グリーン水素とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > グリーン水素の意味・解説 

グリーン‐すいそ【グリーン水素】


グリーン水素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/01 06:27 UTC 版)

グリーン水素(グリーンすいそ、英語: green hydrogen)とは、水の電気分解によって生産される、生成過程で二酸化炭素(CO2)を排出せずに製造された水素である[1]

他の水素の分類として、化石燃料から抽出されるグレー水素wikidata英語: grey hydrogen)や、化石燃料から抽出する際にCO2を分離回収し地中貯留などを行いCO2の大気中への放出を防いだブルー水素英語: blue hydrogen)などがある[2]

製造方法

製造方法は主に、アルカリ水電解、PEM(高分子電解質膜英語版)、AEM水電解、高温水蒸気電解の4方式がある[3]

アルカリ水電解

水酸化カリウム溶液の電気分解により酸素と水素を製造する[4]

電解効率は70~80%であり、反応式は次の通り。

陽極 2H2O +2e- → 2OH + H2

陰極 2OH- →1/2 O2 + H2O +2e- [5] NEDO実証では設備コスト5.2万円/kWを目指している[6]

PEM(固体高分子膜)

純水の電気分解によって酸素と水素を製造する[4]

反応式は次の通り。

陽極 2H2O →4H+ +4e- + O2

陰極 4H + 4e = 2H2[7]

NEDO実証では設備コスト6.5万円/kWを目指している[6]

AEM(アニオン交換膜)

アルカリ水電解型とPEM型を組み合わせ、触媒などに貴金属を使用しないのが、AEM型である。製造コストはPEM型に比べて約二割下がる。[8]

陽極 H2O+4e- →2H2+ OH

陰極 4OH- →O2+2H2O [9]

高温水蒸気電解

900℃近い高温の水蒸気を電気分解することで、酸素と水素を製造する。

電気分解に必要なエネルギーの一部を熱で補うため、効率が高い[10]

高温の水蒸気での水素精製技術としては、電気分解を用いず、ヨウ素(I)と硫黄(S)を用いて水を分解するISプロセスも研究されている[11]。集光型太陽熱などで実現可能な温度である650℃での反応の成功事例がある[12]

脚注

  1. ^ グリーン、ブルーにターコイズ…7色で表す水素は何が違う? 【政経電論】”. 政経電論 (2021年9月25日). 2023年1月24日閲覧。
  2. ^ 新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ- | 一般財団法人 新エネルギー財団”. www.nef.or.jp. 2023年1月24日閲覧。
  3. ^ 水素も脱炭素も任せろ 東レの世界最高レベルのすごい膜 | EnergyShift”. EnergyShift(エナジーシフト) (2021年9月15日). 2023年1月24日閲覧。
  4. ^ a b 次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2023年1月24日閲覧。
  5. ^ 水素エネルギーとは (その2) | 省エネQ&A”. J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]. 2024年11月26日閲覧。
  6. ^ a b 再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造”. NEDO グリーンイノベーション基金. 2023年1月24日閲覧。
  7. ^ 水素 ガス 発生装置 の仕組み”. Peak Scientific. 2024年11月26日閲覧。
  8. ^ 日経クロステック(xTECH) (2021年12月6日). “水電解技術のダークホース「AEM形」 安価な鉄が高性能触媒に”. 日経クロステック(xTECH). 2024年4月10日閲覧。
  9. ^ Ryota (2024年2月25日). “だれでも分かる「AEM水電解装置とは?」注目されている水素製造技術の特徴や今後の展望を徹底解説”. BizChem. 2024年11月26日閲覧。
  10. ^ 高温水蒸気電解法 - ATOMICA -”. atomica.jaea.go.jp. 2023年1月24日閲覧。
  11. ^ 高温ガス炉による水素製造が実用化へ大きく前進 ―実用工業材料で製作した水素製造試験装置を用いた熱化学法ISプロセスによる150時間の連続水素製造に成功―|日本原子力研究開発機構:プレス発表”. www.jaea.go.jp. 2023年1月24日閲覧。
  12. ^ 太陽熱で効率40%の水素製造を実現へ、製造プロセスの大幅な省エネに成功”. スマートジャパン. 2023年1月24日閲覧。

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「グリーン水素」の関連用語

グリーン水素のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



グリーン水素のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのグリーン水素 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS