あそ型巡視船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/10 02:05 UTC 版)
あそ型巡視船 | |
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PL-42「でわ」 | |
基本情報 | |
艦種 | 1,000トン型PL |
命名基準 | 配備地付近の山岳の名前 |
就役期間 | 2005年 - 現在 |
前級 | おじか型 |
次級 | はてるま型 |
要目 | |
総トン数 | 770トン |
全長 | 79.0メートル (259.2 ft) |
最大幅 | 10.0メートル (32.8 ft) |
深さ | 6.0メートル (19.7 ft) |
主機 | 新潟16V20FX(2番船以降)ディーゼルエンジン×4基 |
推進器 | ウォータージェット推進器×4軸 |
速力 | 30ノット以上[1] |
乗員 | 30人 |
兵装 | 70口径40mm単装機関砲×1基[1] |
搭載艇 |
7メートル型高速警備救難艇 複合型警備艇 |
FCS | FCS射撃指揮装置 (40mm機銃用) |
レーダー | 対水上捜索用、航海用 |
光学機器 |
赤外線捜索監視装置 (FCS兼用) 遠隔監視採証装置 |
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予算要求時には高速高機能大型巡視船とも称されていた[1]。建造費用は1隻あたり約53億円である[3]。
来歴
1999年の能登半島沖不審船事件で出動した高速巡視艇は、船型過小のために外洋域で高速を維持できず、高速で逃走する不審船を追尾しきれなかった。この反省から、海上保安庁では、まず外洋域で高速を維持できる小型巡視船として同年度(平成11年度)の第2次補正計画で高速特殊警備船3隻を建造した[2]。
また平成14年度計画では、改2-900トン型PL「むろと」の代船として1,000トン型PLの建造が盛り込まれていたが、こちらについても、不審船対処とともに、東シナ海および九州北方海域で、外国漁船の監視や不法入国・薬物密輸の取り締まりにあたることも視野に入れて、速力や操船性能の向上が企図されることになった。これによって建造されたのが本型のネームシップである[4][5]。
その後、平成14年度予算の内示を受けた翌日、九州南西海域工作船事件が発生した。この事件で、不審船が予想以上に重武装であることが判明したことから、単独の巡視船ではなく、ユニット単位で対応する体制が整備されることになった。事件の教訓を反映して、ネームシップの設計・艤装が改正されるとともに、本型は、そのユニットの一員として期待されるようになった。当初、警備救難部では、2,000トン型PL 1隻を指揮船として、本型2隻、高速特殊警備船3隻でユニット(機動船隊)を構成し、これを5隊整備することを構想した。しかし予算当局の査定を受けた結果、太平洋岸に配備予定だった2隊が削られるとともに、各ユニットからも1,000トン型1隻と高速特殊警備船1隻が削られて、4隻×3隊の整備となった。このため、本型も、平成15年度計画で2隻が追加建造されるにとどまった[6]。
設計
上記の経緯より、本型は、北朝鮮の工作船に対処できる速力と武装を有する高速高機能大型巡視船として開発された[1]。このことから、従来の1,000トン型PLがいずれも排水型であったのに対し、本型では半滑走型の高速船型が採用された[7]。また船殻重量軽減のため、250フィート級の大型船であるにもかかわらず、船体は総アルミニウム合金製とされた。これは、総アルミの船体としては、当時世界最大のものであった[6]。また推進器もウォータージェット推進とされている[2]。
なお、2・3番船では、設計にあたり「高速船の安全に関する国際規則2000」(HSCコード)が適用された[8]。このため、船橋構造や後部の吸気室など、艤装の一部が変更されている[2]。
- ^ a b c d e 2005年海上保安レポート 高速高機能大型巡視船「あそ」就役
- ^ a b c d e 「警備救難業務用船 (海上保安庁船艇の全容)」『世界の艦船』第800号、海人社、2014年7月、53頁、NAID 40020105550。
- ^ a b 不審船への対応について 平成14年10月 海上保安庁
- ^ a b 「警備救難業務用船 (写真特集・海上保安庁現有船艇の全容)」『世界の艦船』第595号、海人社、2002年5月、69頁、NAID 40002156309。
- ^ 海上保安庁装備技術部/水路部/灯台部「海上保安庁の新型船艇と航空機 (特集・海上保安庁)」『世界の艦船』第595号、海人社、2002年5月、150-155頁、NAID 40002156317。
- ^ a b 坂本茂宏「創設50年から60年 そして70年に向けて (創設60周年を迎えた海上保安庁)」『世界の艦船』第692号、海人社、2008年7月、132-137頁、NAID 40016073810。
- ^ 真山良文「技術面から見た海上保安庁船艇の変遷 (創設60周年を迎えた海上保安庁)」『世界の艦船』第692号、海人社、2008年7月、138-143頁、NAID 40016073811。
- ^ 「高速巡視船「でわ」「はくさん」揃って竣工!」『世界の艦船』第660号、海人社、2006年7月、12頁。
- ^ a b 中名生正己「巡視船 武装の歩み(下)」『世界の艦船』第825号、海人社、2015年11月、168-173頁、NAID 40020597434。
- ^ Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 386. ISBN 978-1591149545
- 1 あそ型巡視船とは
- 2 あそ型巡視船の概要
- 3 装備
- 4 外部リンク
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