うしおととら
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登場人物
武具
妖器物
- 獣の槍
- 春秋・戦国期の中国で、白面の者に両親を殺された兄妹が白面の者を倒すべく身命を賭して作り上げた武器。妹(ジエメイ)が溶鉱炉に身を投じ、炉から取れた少量の鍛鉄から刀剣鍛冶である兄(ギリョウ)が槍の刃を鍛え上げ、兄も白面への底知れぬ憎悪から槍の柄へと変化して一本の槍になった。
- そうして出来た獣の槍は意思を持ち、どんなに妖(バケモノ)を切り刻んでも刃こぼれせず、錆びもしない[注 1]妖器物となる。誕生後は、獣の槍が単体で白面の者を求めて見境無く大陸の妖を殺し回っていたが、獣の槍を恐れた妖たちは団結して一本一本の糸になり、それを織って作られた赤い織布によって深山に長く封印される。時を経てシャガクシャ(とら)によって解き放たれ、様々な人間の手に渡る。
- 獣の槍は使うものを選び、強大な戦闘能力を与える代償にその者の魂を奪う。獣の槍に魂を全て与えてしまった者は獣と化し、字伏(あざふせ)となる。その真実は物語の終盤に明らかになった。
- 槍に選ばれた人間が戦うと槍は使用者に囁きかけ、魂と引換えに身体能力と治癒能力を著しく向上させる。その際には、蓄積されたかつて槍の使用者の経験を、現在の使用者が自らの経験として使うことができる。また、使用者は空中の妖気を頭から吸収し、髪が異様に伸びた姿となり、少しずつ異形へと近づいていく(戦い終えると妖気の吸収が途絶え、元の姿に戻る)。魂が削られると治りは次第に遅くなっていき、槍の囁き声も強くなって槍を鍛える刀匠の姿が見えるようになる。これらの変化は、槍に選ばれていない者が手にしても一切表れない。しかし、獣の槍がいかなる基準で使い手を選ぶのかは描かれていない。例外的とはいえ紅煉のように白面に味方する者すらいる。
- 槍は妖の人間に対する悪意を読み取って反応し、使用者にその場所を教える。ただし、サトリのように人間への敵意を持たない妖怪には反応しない。また、使用者の意志で浮遊するため、遠い場所にあっても手元へ呼び寄せる事ができる。使用者に危険が迫ると自律的に動き出す。槍はあくまでも妖を殺すための武具であり、妖を除く生物を攻撃するとすり抜ける。
- 物語の開始時では、槍の柄の先端と刃の根元にぼろぼろの赤布が巻き付いていた。この布は深山に封印された時の赤い織布が千切れた物であり、獣の槍の力を封じる力が残っている。そのため、この布を取り除くことによって獣の槍の力は強くなるが、それに比例して魂の削られる量も増えるため、使用者の命を縮めることになる。潮は布を半分引き千切り、力を倍増させたことがある。終盤の戦いでは粉砕された獣の槍をとらの身体を通じて再生し、覚悟を決めた潮が赤布を取り去り全ての力を解放した。
- 元が刀剣であったため、獣の槍は通常の槍と比べると柄に比べて刃の部分が厚く幅広になっており、槍の穂先というよりは両刃の剣のようである。槍の柄には「我らは、白面の者を倒すまで蒼月(ツァンユエ)の心の内に在る 」 という意味の「我屬在蒼月胸中到誅白面者」という漢字が彫り込まれているが、長い年月の間に擦り減ってしまったためよく読めない(完全な槍になったギリョウの意思で起きた部分的な剥落によるもの)。
武法具
- 錫杖
- 光覇明宗では最も基本的な武法具。特別な鍛鉄で出来ている。法力を込めて叩く・金属音を発して妖を退ける・雷や炎を捌く・結界の起点にするなど、その用途は広い。袖に忍ばせるほど短いものや伸縮するもの、鎖の仕込まれたものなど複数の種類が存在する。
- 千宝輪(せんぽうりん)
- 法輪の形をした投擲武器。紫暮や凶羅が使用した。8本の鋭く長い棘が仕込まれている。
- 独鈷(どっこ)
- 独鈷杵・三鈷杵……とらと流の最後の戦いにおいて、流が使用した。
- 金剛杵……婢妖バスからの乗客救出や、ヴィタエ418・427との戦いで使用した。結界を作るため地面に打ち込まれることが多い。凶羅が月輪から逃れるため自分の足を千切ろうとしたり、一部の妖怪に刺すシーンなども見られ、刺突や投擲武器としても用いる。
- 穿心角(せんしんかく)
- 光覇明宗の札幌寺院に保管されていた武法具。形状は剣とランスを合わせたような形になっている(持ち手のついた巨大な四角推ともいえる)。引狭の過去のシーンにて名と形が確認できることから、彼の指揮の元で作られた武法具である。威力こそ凄まじいものの、引き換えに使い手の法力を極限まで吸い取るため、鍛錬不足の法力僧では精神に失調をきたす恐れがある。潮への復讐に燃える凶羅が強奪し、以降彼の得物となった。「山魚」を撃破した際には多数の人間を通して増幅した法力を大量に蓄え、走行中の電車内から射出。高い強度を持つ山魚を口中から外皮まで打ち抜いてトンネルに縫い留める頑強さを見せる。白面との決戦時においても、凶羅が守っていた「結界の弱い所」で黒炎の死体の山を築いた凶羅の手にある穿心角は大きな損傷をしていない。エレザールの鎌の失敗作が法力を通すと溶融したり、量産品があっさりと十和子に捻じ曲げられているシーンがあることからすれば、穿心角の法力充填力と物理的強度は非常に高度なものと言える。
- エレザールの鎌
- 西洋魔道を取り入れようとして光覇明宗を破門された法力僧・引狭が作り上げた最強の武法具。
