ショート・ターミズム
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/29 22:42 UTC 版)
ショート・ターミズム (Short-termism) は、直近の利益なり報酬を優先し、長期的な帰結や先を見据えた行動よりも、計画を迅速に執行して短期的に結果を出そうとすること[1]。特に、企業や投資家の行動について用いられ[2]、「短期主義」[3][4][5]、「短期志向」[6]、(「近視」を意味する)「マイオピア (Myopia)」とも呼ばれ[7]、さらには「近視眼的経営」とも説明される[8]。ビジネスや政治において、結果が塾するまで時間がかかるような、また、「...あるひとつの統治体の任期 (term) の間には、はっきりとわかるような効果が上がらないかもしれないものに、直ちに支出することを求めるような行動」は、ショート・ターミズムによって足元を掬われ、危うくされるおそれがある[9]。企業の場合、四半期報告書の内容をよりよく見せることや、短期的業績予想の達成を優先したり、短い任期しか在任しない経営者が在任中の利益創出にこだわる結果、長期的な設備投資や研究開発をはじめ[7][8]、従業員の待遇向上や研修、地域社会との関係などがおろそかにされる事態が、ショート・ターミズムという表現で否定的に言及される[5]。
2008年前後の世界金融危機の頃から、行きすぎたショート・ターミズムの弊害が広く認識されるようになったという[7]。2012年7月に、イギリス政府の求めに応じてジョン・ケイロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授が出した報告書(ケイ・レビュー、Kay Review)は、株式市場が企業経営者に短期的な利益追求を求めることが、企業の長期的な成長を阻害しているとし、注目を集めた[4]。2014年8月に公表された経済産業省の「『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』プロジェクト」の最終報告書(座長が伊藤邦雄一橋大学教授(当時)であったことから「伊藤レポート (Ito Review)」と通称される)は、日本企業の持続的成長を阻害する要因のひとつにショート・ターミズムを挙げている[8]。
BBCの記者、リチャード・フィッシャー (Richard Fisher) は、ショート・ターミズムを、「我々の思考の中にある、現在バイアス (present bias) と呼ばれる、長期的な報酬よりも短期的な利益を好むという弱点」と結びつけている[10]。
脚注
- ^ “Short-Termism | Definition of Short-Termism by Lexico”. Lexico Dictionaries | English. 2019年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年11月29日閲覧。
- ^ 「ショートターミズム」野村證券。2025年11月29日閲覧。
- ^ 林寿和、小崎亜依子「日本の株式市場におけるショート・ターミズム(短期主義)の実証分析」『証券アナリストジャーナル』第51巻第12号、日本証券アナリスト協会、東京、2013年、106-117頁、 CRID 1522262180461373312、2025年11月29日閲覧。
- ^ a b ESGリサーチセンター「CSRを巡る動き:ショート・ターミズム問題とその克服に向けた取り組み」日本総研、2014年1月6日。2025年11月29日閲覧。
- ^ a b 梶善登 著、国立国会図書館 調査及び立法考査局 編『格差、分配、経済成長 総合調査報告書』国立国会図書館〈調査資料 2022-3〉、62頁。2025年11月29日閲覧。
- ^ 「ショートターミズム」『デジタル大辞泉』小学館。コトバンクより2025年11月29日閲覧。
- ^ a b c 「ショートターミズム(Short-termism)とは・意味」『IDEAS FOR GOOD』ハーチ。2025年11月29日閲覧。
- ^ a b c 「ショートターミズム」『みずほ証券✖️一橋大学 ファイナンス用語集』みずほ証券。2025年11月29日閲覧。
- ^ Pope Francis, Encyclical letter – Laudato si’ of the Holy Father Francis – On care for our common home, paragraph 181, published 24 May 2015, accessed 30 April 2024
- ^ Fisher, Richard (2019年1月10日). “The perils of short-termism: Civilisation's greatest threat”. www.bbc.com. 2025年11月29日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 鈴木裕「共通した理解がないショートターミズム」大和総研、2013年12月19日。2025年11月29日閲覧。
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