アドメートス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/03 22:58 UTC 版)
父ペレースの兄弟にアイソーンがあり、したがって、アイソーンの子イアーソーンとアドメートスは従兄弟の関係である。アドメートスはイアーソーン率いるアルゴナウタイの冒険に参加し、また、カリュドーンの猪狩りにも加わった。
神話
アポローンの息子アスクレーピオスは、死者を生き返らせるほどの名医だった。だが冥府の主であるハーデースが「死者を生き返らせるのは世界の秩序を乱す」としてゼウスに抗議する。そこでゼウスは雷霆をもってアスクレーピオスを撃ち殺した。これに怒ったアポローンは、ゼウスのために雷霆を作っていたキュクロープスたちを殺した。ゼウスはアポローンをタルタロスに落とそうとしたが、レートーの乞いによって罪を減じ、1年の間人間に仕えるよう命じた[1]。そしてアポローンが仕えた人間がアドメートスである。アポローンはアドメートスの牛飼い(羊飼いとも)となり、アドメートスの牛に双生児を産ませて増やした。
アドメートスはイオールコス王ペリアースの娘アルケースティスを愛していたが、ペリアースは戦車に獅子と猪を繋ぐことのできた者に娘を与えると約束していた。アポローンはアドメートスのために戦車に獅子と猪を繋ぎ、アドメートスはこの戦車を駆って競技場を一周して、アルケースティスを妻とすることに成功した。アルケースティスとの結婚式のとき、なぜかアドメートスはアルテミスに生け贄を捧げることを忘れた。このため、閨房の扉を開くと、部屋にはとぐろを巻いた蛇が満ちていた。アポローンはアドメートスに、女神を宥めるようにいった。
さらにアポローンは、モイライに乞うて、アドメートスの死期がきたときに彼の父母か妻のうち、彼のために喜んで死のうとする者があった場合には、その死期を延ばせるように計らった。このとき、アポローンはモイライを酔わせてこのような取り決めを勝ち得たともいう。
アドメートスが死ぬ日が来たとき、父も母も彼のために死のうとはしなかったが、アルケースティスが身代わりになって死んだ。このとき、ペルセポネーはアルケースティスを冥府から地上に送り返してやった[2]。別の説では、ヘーラクレースがタナトスと闘ってアルケースティスを連れ戻したともいう[2]。
アドメートスとアルケースティスの子エウメーロスは、スパルタのヘレネーの求婚者の一人となり、後のトロイア戦争には11隻の軍船を仕立て、ペライの兵を率いて参戦した。
系図
- 1 アドメートスとは
- 2 アドメートスの概要
- 3 参考文献
固有名詞の分類
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