ・バルカル(エチオピア)に行き、さらに奥地へと向かいサバ族を見つけ出す。当初は拒否されながらもフェードルは唯一神の名前を手に入れる。
メリザンドはフェードル自身がイムリエルを育てると言う条件でイサンドル女王とその娘たちに危害を与えないと誓う。一行は王都に帰り、フェードルはイムリエルを育てる許しを女王から得る。フェードルは海峡に向かい、唯一神の名前を用いてヒアシンスを呪いから解放する。超自然的な力を使えるようになったヒヤシンスはツィンガン人の指導者になることを拒否し、アルバに渡ってドラスタンの妹シーベルと暮らすことを選ぶ。
- ^ a b 英国では“反逆者の世継ぎ”(Traitor's Heir) シリーズと呼ばれる
- ^ http://www.suvudu.com/2009/12/authors-share-once-titles.html
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