- その製作は何度も失敗が続いていたが、斗和子の助言により完成した。刃に亜鉛を加え、柄には白木を通してある。これは斗和子曰く12世紀の学者ボルムス・エレザールが考案した方法とのこと。威力・軽さ・法力の増幅のどれも優れているが、絶大な戦闘力を持つのはキリオが持っている一本だけである。ほかの霧雄に従った若い僧たちに与えられたものや、斗和子の持ち込んだ工作機器で大量生産されて囁く者達の家に大量に保管されていたものは、従来の武法具と大差ない代物であった。
機器
- キルリアン振動機
- ハマー機関の開発した妖怪を拘束する機械。法力僧など修行した能力者に拠らず、純粋に機械と電力のみで妖怪を拘束可能な量産性のある道具である。
- 白面が「お役目」の力と解釈しているような台詞を発するなどしているため、月輪のようにエネルギーの塊として固定化するような応用性は無いが本質は大差ない様子。
- 大型キルリアン振動機「トランプ」
- ミサイルランチャーのような長方形の機械がビル屋上に複数基展開される。関東のハマー研究所から西日本方面の白面移動・封じ込めに協力している描写があるため、キルリアン振動機では劇中最長の射程といえる。
- 小型キルリアン振動機「チェシャキャット」
- 掌よりやや大振りなカプセル状の機械。他キルリアン振動機と違い、照射方向に付属するU字のような形の先端部品がない。潮の懐にしまわれ、発動時に白面を押し返した時も画面上の効果では同心円のような波動が見られる。
- その他のキルリアン振動機
- 主に監視カメラ大ほどのものを複数基用いて、研究所の妖怪たちを縛るなどに用いている。バッテリーを付けて拳銃等のオプションにする事も可能なようで、終盤自衛隊員が黒炎を射殺する際の銃に組み込まれている描写がある。
書誌情報
単行本
- 藤田和日郎 『うしおととら』 小学館〈少年サンデーコミックス〉、全33巻
- 1990年12月15日発行(11月17日発売[7])、ISBN 4-09-122481-4
- 1991年1月15日発行(1990年12月13日発売[8])、ISBN 4-09-122482-2
- 1991年4月15日発行(3月18日発売[9])、ISBN 4-09-122483-0
- 1991年6月15日発行(5月18日発売[10])、ISBN 4-09-122484-9
- 1991年9月15日発行(8月9日発売[11])、ISBN 4-09-122485-7
- 1991年10月15日発行(9月18日発売[12])、ISBN 4-09-122486-5
- 1991年12月15日発行(11月18日発売[13])、ISBN 4-09-122487-3
- 1992年2月15日発行(1月18日発売[14])、ISBN 4-09-122488-1
- 1992年4月15日発行(3月18日発売[15])、ISBN 4-09-122489-X
- 1992年7月15日発行(6月18日発売[16])、ISBN 4-09-122490-3
- 1992年8月15日発行(7月17日発売[17])、ISBN 4-09-123101-2
- 1992年10月15日発行(9月18日発売[18])、ISBN 4-09-123102-0
- 1993年1月15日発行(1992年12月12日発売[19])、ISBN 4-09-123103-9
- 1993年4月15日発行(3月18日発売[20])、ISBN 4-09-123104-7
- 1993年6月15日発行(5月18日発売[21])、ISBN 4-09-123105-5
- 1993年8月15日発行(7月17日発売[22])、ISBN 4-09-123106-3
- 1993年12月15日発行(11月18日発売[23])、ISBN 4-09-123107-1
- 1994年4月15日発行(3月18日発売[24])、ISBN 4-09-123108-X
- 1994年6月15日発行(5月18日発売[25])、ISBN 4-09-123109-8
- 1994年8月15日発行(7月18日発売[26])、ISBN 4-09-123110-1
- 1994年10月15日発行(9月17日発売[27])、ISBN 4-09-123401-1
- 1995年1月15日発行(1994年12月10日発売[28])、ISBN 4-09-123402-X
- 1995年4月15日発行(3月18日発売[29])、ISBN 4-09-123403-8
- 1995年6月15日発行(5月18日発売[30])、ISBN 4-09-123404-6
- 1995年10月15日発行(9月18日発売[31])、ISBN 4-09-123405-4
- 1995年12月15日発行(11月18日発売[32])、ISBN 4-09-123406-2
- 1996年2月15日発行(1月18日発売[33])、ISBN 4-09-123407-0
- 1996年4月15日発行(3月18日発売[34])、ISBN 4-09-123408-9
- 1996年6月15日発行(5月18日発売[35])、ISBN 4-09-123409-7
- 1996年9月15日発行(8月10日発売[36])、ISBN 4-09-123410-0
- 1996年10月15日発行(9月18日発売[37])、ISBN 4-09-125121-8
- 1996年12月15日発行(11月18日発売[38])、ISBN 4-09-125122-6
