U537 (潜水艦)とは? わかりやすく解説

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U537 (潜水艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/14 14:53 UTC 版)

U537第二次世界大戦時のドイツ海軍の潜水艦IXC/40型[1]

艦歴

ハンブルクのドイチェ・ヴェルフト社で建造[1]。1941年4月10日発注[1]。1942年4月10日起工[1]。11月7日進水[1]。1943年1月27日就役[1]。艦長はペーター・シュレーヴェ(Peter Schrewe)大尉[2]

訓練を終えた「U537」には、自動気象観測機材Wetter-Funkgerät Land(略称WFL)のカナダチドリー岬付近への揚陸任務が与えられた[3]。WFLは大西洋での作戦用の気象データ収集のため開発されたものであった[4]。WFLには番号が振られており、「U537」が運ぶことになったものはWFL26で「クルト」というコードネームがつけられていた[5]。「クルト」を積んだ「U537」は1943年9月18日にキールより出撃[5]ノルウェーを経てフェロー諸島アイスランドの間を通過し、北大西洋に入った[6]。10月14日、「U537」は大波の直撃を受けて艦橋後方の4連装機関砲を失う被害を受けた[7]。10月22日、「U537」はチドリー岬南方のマーティン湾に到着[8]。翌日「クルト」の揚陸、設置を行った[9]。設置に成功したクルトであったが、わずか3週間後には情報の発信が完全に停止した[10]。その原因ははっきりしていない[10]。「クルト」設置後「U537」は通商破壊戦に移ったが、戦果は上がらなかった[10]。10月31日にはカナダのハドソン爆撃機の、11月10日と11日にはカナダのカタリナ飛行艇の攻撃を受け、11月11日の攻撃の際には軽微な損害を受けた[11]。12月7日、[10]または8日、ロリアンに帰投[12]

1944年2月29日に「U537」はロリアンを出撃したが、3月1日にロリアンに戻る[13]。3月5日に再び出撃するも敵機の攻撃を受けて損傷し、翌日ロリアンに戻った[13]

次の「U537」の任務はインド洋行きであった[14]。「U537」は3月25日にロリアンを出発し、8月2日にバタヴィアに到着した[12]。この時はペナン基地向けの無線方位探知機1基、プロペラ1基、レーダー受信機4基を運んだという[15]

10月1日、スラバヤへ移動[16]。11月9日、「U537」はオーストラリア沖での通商破壊戦を行うべく出撃した[17]。「U537」の出撃は連合国側に察知され、アメリカ海軍潜水艦「バッショー」、「ガヴィナ」、「フラウンダー」が派遣される[18]。11月10日、「U537」は「フラウンダー」に発見され、「フラウンダー」は魚雷4本を発射[19]。うち2本が命中し、「U537」は沈没した[19]。乗員58名全員が死亡した[19]

脚注

  1. ^ a b c d e f The Type IXC/40 U-boat U-537, uboat.net
  2. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』169ページ。The Type IXC/40 U-boat U-537, uboat.net
  3. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』172-175ページ
  4. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』174ページ
  5. ^ a b 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』175ページ
  6. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』175-176ページ
  7. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』176ページ
  8. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』176-177ページ
  9. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』177-178ページ
  10. ^ a b c d 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』178ページ
  11. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』178ページ。Patrol of German U-boat U-537 from 18 Sep 1943 to 23 Sep 1943, uboat.net
  12. ^ a b War Patrols by German U-boat U-537, uboat.net
  13. ^ a b 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』179ページ
  14. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』179-180ページ
  15. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』180ページ
  16. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』181ページ
  17. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』182ページ
  18. ^ 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』182-183ページ
  19. ^ a b c 内田弘樹『日の丸を掲げたUボート』183ページ

参考文献




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