アンチトロンビン欠乏症 アンチトロンビン欠乏症の概要

アンチトロンビン欠乏症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 14:10 UTC 版)

Antithrombin III deficiency
別称 ATIII deficiency
概要
分類および外部参照情報

一般集団におけるAT欠乏症の有病率は0.02–0.2%、静脈血栓塞栓症患者では1–5%と推計されている[6]。AT欠乏症患者は血栓症の発症リスクが高く、患者の50%が50歳までに静脈血栓塞栓症を発症することが知られている[6]

診断

次のような患者は、AT欠乏症が臨床的に疑われる。1. 再発性の静脈塞栓血栓症、2. 小児の血栓症、3. 妊娠中の血栓症。AT活性の検査により、70%以下であった場合に欠乏症であることが確認される。欠乏症は遺伝的素因が原因となるほか、急性血栓症、播種性血管内凝固症候群、肝疾患、ネフローゼ症候群アスパラギナーゼを用いた治療、経口避妊薬/エストロゲンの使用といった後天的要因も原因となる。さらなる評価のため、アンチトロンビンをコードするSERPINC1遺伝子に関する遺伝子検査が行われる場合がある[6]

管理

AT欠乏症患者に対する抗凝固治療においては、未分画ヘパリンに対する抵抗性が、特に持続注入を行った場合に生じる可能性がある。大量の未分画ヘパリン(35000 U/日以上など)が必要となる場合には、抵抗性が生じる傾向にある。アンチトロンビン濃縮製剤による補充が利用されているが、大量の未分画ヘパリンを使用している場合には出血のリスクを伴う。低分子量ヘパリンは有効であるが、抗Xa因子活性測定は実際の抗凝固効果を反映していない可能性がある。ビタミンK拮抗薬英語版のほか、Xa阻害剤やトロンビン阻害剤などの直接経口抗凝固薬も利用されているが、これらのデータは限定的である[6]

関連項目

外部リンク

分類
外部リソース(外部リンクは英語)

  1. ^ “Deficiency Of Antithrombin III (AT III) - Case Report and Review of the Literature”. Current Health Sciences Journal 40 (2): 141–3. (2014). doi:10.12865/CHSJ.40.02.12. PMC 4340457. PMID 25729597. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4340457/. 
  2. ^ Kurman, Robert J, ed (2002). “Chapter 23: Diseases of the Placenta”. Blaustein's Pathology of the Female Genital Tract (Fifth ed.). pp. 1136–7 
  3. ^ a b “Laboratory tests for antithrombin deficiency”. American Journal of Hematology 85 (12): 947–50. (December 2010). doi:10.1002/ajh.21893. PMID 21108326. 
  4. ^ Online 'Mendelian Inheritance in Man' (OMIM) 107300
  5. ^ “Inherited antithrombin deficiency causing thrombophilia”. Thrombosis et Diathesis Haemorrhagica 13 (2): 516–30. (June 1965). doi:10.1055/s-0038-1656297. PMID 14347873. 
  6. ^ a b c d Pabinger, Ingrid; Thaler, Johannes (2019-12-26). “How I treat patients with hereditary antithrombin deficiency” (英語). Blood 134 (26): 2346–2353. doi:10.1182/blood.2019002927. ISSN 0006-4971. PMID 31697819. https://ashpublications.org/blood/article/134/26/2346/422690/How-I-treat-patients-with-hereditary-antithrombin. 


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