イオン半径

イオン半径(イオンはんけい、ionic radius)とはイオン結晶の結晶格子中においてイオンを剛体球と仮定した場合の半径である。
イオン半径はオングストローム(Å)あるいはピコメートル(pm)という単位で表示されるが、後者がSI単位である。
概要
イオンの電子雲が球対称であると見做せる場合、イオン結晶中の陽イオンおよび陰イオンの原子間距離は、両者の半径の和であると仮定することができる。 X線回折により得られる原子間距離は陽イオンと陰イオンの半径の合計であり、単独イオンの半径を直接求めることはできない。そこで、1927年にライナス・ポーリング(Linus Carl Pauling)は1価イオンについて半径が有効核電荷に反比例するものと仮定して半径を求め、これを基に結晶構造のデータがあるものについて各種原子のイオン半径を決定した。

例えばフッ化ナトリウム結晶格子の格子定数は462 pmであり、ナトリウムイオン Na+ およびフッ化物イオン F− の半径の合計は231 pmとなるが単独のイオン半径はこの方法から知ることができない。
これらのイオンは共にネオンの電子配置 1s22s22p6 をとりスレーター軌道に基いて遮蔽定数を求めると 4.15 となる。ナトリウムイオンの有効核電荷は 11−4.15=6.85 、フッ化物イオンは 9−4.15=4.85 となり、イオン半径比は以下のようになる。これから 結晶格子中において陽イオンは陰イオンに、陰イオンは陽イオンにそれぞれ取り囲まれた配位構造であるが、同じ電荷のイオン同士では反発力が働き、それらが互いに接触した状態は不安定である。そのため各結晶格子について同種電荷のイオン同士が接触しない限界半径比(critical radius ratio)がある。
塩化セシウム型構造(8配位)をとるためには限界半径比は
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