ウェイクボード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/16 03:22 UTC 版)
歴史
ウェイクボードは、1980年代初頭にスコットランドのプロエクストリームスポーツプレーヤーであったロクラン・スノーウィーが提唱した「スカーフィング」を起源として、ニュージーランドのサーフボード製作者であるアラン・バーンとケビン・ジャレットなどによって「スカーフボード」として考案された。その後「スカーフボード」はオーストラリアのジェフ・ダービーらに貸し出され、同国のクイーンズランド州でも製作されるようになる。最初に量産された樹脂成形型の「スカーフボード」は、オーストラリアのサーフボード製作者であるブルース・マッキーとミッチェル・ロスにより、「マック・スキー」という商品名でオーストラリア国内にて発売される。以後、商品名は「SSS」、「ウェイクスネーク」などと変遷する。この時点の「スカーフボード」は、サーフボード状の板に調整可能なストラップを1本ずつ用いて両足を固定するような方式になっていた。これらの固定方式はマッキーとロスが1984年と1985年に特許を出願して権利を取得している。
マッキーとロスの「マック・スキー」は、アメリカ合衆国でメダリスト・ウォータースキー社によって生産されることになり、「サーフスキー」という商品名で、1984年にシカゴで開催されたIMTECショーにおいて発表される。
この際にカリフォルニア州での販売権取得のためにサンディエゴからショーに訪れていたトニー・フィン(後にリキッドフォース社を創業)は、その後オーストラリアのジェフ・ダービーと生産契約を結び、「スカーファー」の商品名で「スカーフボード」をアメリカ国内で発売する。一部ではこの「スカーファー」という商品名がウェイクボードの起源、またトニー・フィンが考案者と理解されているが、実際には前述のとおりである。
「スカーフボード」を礎として、「ウェイクボード」という名称やコンセプトが、カナダ・バンクーバーのポール・フレーザー、マーレー・フレーザー兄弟や両名が支援するプロスノーボーダーらによって1980年代後半に構築される。これはワシントン州シアトル近郊でハーブ・オブライエンが創業するハイパーライト社によって、グラスファイバーを合成した現在の「ウェイクボード」として製品化される。
「スカーファー」に足全体を固定するバインディングを装着することを考案したテキサス州オースティンのジミー・レドモン、「リキッドフォース」という名称を考案したスカーファー競技者であったハワイのエリック・ペレズ、リキッドフォース社を創業したトニー・フィンなどと共に、1980年代から1990年代にかけてウェイクボードというスポーツは主に北米地域で広く発展し確立された。
なお、ハーブ・オブライエンは2006年にハイパーライト社を去り、スクエア・ワン社を設立して「RONIX」ブランドを発売している。
「スカーフボード」、「スカーファー」、「ウェイクボード」などの名称は、総称して1980年代には「スキーボード」と呼ばれており、1989年には「ワールド・スキーボード・アソシエーション」が設立され、1990年にハワイのカウアイ島で初の世界大会が開かれた。その後同団体は1990年代初頭に「ウェイクボード」の名称が普及したことにより、団体名を「ワールド・ウェイクボード・アソシエーション(WWA-世界ウェイクボード協会)」に変更した。
「ウェイク」とは、英語で曳き波のこと。
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