- 1997年1月15日発行(1996年12月10日発売[39])、ISBN 4-09-125123-4
- 藤田和日郎『うしおととら外伝』小学館〈少年サンデーコミックス〉、1997年5月17日発売[40]、ISBN 4-09-125124-2
文庫版
- 藤田和日郎 『うしおととら』 小学館〈小学館文庫〉、全19巻
- 2004年9月15日発売[41]、ISBN 4-09-193511-7
- 2004年10月15日発売[42]、ISBN 4-09-193512-5
- 2004年11月13日発売[43]、ISBN 4-09-193513-3
- 2004年12月15日発売[44]、ISBN 4-09-193514-1
- 2005年1月15日発売[45]、ISBN 4-09-193515-X
- 2005年2月15日発売[46]、ISBN 4-09-193516-8
- 2005年3月15日発売[47]、ISBN 4-09-193517-6
- 2005年4月15日発売[48]、ISBN 4-09-193518-4
- 2005年5月14日発売[49]、ISBN 4-09-193519-2
- 2005年6月15日発売[50]、ISBN 4-09-193520-6
- 2005年7月15日発売[51]、ISBN 4-09-193521-4
- 2005年8月12日発売[52]、ISBN 4-09-193522-2
- 2005年9月15日発売[53]、ISBN 4-09-193523-0
- 2005年10月15日発売[54]、ISBN 4-09-193524-9
- 2005年11月15日発売[55]、ISBN 4-09-193525-7
- 2005年12月15日発売[56]、ISBN 4-09-193526-5
- 2006年1月14日発売[57]、ISBN 4-09-193527-3
- 2006年2月15日発売[58]、ISBN 4-09-193528-1
- 2006年3月15日発売[59]、ISBN 4-09-193529-X
- フィギュア付き限定版:同日発売[60]、ISBN 4-09-941194-X
完全版
- 2015年5月から2016年12月まで、少年サンデーコミックススペシャルとして、連載時のカラーページを収録した「完全版」が発行された。本編連載終了後に少年サンデー誌上で連載された「うしおととら風雲録」も収録されている。
- 藤田和日郎 『うしおととら 完全版』 小学館〈少年サンデーコミックススペシャル〉、全20巻
- 2015年5月18日発売[61]、ISBN 978-4-09-126077-2
- 2015年5月18日発売[62]、ISBN 978-4-09-126078-9
- 2015年6月18日発売[63]、ISBN 978-4-09-126079-6
- 2015年7月17日発売[64]、ISBN 978-4-09-126080-2
- 2015年8月18日発売[65]、ISBN 978-4-09-126099-4
- 2015年9月18日発売[66]、ISBN 978-4-09-126357-5
- 2015年10月16日発売[67]、ISBN 978-4-09-126358-2
- 2015年11月18日発売[68]、ISBN 978-4-09-126359-9
- 2015年12月18日発売[69]、ISBN 978-4-09-126360-5
- 2016年1月18日発売[70]、ISBN 978-4-09-126378-0
- 2016年2月18日発売[71]、ISBN 978-4-09-126379-7
- 2016年3月18日発売[72]、ISBN 978-4-09-126380-3
- 2016年4月18日発売[73]、ISBN 978-4-09-126386-5
- 2016年5月18日発売[74]、ISBN 978-4-09-126387-2
- 2016年6月17日発売[75]、ISBN 978-4-09-126388-9
- 2016年7月15日発売[76]、ISBN 978-4-09-126389-6
- 2016年9月16日発売[77]、ISBN 978-4-09-126390-2
- 2016年10月18日発売[78]、ISBN 978-4-09-126404-6
- 2016年11月18日発売[79]、ISBN 978-4-09-126405-3
- 2016年12月16日発売[80]、ISBN 978-4-09-126406-0
その他
- 『うしおととら全集 上 原画集 月と太陽』1997年5月10日発行、ISBN 4-09-179291-X
- 「新装版」2016年4月15日発売[81]、ISBN 978-4-09-179219-8
- 『うしおととら全集 下 大図鑑 森羅万象』1997年8月10日発行 、ISBN 4-09-179292-8
- 「新装版」2016年4月15日発売[82]、ISBN 978-4-09-179220-4
- 『CD-ROMうしおととら 上』1996年10月発行、ISBN 4-09-906842-0
- 『CD-ROMうしおととら 下』1996年12月発行、ISBN 4-09-906843-9
固有名詞の分類
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