アメリカ合衆国とイランの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/30 17:11 UTC 版)
核開発問題
イランの核開発については、イラン政府は常にイランの核開発は平和利用の原子力発電のためであり、軍事目的の核兵器を開発する意思は無いと主張している。しかし、国際連合安全保障理事会常任理事国であるアメリカ合衆国・中華人民共和国・イギリス・フランス・ロシア連邦の5か国の政府とドイツ政府は、イラン政府の主張は本音・真実ではなく、軍事目的の核兵器の開発のための偽装であるとの疑いを持ち、国際連合安全保障理事会は2006年12月・2007年3月・2008年3月にイランを制裁する決議を採択した。しかし、イラン政府は国際連合安全保障理事会の制裁決議は受け入れないと表明し、イランの平和利用目的の核開発は誰にも妨害させない、誰も妨害できないと主張している[49][50]。アメリカの国家情報会議(NIC National Intelligence Council)は、イランは2003年に核兵器の開発を中止しているので、アメリカ政府が主張するイランの核兵器開発疑惑は事実ではないと政府に報告した[51]。
核エネルギー開発に関する非欧米の見方
欧米がこの問題やその他の事柄でイランを極度に危険視してとりあげるのは、イランが欧米に依存しないイスラムという価値観に基づく体制だからであるという見方がイランではある[52](下記の「イランの主張」参考)。 一方、日本ではイランが危険な国であるかのような論調があるが、アフマディネジャド大統領は一貫して核兵器を持つつもりは無いとし、「核爆弾は持ってはならないものだ」とアメリカのメディアに対してはっきりと言い切っている(Newsweek誌2009年10月7日号)。その上で、アメリカの学生と大統領自身がニューヨークで交流するなど欧米に対して対話する努力を積極的に行い、アジア、南米、ヨーロッパなど様々な国のトップなどとも交流し、国内でも女性の閣僚指名(女性の権利の向上)などの画期的な改革を行うなど、様々な努力を行っている。また、イランは中国とも同盟を結んでいる。そのため、イランに理解を示す国々は日本ではあまり知られていないが数多くあり、イランが危険だから核エネルギー開発も阻止されなければならないという論理は決して世界共通とは言えなく、トルコ・ブラジル・ベネズエラ・キューバ・エジプト・その他の非同盟諸国もイランの平和的核エネルギー開発を支持している。2009年10月にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はイランを訪問し、アフマディネジャド大統領と会談した際に「核エネルギーの開発はイランの権利である」というイランの立場に理解を示し、当然であるとの姿勢を示した [53]。また、 非同盟諸国は2006年9月の首脳会議でイランによる平和利用目的の核開発の権利を確認する宣言等を採択した[54]。
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