積分スケール (せきぶんスケール、英語: Integral scale)は、エネルギー保有領域に対応する乱流の最大渦の長さスケールを表し、乱流の速度変動の自己相関関数から求めることができる。乱流運動を特徴付ける長さスケールとして積分スケール
、テイラーマイクロスケール
、及び、コルモゴロフスケール
があるが、それぞれの関係は一般に、
であることが知られている。
定義
積分スケール
の厳密な定義は以下のように表される。
ここで、
は流体速度のレイノルズ平均値からの変動の二乗平均平方根 (root mean square RMS) であり、速度変動のRMS値あるいは変動強度などと呼ばれる。
は波数である。
は速度変動の3次元エネルギースペクトルである。
縦速度相関関数
を以下のように定義する。
積分スケール
は以下に示すように、縦速度相関関数
の積分で定義される。ここで、
は相対位置を表す。
次に縦速度相関関数
に対して、フーリエ逆変換を用いると
ここで、
は波数を示し、
は1次元縦エネルギースペクトル関数であり、
である。 これらを用いて縦速度相関関数
の積分で定義された
を変形すると、
が得られる。
他のスケールとの関係
等方性乱流の理論から、積分スケールとその他の乱流特性長さスケールは、次のように見積もることができる。
レイノルズ数
は、エネルギー保有領域の代表的長さ
、代表的な速度変動の大きさ
、動粘性係数
を用いて
と表される。各特性長さスケール間の関係式から解るように、レイノルズ数の増加とともに、各長さスケールの比は大きくなる。
エネルギー散逸率との関係
大スケールの運動と散逸率の関係を決定するために、「大きな渦から小さな渦へのエネルギー供給率は大きな渦の時間スケールの逆数に比例する」という仮定をする。大スケールの渦が持つ単位質量当たりの運動エネルギーは、おおよそ
で、そのうち小スケールへ供給されるエネルギーの割合は
に比例する。したがって、大スケールから小スケールへの供給量は単位時間当たり、
となる。小スケールでは受け取ったエネルギー散逸率
で散逸するが、散逸量が受け取るエネルギー供給量に等しいとすると
となる。
参考文献
- Davidson P. A., ed. (2015), Turbulence: an introduction for scientists and engineers